JESCOから北海道PCB廃棄物処理施設(増設)設置工事の設計業務を受注(カワサキプラントシステムズ)

2008年03月27日

 

 

 

川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、日本環境安全事業株式会社(以下、JESCO)から、北海道PCB廃棄物処理施設(増設)設置工事の設計業務を受注しました。今回受注したのは、本施設の設計・施工に要する総額262億円のうち、設計業務分の約24億円で、残る施工分についても平成20年度中に正式契約する予定です。

本件は、JESCOが北海道室蘭市に建設中の北海道PCB廃棄物処理施設に続く増設工事に関する設計業務で、全体の施工は平成22年8月に完工する予定です。当社は、プラズマ溶融炉(PEMTM炉)を中核とするPCB汚染物等処理システム(受入・保管設備、前処理設備、払出設備、ユーティリテイ及び付帯設備を含む)全体の設計・施工(外構工事を除く)および試運転を担当します。

PEMTM炉は、当社が平成15年に琉球大学(沖縄県)でPCB汚染物等や廃PCBの無害化処理の実証試験を行い、平成16年にPCB等処理技術調査検討委員会の技術評価を受けて認定された技術です。

本システムは、PCBの安全な無害化に適した多くの技術的特長を有しており、また数々の安全対策を盛り込んだシステムとなっております。

1.PEMTM炉上部から投入された処理物は、3,000-5,000℃と極めて高温のアークプラズマに晒され、その後、炉内に保持されている1,400℃以上の高温溶融ガラス層に溶け込みます。これらの過程でPCBは熱分解され、完全に無害化します。一方、溶融ガラス層に溶け込んだ処理残渣は、非浸出性※1の溶融固化ガラス及び固化金属として炉底より排出されます。

2.PCBが存在する全ての区域についても空気圧を負圧で管理し、それぞれの排気は排気処理装置によりクリーンに保ちます。また、排気処理装置などの万一の機能低下を担保するため、連続モニタリングによる常時監視を行うとともに、セーフティネットとして活性炭フィルタや緊急遮断ダンパーを常備することで、施設外へのPCBの漏洩を防止します。

3.PEMTM炉から出る排ガスについても、連続モニタリングによる監視、活性炭フィルターによる浄化対策を行い、安全を確保したうえで大気に放出します。また、処理過程で生じる防護服等の2次汚染物はPEMTM炉に投入され、完全に無害化されます。

また、PCB汚染物等の前処理設備等においては、JESCO北九州事業所や国内電力会社向けなどで豊富な実績を有する東洋エンジニアリング株式会社を起用し、設計・施工の信頼性を確保するとともに、徹底した寒冷地対策を行うなど、施設内外の安全面には万全の配慮・対策を講じます。

当社は今後とも一般廃棄物や産業廃棄物の処理に加えて、PCB等の難分解性廃棄物の安全かつ効率的な無害化処理など、環境負荷の低減に寄与するシステムの開発、拡販に注力していきます。

■PCB汚染物等処理システムの概要

(1)主要設備
  前処理設備(PCB汚染物等の受入・保管設備、破砕設備、排気処理装置)
  PCB処理設備(PEMTM炉×2基)
  後処理設備(固化ガラス及び固化金属払出設備、分析設備、廃水処理設備)
  建屋及び付帯設備
(2)処理能力
    8トン/日以上(安定器重量)かつ2,000トン/年(PCB汚染物等※2重量)

※1:物質の成分が溶け出さない性質のこと。
※2:「感圧複写紙、ウエス、汚泥等のPCB汚染物及び安定器を含む小型電気機器」のこと。