小型の水冷媒ターボ冷凍機を世界に先駆けて販売開始

2013年01月24日

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川崎重工は、水を冷媒としたノンフロンの小型ターボ冷凍機を世界で初めて商品化し、2月より営業活動を開始します。

水冷媒ターボ冷凍機は、オゾン層保護および地球温暖化防止に貢献可能な冷媒として水を採用した地球環境に優しい冷凍機です。今回発売する水冷媒ターボ冷凍機の冷凍能力は、小規模のビルや工場、事務所の空調用に適した100冷凍トン(352kW)で、ノンフロン、オイルフリー、コンパクト設計を実現しながらも冷却性能はフロン系冷媒冷凍機と同等のCOP5.1(※)を達成しています。

当社は、水冷媒ターボ冷凍機の市場投入に先駆けて、環境負荷低減に関する積極的な取り組みを行っている(株)ブリヂストン北九州工場の空調用として、2012年9月から10月に実証運転を行い、実環境においても想定通りの性能を確認しています。

本冷凍機の主な特長は、以下のとおりです。

(1)水冷媒
自然冷媒である水はオゾン層破壊係数ゼロ、非温室効果ガス、燃焼性・毒性を有しないという特長があります。また、水は低圧冷媒であるため高圧ガス保安法などの適用外となり運用上のメリットがあります。

(2)高性能
ターボ冷凍機の冷媒として水を採用する場合、常温・常圧で液体である水は冷凍サイクル中で蒸発させる際に大幅に減圧する必要があるため、圧縮工程における圧縮機の性能向上が課題でしたが、これまで培ってきた回転機械技術を活かして圧力比が高く高性能な新型圧縮機を開発し、フロン冷媒冷凍機並みの性能COP5.1を達成しています。

(3)コンパクト設計
ターボ冷凍機の冷媒として水を採用する場合、常温・常圧で気体である代替フロンの場合と比較して冷凍機は大型化する傾向にありますが、新型圧縮機の開発をはじめ、主要機器を自社開発し小型化することで、既存冷凍機との置き換えが可能なサイズにまでコンパクト化することに成功しています。

(4)オイルフリー
高速電動機の採用により増速機を無くし、オイルフリー化を実現しています。

 

当社は神戸工場内にモデルプラントとして設置している水冷媒ターボ冷凍機の運用により、設備導入からオペレーションおよびアフターサービスにわたる運用ノウハウの蓄積やソリューション提案力の強化を図り、水冷媒ターボ冷凍機事業の積極的な展開を目指します。

地球温暖化対策および環境負荷低減が急がれる中、当社は水冷媒ターボ冷凍機の普及を通じて、地球環境の改善に貢献していきます。

 

主要目
冷凍能力
 100冷凍トン(352kW)
COP
 5.1
冷水
 入口温度12℃/出口温度7℃
冷却水
 入口温度30℃/出口温度35℃
冷媒
 水(R718)
寸法
 長さ約2.5m×幅約2.5m×高さ約2.5m
質量
 約7.5ton
駆動方法
 インバータ
電源
 3φ、400V/440V、50Hz/60Hz

 

※COP(Coefficient of Performance):冷凍能力(kW)/消費電力(kW)で表される冷却性能の評価指数。