プロジェクト紹介

電力回生システム

電力回生システムを導入、省エネ・環境保全に貢献

問題解決型のプロジェクトを組織

CO2削減をはじめとした地球規模の環境問題が、ますます顕在化しています。その解決には、エネルギー利用効率の向上と低エミッションが欠かせません。実際、車両を減速させるときに 生じる電力を回収し、これを再利用する動きも各分野で広がっています。

こうした時代要請に応えるべく、当社はガスタービンにおけるエネルギーの有効利用と環境負荷の低減を検討。川崎重工ガスタービンビジネスセンターとともに、問題解決型のプロジェクトを組織し、電力回生システムの設計・製造から導入までを行いました。地球温暖化や電力供給の問題に応え、共生社会の実現に寄与する取り組みといえます。


電力回生の状態はモニターでリアルタイムで確認できます。
周波数にかかわらず電力を回生

産業ガスタービン発電装置の出荷試験で発生する電力は、これまで水抵抗器によって熱に変換され、廃棄されていました。

この電力を回生し、工場電力として利用するための電力回生システムを導入しようというのがこのプロジェクトです。調査段階を含めて約5年、実質的な開発・導入は1年ほどの期間を要しました。

回生装置はUPS(無停電電源装置)の機能を利用し、まず電圧6600V・周波数50Hz/60Hzの電力(最大1000kW)をいったん直流変換します。ここでは入力電力の周波数の違いにかかわらず、回生の対象となります。直流変換後は、出力側の系統電力(電圧6600V・周波数60Hz)にあわせた交流に再変換し、送電します。

水抵抗器と並列運転することによって、負荷をとり、1000kW出力以上の製品からも回生電力を取りだすことができます。なお、水抵抗器への切り替え設定などは、無線接続のパソコンによる遠隔操作が可能となっています。

上記のとおり、回生装置を運用することで、電力系統と連系することになります。ここでは、回生した電力は外部に出さないので、工場内の所内系統連系となり、発電設備を工場内送電系統に接続して運用することを示します。これには、資源エネルギー庁が定める「電力系統連系技術要件ガイドライン」によって、規定・制約が設けられています。

そのため、この電力回生システムについても技術要件が適正であることを、国や電力会社に確認しシステム運用へとつなげています。

系統連系により工場内の電気として有効活用

系統連系により工場内の電気として有効活用

近年、エネルギーの有効活用が益々重要になり、需給サイドのEMSとして、工場ではFEMS(工場エネルギー管理システム)への試みが進められています。

今回のプロジェクトは、回生電力を工場内の電力系統に戻すことでエネルギーのコントロールを可能にするもので、この新しいシステム構築への足掛かりになります。特に、発電設備と需要設備が混在する工場での効率的なエネルギー管理を行うことで、省エネルギー性・環境保全性・経済性への寄与を目指しています。


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