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2022.10.20 東京都低NOx・低CO₂小規模燃焼機器認定を取得

2022年10月20日

川重冷熱工業株式会社

東京都低NOx・低CO₂小規模燃焼機器認定を取得


 川重冷熱工業は、川崎重工業と共同で世界初となるドライ式低NOx水素専焼バーナ(以下、本製品)の開発に取り組み、本製品を搭載した小型貫流ボイラ「WILLHAET(ウィルヒート)」シリーズ(換算蒸発量750kg/h・1,000kg/h・1,500kg/h・2,000kg/hの4機種)を2021年5月から販売しています。

 このたび「WILLHEAT (ウィルヒート)」シリーズが、2022年8月1日付けで「東京都低NOx・低CO₂小規模燃焼機器の水素利用認定区分(グレードH)」※1に認定されましたのでお知らせいたします。

        


水素専焼小型貫流ボイラ WF-2000GEX-H (イメージ図)


  水素は、燃焼時にCO₂を排出しないクリーンなエネルギーですが、火炎温度が高いことから天然ガスの燃焼時に比べて約3倍のNOxが発生します※2。今回、「ウィルヒート」に搭載した水素専焼バーナは、川崎重工の水素焚きガスタービンの開発で得られた水素燃焼に関する知見を活かし、独自の水素と空気の混合ならびに分散燃焼を組み合わせたことで、蒸気噴霧や排ガス再循環※3を必要とせず、ボイラの燃焼条件となる低空気⽐※4においても、天然ガス焚き並みの低NOx 性能を実現しました。さらにこの水素と空気混合バランスならびにバーナノズルの最適配置により、燃焼範囲全域で安定した燃焼と更なる低NOx化(50ppm以下O2=0%換算)を実現することができました。


ドライ式低NOx水素専焼バーナ


  水素は、石油化学プラントや製鉄所、苛性ソーダなどの生産工程において副産物として発生しますが、多くの工場では使われていません。本製品の導入により、未利用エネルギーである副生水素を有効利用できるようになり、工場の燃料コストの低減およびCO₂排出量ゼロと、低NOxの両立による環境負荷の低減を実現できます。

 川崎重工グループは、将来の水素エネルギーの普及を見据え、水素エネルギーサプライチェーンに必要なインフラ技術の開発・製品化に取り組んでいます。川重冷熱も、水素燃料利用に対応した燃焼バーナを搭載した貫流ボイラのラインナップを拡充し、各種燃焼装置への転用も視野に、水素エネルギーの活用拡大を図っていきます。

 本製品の特長および仕様は次のとおりです。

 1.特長
   ①環境・省エネ性能
    ・NOx排出量は、省エネ法の空気比基準※5において、50ppm(O2=0%換算)以下を実現。
    ・定格ボイラ効率は98%(蒸気圧力0.49MPa、 給水温度15℃、 吸気温度35℃)を実現。
    ・押込送風機と給水ポンプは、インバータ連続制御により実用運転時の消費電力を低減。
    ・独自のPID(比例・積分・微分)制御により、実用運転時のボイラ効率を高く維持。

   ②利便性
    ・小型ボイラー取扱業務特別教育修了者が取扱い可能。
      (ボイラー技士免許不要。伝熱面積が10m²以下、最高使用圧力が1.0MPa以下)

   ③高い蒸気品質
    ・連続燃焼PID制御および連続給水PID制御の採用により、燃焼段階切替えによる圧力変動・給水時
      の缶内温度変化による圧力変動を低減。(±0.005MPa※6
    ・気水分離器水位を連続給水PID制御とすることで水位安定化を図り、気水分離器の旋回機能と
      あわせて、蒸気の高乾き度(99.8%※6)を達成。

   ④ドライ式低NOx燃焼
    ・低NOx化を図るために水素・空気の2段混合と火炎ノズルの複数設置による分散燃焼により、
      蒸気噴霧による発生蒸気ロスならびに排ガス再循環による送風機動力増加の抑制。
    ・旋回ノズルによりガス流速が上昇し、逆火抑制にもつながり安全性が増加。

 2.仕様表(グレードH認定機)

形 式

WF-750/1000GEX-H

WF-1500/2000GEX-H

換算蒸発量

750 kg/h

1,000 kg/h

1,500 kg/h

2,000 kg/h

最高使用圧力

0.98MPa

NOx値

50ppm以下(O2=0%換算)

定格ボイラ効率

98%

使用燃料

水素

             

※1:東京都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づき、小規模燃焼機器(小型ボイラーなど)から排出される窒素酸化物(NOx)および二酸化炭素(CO₂)の排出量が少ないと認められる燃焼機器に東京都環境局から与えられる認証制度。水素燃料を使用する蒸気ボイラーで、低NOxの基準に適合するものを「グレードH」と称す。

※2:都市ガス用バーナで水素を燃焼した場合の当社実験値。

※3:排ガス再循環とは、排ガスの一部を燃焼室に還流させることで燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制する方法。

※4:低空気比とは、燃料の量に対して混合する空気量が少ない状態のこと。低空気比で燃焼することで排ガス熱損失を抑え、高いボイラ効率での運転が可能となる。

※5:省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)では「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」にボイラの空気比基準が定められている。

※6:蒸気負荷静定時の性能。

■参考リンク         

ドライ式低NOx水素専焼小型貫流ボイラを新発売(川重冷熱工業)

【川重冷熱50周年プロジェクト】「やりたい!を、やってやろう。」(60秒Ver.)


■お問い合わせ先
 川重冷熱工業株式会社 東京本社
 営業・サービス総括室 営業・サービス企画部
 Tel: 03-3645-8251