電気リモートコントロールユニット「ERUシリーズ」がIEC 61508およびISO 13849のTÜV-NORD認証を国内初取得

2022年11月30日

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認証ロゴマーク 電気ジョイスティック(ERU2 電気ペダル(ERUP2

川崎重工は、建設機械用電気リモートコントロールユニット「ERUシリーズ」において、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)の協力のもと、機能安全設計に関する国際規格IEC 61508※1およびISO 13849※2への適合に関するTÜV-NORD(テュフ ノルド)認証を取得しました。TÜV-NORD認証を油圧機器メーカーで取得するのは国内初となります。

機能安全設計とは、制御システム等の設計段階において要求の安全レベルを担保するための設計的な配慮を織り込むことを指し、同国際規格はそれを規格化したものです。近年、欧州市場における建設機械でも同国際規格への適合ニーズが高まってきており、その構成要素である電気リモートコントロールユニットにおいてもその適合が必須の状況となりつつあります。
今回、「ERUシリーズ」がグローバル認証機関であるTÜV-NORDによる認証を受けたことで、同国際規格による機能安全要求を満たしていることを客観的に示すことができるようになりました。これにより顧客の建設機械システムの機能安全設計に対して、より信頼性の高いエビデンス提供が可能となりました。

当社が開発・提供している電気リモートコントロールユニット「ERUシリーズ」は、パワーショベルなどの建設機械の操縦用途向けで、近年の電気制御化の進展に伴って、従来の油圧式からの置換としてその適用が増加しつつあります。信頼性の高い電気制御ユニットを組み合わせたものであり、建設機械で求められる操作性と厳しい耐環境仕様に適応しています。1990年代初頭にシリーズの初代を開発・量産開始し、以降約30年間で、電気ジョイスティックERU2を中心に、累計で55万台の受注(納入)実績を有しています。
今回の認証対象は、電気リモートコントロールユニット「ERUシリーズ」に使用されるCAN通信仕様※3のユニットであり、ニーズに応じてジョイスティック(ERU2)、レバー(ERUS1)、ペダル(ERUP)製品に 適用が可能です。いずれも安全性の区分レベルは、IEC 61508SIL2※4ISO 13849PLd※5 に対応しています。TÜV-NORD認証を取得したことで当社製品の安全性が世界標準で証明され、今後も信頼性の高い製品をマーケットに提供し続けます。

当社は今後も、これまでの実績と技術力を広く活かしながら、さらなる顧客目線の製品価値向上に努め、建設・インフラ工事の安全や生産性の向上を通じて人々の豊かな生活の実現に貢献していきます。

1 IEC 61508:
IEC(国際電気標準会議)が制定したコンピュータ・ソフトウェアを含む電気・電子・プログラマブル電子による安全制御システムに関する基本安全規格。
2 ISO 13849:
ISO(国際標準化機構)が制定した機械類の安全制御システムに関する基本安全規格。
3 CAN通信仕様:
Bosch社が開発してISO11898で規格化されたシリアル通信プロトコル。マイクロコントローラーとデバイスが、車両内で相互に通信できるようにする車載ネットワークの標準規格。自動車以外にも産業・航空・医療などの様々な現場で利用されている。
4 SIL2
IEC 61508により定められた安全制御機能の信頼性を表すレベルのことであり、SIL14までの4段階のうちの一つ。単位時間当たりの危険側故障の発生平均確率で定義され、SIL21000万分の1~100万分の1に相当する。SILはSafety Integrity Levelの略。
5 PLd:
ISO 13849により定められた安全制御機能の信頼性を表すレベルのことであり、PLa~e5段階のうちの一つ。単位時間当たりの危険側故障の発生平均確率で定義され、PLd1000万分の1100万分の1に相当する。PLはPerformance Levelの略。

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