ベルギーでガスタービンコージェネレーションシステムの水素混焼改造工事を完了、営業運転を開始

2024年02月19日

川崎重工は、Kawasaki Gas Turbine Europe GmbH(ドイツ、以下KGE※1)を通じて、Chevron Phillips Chemical International N.V.(ベルギー)向けに、DLE※2燃焼器を搭載した1.8MW級天然ガス焚きガスタービンコージェネレーションシステム「GPB17D」を、体積比30%までの任意の割合で水素混焼が可能な「GPB17D-H2」に改造する工事を2023年10月に完了し営業運転を開始しました。本システムは、1.8MWクラスで世界初のDLE水素混焼システムとして、現在まで順調に営業運転を継続しています。なお、天然ガス焚き仕様から水素混焼仕様への改造工事を行ったのは今回が初めてです。

1.8MW級水素混焼ガスタービンコージェネレーションシステム「GPB17D-H2」

1.8MW級水素混焼ガスタービンコージェネレーションシステム「GPB17D-H2」

Chevron Phillips International N.V.は、世界各地で石油化学製品の生産・販売事業を展開するPhillips Chemical Company LLC.(米国)傘下の会社です。ベルギー東部のテッセンデルロ工場で発生する副生水素を燃料として有効活用することで、化石燃料への依存度とエネルギーコストの低減とCO2排出量削減を図ります。

当社のDLE燃焼器を搭載した天然ガス焚きガスタービンは、全ての機種でガスタービン本体を改造することなく水素混焼に対応することが可能です。既存システムの機器を流用しながら、水素圧縮機と燃料混合システムなどを追加するだけで水素と天然ガスと混焼できるため、実績あるガスタービンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することができます。

当社は、将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる、はこぶ、ためる、つかう)の構築を推進していきます。日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは脱炭素化に貢献する重要な製品の一つであり、当社は今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進めてまいります。※3

Green Gas Turbines powered by H2

水素混焼ガスタービンコージェネレーションシステム「GPB17D-H2」スペック

ガスタービンモデル M1A-17D
発電出力(kW) 1,777
燃料消費量(m3N/h)(水素30%混焼時) 13Aガス 509
水素 219
蒸気量(kg/h) 5,120
NOx低減方式 DLE
NOx値(ppm)(O2=0%換算) 52.5
総合効率(%) 83.7

【条件】ガスタービン:吸気温度15℃ 大気圧力=101.3kPa(高度0m相当) 吸気圧損=0.98kPa 排気圧損=2.45kPa、燃料:都市ガス13A(LHV=40.6MJ/m3N)、水素(LHV=10.8MJ/m3N)

  1. ※1KGEは、欧州向けにガスタービン発電装置を中心としたエネルギー関連機器・システムの製造、販売、サービス事業を展開する当社100%子会社。
    https://www.kawasaki-gasturbine.de/en/
  2. ※2Dry Low Emissionの略。水や蒸気の噴射に拠らず燃焼温度を低く制御することで、NOx排出量を削減する方式。
  3. ※3水素ガスタービン開発ロードマップ
    https://www.khi.co.jp/energy/pdf/20220915_hydrogen-introduction.pdf

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