カッター交換装置を採用した道路用シールド掘進機が完成

2002年08月05日

 

川崎重工は、首都高速道路公団が建設を進めている中央環状新宿線のうち、松見坂代々木シールド工事(総延長2,646m)向けに鹿島・熊谷・竹中土木建設共同企業体より受注した、直径13.05m 泥水式シールド掘進機(中折れ型)を完成させました。本機は播磨工場にて完成後、一旦解体し現地へ輸送し、平成14年12月に現地にて再度組立てられ掘進を開始する予定です。

この泥水式シールド掘進機が使用される中央環状新宿線は、首都高速道路公団が平成18年度内に完成を予定している、目黒区青葉台から豊島区南長崎までの約11kmの路線で、ほぼ全線が地下トンネルになる新線です。本線の建設は、渋谷、新宿、池袋の3大拠点間の移動を容易にするとともに、現在の一点集中型のネットワークを形成している首都高速道路の慢性的な渋滞の解消を目的としたものです。

今回完成した泥水式シールド掘進機は、長距離掘削やカッタービットの摩耗が激しい東京礫層の掘削に対応するため、掘削途中でカッタービットを交換することで耐久性を高める「リレービット(セーフティゲートタイプ)式カッター交換装置」を採用したシールド掘進機です。「リレービット(セーフティゲートタイプ)式カッター交換装置」は、カッターディスク内に作業員が入り、軽量な治具を利用して摩耗したカッタービットを引き抜き、セーフティゲートを開閉して新しいものを装着する方式で、掘削途中の任意の地点でカッタービットの交換を安全かつ迅速に行うことが可能です。これにより、従来は必要であったカッタービット交換用の立坑が不要になり、1基のシールド掘進機で長距離の掘削が可能になります。

また、このシールド掘進機では、掘進中の切羽への圧力変動をより少なくさせるために、「エアバブル圧力制御方式」を採用しています。従来の泥水式シールド掘進機が、カッターチャンバー内の泥水の圧力で切羽を安定させるのに対し、「エアバブル圧力制御方式」は、カッターチャンバーにドーナッツ形状の空間部(エアチャンバー)を連結させ、エアチャンバーの上半部に空気を、下半部に泥水を充填し、泥水と空気により圧力制御を行います。これにより、掘削面からの急激な圧力変動に対しての安定や追随性が高まります。

当社は直径10mクラス以上の大口径シールド掘進機の分野において、30%以上のトップシェアを有しています。特に海外では英仏海峡トンネル用トンネル掘削機、国内でも東京湾アクアライン、神田川地下調節池掘削用シールド掘進機をはじめ、数多くの製作実績があります。

今後も当社はトンネル掘削機の分野において、社会・市場ニーズに加え環境に充分配慮した製品の開発・販売に努め、積極的な事業展開を進めていきます。