大容量新型蓄電池を開発-世界で初めての粒子活物質型-

2002年09月11日


川崎重工は、環境に優しく大容量の蓄電用途に最適な新型蓄電池の開発に成功しました。これは、発生変動の大きい自然エネルギーの有効利用や、電力需給の平準化などに寄与するものとして、大容量の電池に対して高まっている期待に応えるものです。

今回開発した新型蓄電池は、原理的にはニッケル水素電池に分類されますが、従来型ニッケル水素電池と異なり、粒子状の活物質を容器内に充填するだけで電池化するもので、容易に大型化が可能です。また通常正極活物質に含まれる高価なコバルトなどの代わりに炭素繊維を利用しているため低コストであり、しかも活物質が粒子状のため電池容器からの出し入れが容易で、活物質を含むほぼ完全なリサイクルが可能となります。なお、粒子状の活物質は大阪ガス(株)の協力を得て開発したものです。

新型蓄電池の主な特長は下記の通りです。

【大型で低コスト】

新型蓄電池は通常導電性を持たせるために添加される高価なコバルトを使用しません。また従来型電池が、板状の電極を並べたり、薄膜状の電極を巻き込んだ複雑な構造であるのに対し、新型蓄電池は縦、横、厚みの三次元方向への大容量化が容易です。さらに、必要な電圧に応じて、電極板を共有しながら容易に電池層を積層することが出来ます。これらの結果、大型では特に容積効率が高くなり、蓄電量当りのコストを下げることが可能になります。


【環境に優しい】

新型蓄電池は、鉛やカドミウム、水銀などの環境汚染につながる有害物質を使用しません。また粒子状活物質のため使用後は活物質の分離、取り出しが容易で、活物質を含めて電池を低コストでほぼ完全にリサイクルでき、環境適合性に優れた電池です。


当社は、現在試作品を社内の各種製品に組み込み、電池の性能と信頼性を評価中です。さらに改良研究の継続と同時に、用途調査、製造・販売方法の検討などを進めています。(一例として、当社製非常用発電用ガスタービン(出力228kW)の起動には従来鉛蓄電池を使用していますが、容積、重量ともほぼ半分の新型蓄電池で同等以上の起動能力を有することを社内試験で確認しています。)

当社は、今後とも、エネルギー関連技術の分野において、新たな技術の開発に対して積極的に取り組んでいきます。