新開発の164,700m3型LNG運搬船を初受注
2012年06月29日
(イメージ図)
川崎重工は、株式会社商船三井と164,700m3型LNG運搬船1隻の造船契約を締結しました。本船は、当社坂出工場で建造し、2016年より関西電力株式会社のLNG輸送に投入される予定です。
今回受注したLNG運搬船は、当社が新たに開発した164,700m3のカーゴタンク容積を持つモス型LNG運搬船です。本船は世界の主要なLNGターミナルへ入港可能な147,000m3型LNG運搬船の船体寸法を維持しつつ、2014年に完成予定の新パナマ運河を通峡可能なモス型の最大船型で、汎用性の高い船型として、船主のLNGトレードの多様化に対応します。
本船は、従来の147,000m3型LNG運搬船に比べ、カーゴタンク容積を約18,000m3増加させた上で、船体構造の最適化を徹底して行い、船体重量の軽量化を実現するとともに、水線下の船体形状の最適化を図ることで、推進性能を最大限に高めています。さらに、主機関に実績のある川崎アドバンストリヒートタービンプラント(*)を搭載する事で、輸送効率において25%以上の大幅な改善を図っています。
一般にLNG運搬船は、輸送中に自然に蒸発する天然ガス(ボイルオフガス)を燃料として利用していますが、近年の技術進捗による燃料消費量の削減の結果、燃料として消費しきれない余剰ボイルオフガスの処置が新たな課題となっています。
当社の建造するLNG運搬船には、30年以上にわたりLNG運搬船での優秀な実績を有する自社開発の防熱システム「カワサキパネルシステム」を採用しています。本船では「カワサキパネルシステム」をさらに改良することで、世界最少の0.08%/日のボイルオフレートを達成しました。これにより、ボイルオフガスを無駄なく活用でき、環境性能および経済性に優れた船としています。
本船の主要目は以下の通りです。
<主要目> 全長 約293m 型幅 48.9m タンク容積 164,700m3 速力 19.5knot ボイルオフレート 0.08%/日 |
当社は、今後とも、クリーンエネルギーとして需要増加が予想されるLNGをはじめとする各種ガスの運搬船の建造に積極的に取り組んでいきます。
(*) 川崎アドバンストリヒートタービンプラント
高圧タービンを回転させた蒸気を一旦ボイラに戻し、再加熱後に中圧タービンへ送り返すという再熱サイクルを採用し、熱効率を大幅に高めた蒸気タービンプラントです。2011年9月に川崎アドバンストリヒートタービンプラントの初号機を搭載したLNG運搬船が就航しています。本船では、初号機での海上試運転、実航海で得られたデータに基づき、さらに改良を加えた蒸気タービンプラントを搭載します。