「係船索張力監視装置」が日本船舶海洋工学会賞を受賞

2025年06月03日

news_250603-3.jpg news_250603-4.jpg
表彰式の様子 日本船舶海洋工学会賞を受賞した開発メンバー

川崎重工の「係船索張力監視装置(製品名:MOMOSEA)」が、公益社団法人日本船舶海洋学会の日本船舶海洋工学会賞(発明)を受賞しました。

日本船舶海洋学会賞は、船舶海洋工学の発展を促進するために船舶および海洋工学、その他一般海事に関する優秀な論文や発明などを対象に授与されるものです。

今回の受賞では、本製品の実運用におけるメンテナンス性までを考慮した「センサーや係船機1本体の機差による計測誤差を補正する方法」、索張力の正確な把握に不可欠な「係船索を巻き付ける係船金物2の種類や巻き付き角度に応じた張力減衰式」を発明したことが主に評価され受賞につながりました。

「係船索張力監視装置」は、船舶を岸壁に係留する係船索の管理において、現場の効率化と安全性向上を実現する製品です。
係船索は、潮汐や風、荷役の影響により常に張力が変化するため、その管理には乗組員は昼夜や天候に関係なく、船舶の甲板上を12時間ごとに巡回し、係船索の張り具合を目視や音により判断しています。したがって、係船索の管理は、乗組員にとって負荷の大きな作業です。
また、急激な気象や海象変化により、過剰な張力がかかり破断すると非常に強い力で跳ね返るため、近くにいる乗組員や作業員に激突した場合、人命に関わる大きな事故につながる可能性もあります。

これらの課題の解決のため、当社は、川崎汽船株式会社、川崎近海汽船株式会社と3社で研究・開発に取り組み、実船を用いた実環境下での実証試験を重ね、現場の意見をもとに、実用的で使いやすい製品を実現しました。これにより、今まで乗組員の感覚に頼りながら把握していた係船索張力の状態を、船内の安全な場所から正確かつリアルタイムに集中監視することができるようになりました。

今後も当社は、高い技術力をもって顧客ニーズに応える製品開発に取り組むことで、海事産業の効率化や安全性向上に貢献していきます。

news_250603-5.jpg

係船索張力監視装置(イメージ図)

1 船を港に係留するために使用される機械や装置。船上に設置されており、係船索の繰り出し、巻き込みと保持を行う
2 船上や陸上に設置された係船索を巻き付ける金属製の器具

<参考リンク>

■日本船舶海洋工学会賞について(日本船舶海洋工学会)

https://www.jasnaoe.or.jp/commendation/r7.gakkaisho.html

■安全離着岸支援システム「係船索張力監視装置」の販売開始

(川崎重工プレスリリース)202448日発表

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20240408_1.html

■川崎重工:「係船索張力監視装置(MOMOSEA)」のご紹介(YouTube動画)

https://www.youtube.com/watch?v=NPfwNlclhPU