プロジェクト紹介

工場間搬送車輌

巨大重量物の工場間搬送、カーブ走行を可能にしたシステム

ボーイング787の前部胴体を工場間搬送

巨大重量物を工場間で搬送する必要から、このプロジェクトが動き始めました。経緯は、川崎重工航空宇宙カンパニーが中型旅客機「ボーイング787」の前部胴体等の生産を受注したことに始まります。生産拠点として同社の名古屋第一工場(愛知県弥富市)を増設し、対処することになりました。


大型の前部胴体は、炭素繊維複合材料で一体成型されます。これを生産工程で北工場から南工場へ搬送する必要があり、敷設されたレール上を走行する台車が輸送手段として計画されました。当社はこの搬送システムを「工場間搬送車輌」として受注しました。

両工場間のレール敷設距離は約300m。曲線軌道を用いたカーブ区間があり、これに沿って巨大重量物を移動させることは容易ではありません。

カーブ走行の課題をクリア

一般的な鉄道車輌の場合、カーブした軌道を走行するとき、車輪踏面がテーパー形状になっていることやレールと車輪との間にはわずかな「滑り」が生じることで、スムーズなカーブ走行ができます。しかし、今回の搬送車輌は重量が、230t(皆さんが日常利用されている通勤電車の7〜8両分に相当する)あり、2本のレールの間隔(軌道幅)が大きく、また、カーブ半径が小さいため、鉄道車輌と同様の機構が採用できません。


そこで、重量物のスムーズなカーブ走行を実現するために、車輪を独立させるとともに、その動きを個別に制御する機構を採用しました。これらは、当社にとっては初めての設計テーマであり、参考にできる類例もあまり多くないため、川崎重工グループの力を結集して課題の解決に取り組みました。

定期的な保守で信頼性を確保

多くの困難な課題を克服して完成した搬送車輌は、納入後順調にその役目を果たしています。

荷重を伝達する部位については、特に注意深く疲労強度などを中心に解析技術を駆使して設計したことが功を奏し、納入後実施している定期点検を通じ、設計どおりの耐久性を裏付けるデータが得られています。

今後も、定期的な保守作業を通じ、工場間搬送車輌の信頼性をより高め、ボーイング787の安定した生産を継続できるように全力でサポートしていきます。

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