再生医療の普及拡大に向けた新型の細胞自動培養システム「AUTO CULTURE」を開発
2018年03月20日
新型の細胞自動培養システム「AUTO CULTURE」
川崎重工は、再生医療の普及拡大に向け、安定した品質の細胞を低コストに様々な規模で培養を可能とする新型の細胞自動培養システム「AUTO CULTURE※1」の開発を完了しました。本日より、再生医療の事業化を目指す企業などへの提案活動を開始します。
「AUTO CULTURE」は、医薬・創薬分野で活躍する当社製のクリーンロボットやプラントエンジニアリング力など、社内の技術シナジーを駆使して開発したシステムで、熟練技術者が手作業で培養した細胞と同等以上の品質を維持しつつ、播種から回収までの一連の培養工程を全て自動で行います。培養作業を自動化することで、安全で安定した細胞の培養、培養コストの低減、生産量変動への対応、培養技術者の労働環境の改善などを実現し、多くの課題を解決します。
特に、今回開発した新型の「AUTO CULTURE」は、当社製の従来機と比べ、複数のフラスコを同時に処理することで生産効率を高めるとともに、汚染防止や取り違え防止への対策を強化することにより、低コストかつ安全で安定した細胞培養を実現します。さらに、インキュベータ※2や試薬用保管庫をシステム本体への脱着式とすることで、治験レベルから事業化レベルまでの生産規模に対応できる拡張性を備えています。また、様々なサイズのフラスコが使用可能で、培養動作の設定変更によりiPS細胞や間葉系幹細胞など多様な細胞の培養に対応します。
当社は、2004年度より細胞自動培養システムの開発を開始して以来、これまでに創薬研究用途向けや再生医療用途向けに約10台(実証機を含む)を納めるなど着実に実績を積み重ね、そこから得られた知見や成果を活かして新型の「AUTO CULTURE」を開発しました。
今後も当社は、ロボット技術をはじめとする自動化技術、生産技術などを応用し、医療の発展に貢献していきます。
【本システムの特長】
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高い培養能力 |
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培養量の拡張性 |
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培養作業の安定性 |
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種々の培養工程への適用 |
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トレーサビリティ |
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汚染防止 |
※1 |
「AUTO CULTURE」は当社の登録商標です。 |
※2 |
細胞を格納し、内部を培養に適した環境に維持する機器のこと。 |
※3 |
High Efficiency Particulate Air Filterの略で、高性能エアーフィルターのこと。 |
対象細胞 | : | 接着系細胞 | |||
自動化プロセス | : | 細胞播種、培地交換、継代、細胞回収、細胞観察など | |||
培養容器 | : | T25、T75、T175、T500(三層フラスコ)の各フラスコサイズに対応 | |||
培養能力 | : | フラスコ8枚/インキュベータ (インキュベータ、試薬用保管庫は脱着交換式で増設可能) |
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除染機能 | : | UV除染/過酸化水素除染 | |||
装置寸法 | : | システム本体 4.2m(W) × 2.6(D) × 2.4m(H) インキュベータ/試薬用保管庫ユニット 0.9m(W) × 0.8m(D) × 1.9m(H) |