LPG燃料推進LPG運搬船「CAPTAIN MARKOS」の引き渡し

2023年03月31日

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LPG燃料推進LPG運搬船「CAPTAIN MARKOS

川崎重工は、84,000m3LPG(液化石油ガス)燃料推進LPG運搬船「CAPTAIN MARKOS」(当社第1755番船)を引き渡しました。

本船は、LPGと低硫黄燃料油を燃料とするLPG二元燃料LPG運搬船です。従来の84,000 m3型LPG運搬船にLPG二元燃料主機関を採用した新船型の7番船にあたります。また、当社が引き渡したLPG運搬船としては70隻目となります。

近年、船舶の排出ガス規制への有力な対応策として、重油の代わりに液化ガスを燃料とする船舶の導⼊が世界的に進んでいます。本船は、温室効果ガスの排出量を削減できるLPGを燃料とすることで、大幅な環境負荷低減が見込める大型LPG運搬船です。当社グループがこれまで建造してきたLPG運搬船をはじめ、LNG(液化天然ガス)運搬船やLNG燃料推進船の建造で培った知見が活用されています。

当社は今後とも、全世界的に強化されつつある環境規制ならびにSDGsに代表される具体的な行動計画を踏まえ、LPG燃料推進LPG運搬船、LPG/アンモニア運搬船をはじめとする環境規制に対応した各種商船や、次世代エネルギーとして注目されている液化水素運搬船など、地球環境にやさしい船舶技術を開発・提供し、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献していきます。

<主要目>

全長×幅×深さ 229.90 m × 37.20 m × 21.90 m
満載喫水 11.60 m
航海速力 17.0 ノット
定員 29 名
総トン数 49,976 トン
載貨重量 55,206 t
貨物倉容積 84,274 m3
主機関 川崎-MAN B&W 7S60ME-C10.5-LGIP 1
船級・船籍 アメリカ船級協会(ABS)・バハマ
引渡日

2023年331

<特 長>

1) 主機関には、当社製の舶用電子制御式液化石油ガスインジェクションディーゼル機関(ME-LGIPエンジン)「川崎-MAN B&W 7S60ME-C10.5-LGIP」を採用しています。LPGを燃料とすることで、従来の燃料油使用時に比べ、排気ガス中のSOx(硫黄酸化物)CO2排出量を大幅に削減でき、SOx規制※1および2022年以降の建造契約船より要求されるEEDIフェーズ3※2にも適応しています。
2) NOx(窒素酸化物)3次規制※3に対応したシステムを採用し、主機関は排ガス再循環装置(EGR4、発電機関は選択式還元触媒脱硝装置(SCR5を適用しています。本システムにより、従来の低硫黄燃料油使用時でもNOxの排出規制海域(ECA)を航行することが可能です。
3) 上甲板にLPG燃料タンクを装備することで、貨物とは別に燃料用のLPGを積載することができます。また、LPG燃料タンクはカーゴタンクと配管で接続しているため、必要に応じてカーゴタンクからLPGを移送し、燃料として使用することが可能です。
4) プロペラ周りにカワサキフィン付ラダーバルブならびにコントラフィン付セミダクトを装備することにより、燃料消費量の低減を図っています。

1 SOx排出規制:
船舶からの排出についてはIMOにより、2015年1月から欧米の排出規制海域(ECA)において、燃料中硫黄分0.1%以下のSOx排出規制が実施されています。また、20201月からはその他の世界の全海域を航行する船舶に対し、硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するか、排ガス中からのSOxを同等に低減する代替装置を使用することが義務付けられています。
2 EEDIEnergy Efficiency Design Index)規制:
1トンの貨物を1マイル運ぶ際に排出されるCO2のグラム数として定義されるエネルギー効率設計指標(EEDI)を用いて新造船の省エネ性能の規制値への適合を強制する国際規制。EEDI規制値は建造契約日と引渡日に応じて段階的に強化されます。大型LPG運搬船やLNG(液化天然ガス)運搬船など一部の船種では、2022年以降の建造契約船からフェーズ3(基準値から30%CO2削減)が要求されます。
3 NOx排出規制:
船舶からの排出についてはIMOが規制を行い、2016年から実施されている3次規制では、欧米の排出規制海域(ECA)を指定海域として限定し、1次規制値からさらに80%の削減が規定されています。
4 排ガス再循環装置(EGR):
主機関の排気ガスの一部を清水で洗浄し燃焼空気として主機関に戻すことで、燃焼空気の酸素濃度と燃焼温度を低下させ、窒素が高温下で酸化反応することを抑制することにより、NOxの排出量を低減する装置です。また、排気ガスの洗浄に使用した洗浄水は、煤(すす)分や油分等を除去し、無害な状態に処理され船外へ排出されます。
5 選択式還元触媒脱硝装置(SCR):
発電機関の高温の排気ガスに尿素水を噴霧するとアンモニアに分解され、チタン・バナジウム系などの触媒を介して排気ガス中のNOxと反応し、窒素と水に還元することで、NOxの排出量を低減する装置です。

【参考リンク】

Kawasakiスーパーグリーン製品(LPG燃料推進大型LPG船)

https://www.khi.co.jp/sustainability/earth/green/2018/lpg.html

https://www.khi.co.jp/mobility/marine/technology/energy_saving.html(省エネルギー技術)

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