日立製作所と川崎重工が海外向け鉄道システム事業で業務提携

2001年04月06日

株式会社日立製作所(取締役社長:庄山悦彦/以下、日立製作所)と川崎重工業株式会社(取締役社長:田﨑雅元/以下、川崎重工)は、このたび、海外向け鉄道システム事業において広範な提携関係を構築し、海外プロジェクト向けの鉄道システムの受注、メンテナンス等を共同で推進していくことで合意しました。
両社は、まず、海外において活発化する鉄道建設需要や、高速鉄道車両のニーズに対応していくため、受注に向けた共同窓口を今月中に設置します。また、今後、個別のプロジェクトについては、共同の管理組織を設立していきます。

今回の提携により両社は、鉄道車両からシステム、建設工事までを総合的に取りまとめることができ、競争が激化する海外プロジェクトへの積極的な事業展開を可能にします。また、両社の持つハードウェア、ソフトウェアのラインアップを相互補完することで、通勤・都市間鉄道、地下鉄、LRT(*1)、新交通システム、モノレール等、あらゆる鉄道システムのニーズに応えることが可能になります。

鉄道システムは、大量輸送が可能であり、環境に優しく安全性の高い交通機関です。こうした点が評価されて、東南アジア、中国、北米、中南米など世界の多くの地域で新規建設や延伸、車両・システム等の改良による高速化等の動きが活発化しており、海外の鉄道システム市場は拡大しつつあります。

日立製作所は、新幹線、各種鉄道車両、モノレールから電気品、主電動機、制御装置、信号システム、運行管理システムまで幅広い鉄道関連システムを手掛けています。ITを駆使し、鉄道車両と組み合わせた信号システムや運行管理システム、世界に先駆けて開発したIGBT(*2)を採用した制御装置等をはじめ、業界に先駆けた技術を持っています。また、グループ内に東京モノレールを持ち、オペレーション&メンテナンスを含めた広範な実績を有しています。

川崎重工は、国内外の鉄道車両を手掛けるメーカーとして、新幹線、各種電車、新交通システムなど、あらゆる鉄道車両を生産しています。世界各国に豊富な輸出実績を有し、海外拠点として米国ニューヨーク州に鉄道車両組立工場、加えてネブラスカ州に鉄道車両工場の建設を進めるなど、積極的な海外展開を進めています。また、海外プラント建設での経験を活かした鉄道システム構築等、広範な実績を有しています。

今回の提携により両社は、日立製作所の持つ鉄道システムのハード、ソフトウェアの開発力とシステムエンジニアリング力と、川崎重工の持つ鉄道車両の技術開発力、海外車両プロジェクトでの実績、プラントエンジニアリングのノウハウを組み合わせることで、総合的な鉄道建設プロジェクトを請負うことのできる体制を確立することになります。両社は、互いの実績、ノウハウを活かしながら、欧米をはじめとする競合メーカーに勝ち抜き、鉄道システムの積極的な海外展開を図ります。

*1 LRT: Light Rail Transit
*2 IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子)