ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車の受注内定

2010年04月29日


R142A

川崎重工は、当社の米国現地法人Kawasaki Rail Car,Inc.(KRC:ニューヨーク州ヨンカース市)を通じて、全米第1位の車両保有数を誇るニューヨーク市交通局(NYCT※1:New York City Transit)より地下鉄電車(R188)新車23両ならびに既存車改造10両の発注内示を受けました。受注金額は約87百万米ドル(約81億円)で、2011年から2012年にかけて順次納入する予定です。今回の契約には、新車123両ならびに既存車改造350両のオプションが付随しており、当局の予算が承認される2010年夏頃にオプションは行使される見通しで、オプション契約も含むと契約総額は約471百万米ドル(約438億円)となり、2015年まで生産が継続することになります。

R188地下鉄電車は、当社が2001年から2005年にかけて納入したR142A地下鉄電車(納入総数600両)をベースに、地下鉄運行システムのさらなる運転効率・信頼性・安全性向上を図るため、CBTC(Communication Based Train Control※2)方式の列車制御システムを採用した車両です。本プロジェクトは当社納入車両の列車制御システムの高度化という新しい受注形態であり、当社の北米車両事業の高付加価値化と雇用創出面で大きな意義を持つものです。

今回受注する車両の構体製作を兵庫工場(神戸市)で、機器取付けと最終組立、試験をヨンカース工場(米国ニューヨーク州)で行い、順次NYCTへ納入します。既存のR142A車両のCBTC方式への改造はすべてヨンカース工場で行います。NYCTはCBTC方式への順次置き換えを計画中であり、今後もそれに伴う継続的な車両発注が行われる見込みです。

当社は、NYCT向けでは1982年にR62地下鉄電車325両を受注して以来、累計2,000両以上の納入実績を持ち、米国最大の鉄道事業者であるNYCT保有の地下鉄車両では当社がトップシェアを占めています。今回のNYCTからの受注は、当社のNYCT向け車両の高い信頼性と豊富な納入実績、技術力が高く評価されたものです。

今後とも当社は、高い技術力と信頼性をもとに、環境負荷の少ない交通手段である鉄道車両を国内外に提供していきます。

□R188車両の概要
(1)分類:地下鉄電車(11両1編成で運行)
(2)寸法:15.6m(長さ) × 3.1m(幅) × 2.5m(高さ)
(3)車体素材:ステンレス鋼

※1: NYCTは、ニューヨーク州交通局(MTA: Metropolitan Transportation Authority)傘下の鉄道会社。MTAの傘下には、NYCTのほか、ロングアイランド鉄道、メトロノース鉄道等がある。

 

※2: 従来の列車制御システムは、走行レールに信号電流を流して列車に制御情報(主に最高速度など)を送り、この情報を車両で受信して列車の制御(特に速度制御)を行っている。一方で、CBTC方式による列車制御システムは、制御情報を無線で列車に送り、この情報を車両で受信して速度を制御するシステムである。