世界初の海底パイプライン検査用ロボットアームを搭載した自律型無人潜水機「SPICE」を受注

2021年05月18日

川崎重工は、英国のMODUS SUBSEA SERVICES LIMITED(以下、MODUS社)より、世界初の海底パイプライン検査用ロボットアームを搭載した自律型無人潜水機(以下、AUV1)「SPICE2」を受注しました。

news_210518-1ー.bmp海底パイプライン検査用ロボットアーム搭載のAUVSPICE

当社は、Oil & Gas分野での海底パイプラインのメンテナンス需要増加に着目し、AUVの研究開発を進めてきました。今回受注した「SPICE」は、当社が⻑年培ってきた潜⽔船関連と産業⽤ロボットの技術シナジーにより開発された、世界初の海底パイプライン検査用ロボットアーム搭載のAUVです。

SPICE」のコンセプトであるロボットアームを自律制御し、近接検査センサーを搭載した装置をパイプライン上に安定してトラッキングさせ、検査を実施します。また、当社開発のドッキングステーションとともに運用することで、検査作業効率の向上およびコスト低減を実現し、AUVの運用に必要な洋上船(母船)で作業する船員の負荷低減および安全性の向上に寄与します。

SPICE」は、従来のAUVでは実施できなかった海底パイプラインの近接検査を可能とする特長を有しています。

<特 長> 

ドッキングステーションと接続した状態で母船から海中へ投入された後、ドッキングステーションからの離脱、検査対象のパイプライン探索および検査、検査後のドッキングステーションへの回航という運用プロセスを自律で遂行できるため、これまでパイプライン検査ツールとして主流であったROV※3と比較すると、専任のROVオペレーターや定点保持機能を有する高機能な母船を必要としません。
ロボットアームの先端には近接検査センサーを備え付けた検査ツールユニットを搭載します。パイプライン検査時はロボットアームを自律制御することで、検査ツールユニットをパイプライン上に安定してトラッキングさせ、近接検査を効率的に実施します。
海底パイプラインを自動で認識・追跡します。パイプライン上に障害物があっても、自動で回避した上で、それ以降の検査作業を継続します。これにより、AUVの運用を途中で中断することなく、継続した運用が可能です。
海中でドッキングステーションに接続することで、バッテリーの充電や収集した検査データを母船へ転送します。また、ドッキングした状態で母船から投入・揚収を行うことできるため、安全で効率的な運用を実現します。

MODUS社は、「SPICE2機の購入を計画しており、今回はその1機目の受注となります。本機は2021年内にMODUS社へ引き渡したあと、北海をはじめとする世界の海底パイプライン敷設海域での運用に投入される予定です。

当社は、MODUS社からのユーザー意見やニーズを開発に反映していくことで、需要拡大が見込まれるAUV市場向けに高性能かつ高品質な製品を提供し、安全・安心な社会の実現に貢献します。

<主要目>

全長
:
5.6m
: 1.4m
高さ : 1.1m
重量 : 2,500kg(空中重量)
耐水深度 : 3,000m
最大速力 : 4 knots
推進機器 : 主推進プロペラ1基、サイドスラスター2基、バーティカルスラスター2
航行装置 : 慣性航法装置、ソーナー
安全装置 : バラスト離脱装置、イリジウムビーコン

1 Autonomous Underwater Vehicle(自律型無人潜水機)の略。
2 Subsea Precise Inspector with Close Eyesの略であり、川崎重工の商標。
3 Remotely Operated Vehicle(遠隔操縦無人潜水機)の略。
専任のオペレーターにより母船とテザーケーブルで接続された状態で運用される。

【参考リンク】

■企業ブランドムービー『無人潜水機SPICE https://www.khi.co.jp/stories/articles/vol47/#spice

■STORIES『海底油田を守る川崎重工のAUVhttps://www.khi.co.jp/stories/articles/vol99/

■自律型無人潜水機「SPICE https://youtu.be/FXQtQCPBaAs

■自律型無人潜水機(AUV)による海底パイプライン近接検査の実証試験に成功(*1)

 https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20200715_1.html

 (*1) SPICEは日本財団 - DeepStar(オイルメジャー、海洋開発関係企業、大学、研究機関などで構成さ

 れる海洋技術開発コンソーシャム)の助成プログラムによる支援のもと実証試験を実施。

kawarusaki_logo_red120.png