富士石油向けに新開発のU-KACCボイラを採用したボイラ・タービン発電設備を受注

2014年11月12日

 

川崎重工は、富士石油株式会社から袖ケ浦製油所で生産される固形のアスファルトピッチを主燃料としたボイラ・タービン発電設備を受注しました。当社は本発電設備の設計・製作・機器調達・建設工事を一貫して担当し、2017年6月末の完工を予定しています。

今回受注したボイラ・タービン発電設備は、袖ケ浦製油所のプロセス蒸気と自家消費用電力供給の中核となる設備で、既設のボイラ設備によるプロセス蒸気の供給と電力会社による電力供給からの転換を図るためのものであり、アスファルトピッチの有効利用により製油所内でのエネルギーコスト低減に寄与します。

設備の中核となるボイラには、超低NOx・低ばいじん燃焼を可能とするKACC(Kawasaki AdvancedClean Combustion)ボイラをアスファルトピッチやオイルコークスなど固体燃料にも適用できるように新規開発したU-KACC(Upgraded-KACC)ボイラを採用しました。
U-KACCボイラは、上部燃焼室において燃料を高温還元燃焼させてガス化し、下部燃焼室で低温酸化燃焼することで、低NOxと低ばいじんを両立できる燃焼方式を採用しています。また、炉底部にホッパを設置することで連続的な灰の搬出が可能となり、灰分を含んだ燃料にも対応可能な構造となっています。付帯設備として高性能な排煙処理設備(脱硝装置、乾式電気集塵機、脱硫装置、湿式電気集塵機)を設置することで、環境基準の厳しい袖ケ浦地区の周辺環境に配慮した仕様になっています。

今回の受注は、従来型のKACCボイラがユーザーから高い評価を得ていることに加え、今回燃料となるアスファルトピッチを使った試験を実施し良好な燃焼性能を確認できたことなど、当社の総合的な技術力が評価されたものです。

世界的にも石油残渣系燃料など様々な燃料を有効利用できるボイラのニーズは高まってきており、当社は今回受注したU-KACCボイラをはじめとしたエネルギーの有効利用および環境負荷低減に寄与するボイラ設備の拡販を進め、今後も国内外で積極的な展開を図っていきます。

 

□ 設備の概要

 

1.納入場所

富士石油株式会社 袖ケ浦製油所

  2.ボイラ形式 U-KACC式単胴放射形自然循環ボイラ
  3.蒸気条件 ボイラ出口圧力10.3MPa、蒸気温度503℃、蒸発量295t/h
  4.主燃料 アスファルトピッチ
  5.環境設備 排煙脱硝装置、乾式電気集塵機、排煙脱硫装置、湿式電気集塵機
  6.タービン形式 抽気復水タービン
  7.定格発電出力 36,000kW
       

【構造イラスト】

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