限られた空間に多機能を凝縮。
グローバル連携で挑んだ複合運転設備の新構築
川崎重工業が手掛ける航空用ガスタービンの試験運転に対応するため、新たに製作・納入したのがガスタービン複合エンジン運転設備です。老朽化が進んだ工場の更新に合わせて新設する、という約3年に及ぶ大規模案件でした。
新設備では、1つの運転設備で複数機種のエンジンを安全かつ効率的に運転できる環境を構築。面積を従来より40%削減しながらも、多様なエンジン試験に対応できる運転設備を実現しました。
01省スペースを実現した「ミリ単位の最適設計」
新工場の運転設備は、旧設備に比べ約40%の面積削減という厳しい条件に加え、全体のレイアウトを決めていく上で重要な部分となる海外製機器の仕様が、納品までの各工程に必要な作業時間から逆算して、ギリギリのタイミングでしか最終決定されない見通しでした。
そのため、小出しされる事前情報をもとに、想定し得る可能性すべてに対応を出来るよう何度も仮設計を繰り返し、仕様決定後、即座に詳細設計に取り掛かれるよう準備をしました。
更に、詳細設計において安全基準の強化により更なる制約が課せられても、当社の設計チームは、機器配置をミリ単位で調整し、燃料・冷却水・オイル・エアなど複数系統の配管やケーブルの干渉を避けながら、最適な導線と整備性を確保しました。
「顧客の要望に応えきれないのでは!?」という当初の不安に対し、関係部門・協力会社と連携しながら、実際の現場で起こる想定外の事象も一つずつ解決し、知恵と技術を結集してこれらの課題を克服しました。
02複雑な配管・制御・計測を統合するシステムエンジニアリング
複合エンジン運転設備では、燃料・冷却水・圧縮空気・潤滑油等多様な系統を持つため、配管の本数は膨大です。そこで、共用化できる配管・センサを決め、省スペース化を達成しました。また、圧力・温度・流量等のセンサを厳選、最適配置し、エンジン運転の安全性と計測精度を確保しました。
制御システムでは、複数のエンジン種別に応じた補機運転・起動条件・警報機能を統合。エンジンの特性や安全条件に合わせて動作するプログラムを構築し、信頼性の高い制御を実現しています。
03現場で磨かれた「安全プログラム設計力」
安全機能の構築にあたっては、エンジン運転条件と警告発生時の停止条件を細部まで設計しました。燃料圧力や水圧等の異常を検知し、自動的にエンジンを停止させる機構を組み込むことで、エンジンや運転設備が故障する等の危険を未然に防止。PLCプログラムの作成から現地検証までを一貫して行い、設定値を実測データに基づいて最適化しました。現場でのトライ&エラーを通じて、安全性と操作性を両立した運転制御ロジックを完成させています。
04グローバル協働で築いた「世界標準」の試験環境
本プロジェクトでは、川崎重工業の各部門に加え、海外メーカーとも多数連携。メートル法とインチ法、kgとポンドといった単位の違いから、設計に対する考え方の違い、海外メーカーの担当者との現場での仕様調整等、国際プロジェクトならではの課題がありました。言葉の壁を超えるため、図面や3Dモデルを共有しながら「絵で伝えるコミュニケーション」を実施し、海外メーカーの考える安全機能や配線方法を理解した上で、当社として最適な仕様へと落とし込みました。
この柔軟な対応力が、グローバル規格と国内安全基準を両立する設備構築を可能にしました。
05工場全体を俯瞰する監視システムとチーム力
本工場には、エンジン試験の状態をリアルタイムで監視できるシステムを導入。工場全体を俯瞰しながら、複数設備の運転状況を一元管理できる環境を整えました。
当社は、プログラム設計から監視システム構築までを一貫して対応できる体制を持ち、要望反映から製作までを迅速に実現。協業メーカーや関係部門と連携し、信頼性・安全性・操作性を兼ね備えた次世代の試験設備を完成させました。
06未来へつなぐ、当社の統合エンジニアリング力
本プロジェクトには、社内約20名、現地工事でも約20名が参画し、多数の協力企業とともに推進しました。もちろん川崎重工業関係部門とも連携し、複雑な要件のもと安全で効率的な試験環境を構築。
新設備では、「過去設備で課題になっていたことが解決している」と品質・技術力の両面で高い評価をいただきました。「川重明石エンジニアリングさんのおかげでここまで来られた」とかけられたその一言が、私たちの技術者としての誇りと次への原動力です。