事業所間での脱炭素電力融通ワンストップサービス提供に向けた実証試験を実施

2023年03月02日

川崎重工は、グループ会社のカワサキグリーンエナジー株式会社(以下、KGen)と、これまでの蓄電ハイブリッドの実証1成果や独自のエネルギーマネジメントシステム(以下、EMS)の改良により、当社の明石工場(兵庫県明石市)から播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)に最大約500kWの電力を送電する実証試験を実施しました。
今回の実証試験は、事業所間で脱炭素電力を融通するサービスをワンストップで提供するため、当社グループとして初めて取り組んだ自己託送2になります。

複数の事業所を有する企業がカーボンニュートラルを目指すには、脱炭素電力を効率的に調達する必要があります。高効率なガスコージェネレーションシステム3の電力や、太陽光の電力を複数の事業所で利用できる自己託送は、エネルギーコスト削減や温室効果ガス削減に貢献します。
実証試験を通じて、改良版EMSが分散型電源からの送電可能量や時間帯等を予測し、KGenが関係機関への発電計画提出や発電出力増加を指示することで、自己託送を実現できることを確認しました。自己託送で不足する電力需要については、非化石証書4を付けた電力を供給することで、温室効果ガスを削減しています。

当社は、今後もコージェネを含む高効率分散型電源や改良版EMSなどの製品を提供することに加え、KGenとともに太陽光電力などの自己託送サービス提供により、お客様の事業所間での脱炭素電力融通をワンストップで支援し、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の普及拡大に貢献していきます。

【実証概要】

(1)実証の体制

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(2)明石工場・播磨工場の設備構成と自己託送の模式図

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(3)自己託送の計画の流れ

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(4)実証結果の例(上:自己託送計画変更、下:2種類の自己託送)

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【自己託送の特長】

(1) エネルギーコスト削減の選択肢
自己託送制度では、自社の発電設備で発電した電力を使用するため、電力会社等から購入する電力量を削減することが可能です。現制度では再エネ賦課金や燃料調整費などがかからないため、コスト削減の選択肢となりえます。
(2) 国への定期報告(エネルギー使用量・CO2排出量)での活用
自己託送制度では、燃料種が特定された自社の発電設備の電力を使用するため、電力の一次エネルギー換算係数やCO2排出係数といった各種係数が特定できます。国に報告する「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」や「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」の定期報告においても自己託送した電力は、各種係数を使用することができます。

1 明石工場の自家発電設備で蓄電ハイブリッドシステムの実証を開始
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20210719_1.html
2 電力会社が運用する電力系統を介して、別の場所にある工場等に送電するサービス
3 発電時に排出される熱を回収・利用することで効率が高いエネルギーシステム
4 再生可能エネルギーなど非化石電源の環境価値を取引するために証書したもの

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