ボーイング737型機用の革新的な複合材製主翼翼端部(ブレンディッドウイングレット)の納入を開始
2002年10月21日
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川崎重工は、ボーイング737型機用の複合材製主翼翼端部(Blended Winglet以下、ブレンディッドウイングレット)の納入を開始しました。当社は、ボーイング737-300/400/500型機用のブレンディッドウイングレットの設計、開発および製造に関し、昨年10月にアビエーション・パートナーズ・ボーイング社(APB社) との間で正式契約を締結し、設計開発を進めてきました。今般の初号機用コンポーネントを皮切りに今後順次出荷するとともに、年内を目処にAPB社と協力して米国航空当局より型式証明(Supplemental Type Certification)を取得する予定です。
ウイングレットとは航空機の性能向上を目的として主翼の翼端部に追加装着される小翼のことで、今回当社が開発に参画し製造したウイングレットは、その形状が主翼本体から滑らかに変化するためブレンディッドウイングレットと呼ばれています。ブレンディッドウイングレットは、空力特性を考慮した独特な曲面形状をしており、これにより機体の燃費向上、航続距離の延長および低騒音化といった運用上の効率を高めることができ、その結果、地球環境への負荷も低減できることになります。 すでにブレンディッドウイングレットはボーイング・ビジネス・ジェットにおいて標準仕様であり、737-700/800型機およびガルフストリーム製ビジネス・ジェットにおいても運用が開始されています。また、今後747、757、767等、ボーイング社製他機種へも適用が拡大していくものと期待されています。 今般、当社が出荷を開始するブレンディッドウイングレットは、現在全世界で約1、000機が運航されている737-300型機用のものであり、オプションとして追加装着されます。
このブレンディッドウイングレットの構造には、当社が航空機用として独自に開発した、先進的な低コスト複合材(KMS-6115) をボーイング機では初めて適用します。この複合材は低コストと高強度の両立を達成した画期的なもので、すでに当社製の川崎式BK117C-2型ヘリコプターのオプション部品に適用したほか、エンブラエル社と共同開発中の現在担当部位の製造を行っているエンブラエル170型(70席)および195型の主翼部品にも採用されています。
今後とも、当社は最先端の航空機開発能力および高度な製造技術水準を基盤とし、積極的に民間航空機事業の拡大を図っていきます。
※1 アビエーション・パートナーズ・ボーイング社(APB社) 先進ウイングレットの開発・製造を目的として、原型モデルの開発者であるアビエーション・パートナーズ社とボーイング社との間で設立された合弁会社。
・社名(英文表記):Aviation Partners Boeing, LLC(Limited Liability Company). | ・所在地:米国ワシントン州シアトル | ・代表者:Joe Clark (CEO) |
※2 炭素繊維強化複合材料「KMS-6115」 当社が開発した、従来の特殊なグレードの炭素繊維を用いるのではなく、最新の高性能な一般産業用炭素繊維と高靭性エポキシ樹脂を原料としコストの低減を図った航空機用材料。エポキシ樹脂に接着能力を併せ持たせることで、性能面では引張強度で60%、圧縮強度で30%の向上を実現した。 |