川崎重工/三井物産 ブラジルの独立発電事業者向け出力310MW複合火力発電所の建設工事を受注

2002年01月24日


川崎重工は、三井物産と共同でスペイン大手電力会社ENDESA(エンデサ)グループ系のブラジルの独立系発電事業者(IPP)CGT Fortaleza S.A.(CGT フォレタレザ社)より、複合火力発電所(CCPP:Combined Cycle Power Plant)をフルターンキー(土木・据付け工事込み)で受注しました。受注金額は約200億円で、既に製作・工事着工指示を入手しており、納期は2003年11月末の予定です。

今回受注したCCPPは、ブラジル北東部、セアラー州フォレタレザ市近郊に建設されるもので、天然ガスを燃料とする100MW級ガスタービン(アルストムGT11N2)2基、排熱回収ボイラ2基および110MW級の蒸気タービン1基により構成される出力310MW級の発電所です。 本件で使用されるアルストムGT11N2型ガスタービンは、当社がアルストム社との製造協定に基づき、当社神戸工場より年間10台以上を全世界に供給しているものです。

当社と三井物産は、昨年1月にメキシコのIPP向けコージェネレーション設備を、またマレーシアの電力会社テナガナショナル社から、既存の火力発電所をCCPPに改造する工事をフルターンキーで連続受注しており、現在建設を進めています。今回の受注は、当社のCCPPに係る豊富な経験と技術力、三井物産の顧客対応、ロジスティックなどの市場力を活用したプロジェクト遂行能力が高く評価されたものです。

ブラジルでは、経済成長に伴う電力需要の伸びと水不足による水力発電の不振で、慢性的な電力不足が社会問題になっています。そのためブラジル国内では、IPP事業者による大規模な発電所や地域・企業による自家発電設備など、火力発電所の建設が急増しており、今後も需要増が継続的に見込まれています。今回受注したCCPPで発電される電力は、CGT フォレタレザ社の売電先である配電業者COELCE(コエルセ社)によりセアラー州内の工場および一般家庭などに広く供給されます。

CCPPは、ガスタービン発電により発生した高温高圧の排出ガスのエネルギー(排熱)を排熱回収ボイラにより蒸気として回収し、この蒸気を用いて蒸気タービンによる発電を行うことで、エネルギーロスの少ない発電を行うシステムです。現在、火力発電の分野においては、環境負荷が少なくエネルギー効率の高い発電が可能な天然ガスを用いたCCPPが世界的に主流となっており、電力不足が懸念されている米州や東南アジアを中心に多数の発電所が建設されています。

当社は、今後ともCCPP建設をはじめ、排熱回収ボイラをはじめとするCCPPの構成機器や産業用ボイラを中心とするパワープラント事業を強力に推進していきます。

※天然ガス: 天然ガスの主成分はメタンで、空気より軽く、空気中にすぐ拡散するため安全性が高い。天然ガスを-162℃で冷却、液化したのがLNG(液化天然ガス)。LNGにすると体積が約600分の1になるため、輸送、貯蔵に便利で、液化する際にイオウ分などを取り除くので、燃やしても硫黄酸化物(SOx)が発生しない。また窒素酸化物(NOx)、CO2も少ないため、クリーンなエネルギーとして、昨今需要が高まっている。