中国北京市向け熱電併給プラントを受注

2005年03月14日

川崎重工は、丸紅の協力のもと、中国北京正東電子動力集団有限公司より天然ガス焚熱電併給(ガスタービン複合発電)プラントを受注しました。本プラントの受注金額は約60億円で、契約範囲は、ガスタービン、排熱回収ボイラ、蒸気タービンとそれら付属設備の供給です。

今回受注したプラントは、北京市の大気環境改善を図るため同市北東部の工業・住居地域である電子城地区に導入するもので、ファイナンスは国際協力銀行の2001年度円借款(「北京市環境整備事業」)によります。本プラントは、同市で初めての天然ガスを用いた熱電併給プラントで、完成は2006年11月の予定です。

北京市では、急速な経済成長に伴い環境汚染が深刻化しており、同市では、原炭の使用制限や天然ガスの使用拡大、地域熱供給システムの改善を通じてSO2、NOX、CO2等の排出ガスを削減する方針を打ち出しています。電子城地区には、近年外資系企業を含む工場・企業の進出が急増していますが、同地区の工場・企業の多くが脱硫装置の付設されていない石炭焚き小型ボイラを使用しており、同地区の年間石炭消費量は40万トン、年間排出煤塵量は2,200トン、SO2排出量は2,160トン(いずれも2000年)に達し、北京市内における大気汚染源の一つとなっています。本プロジェクトは、同地区内の石炭焚き小型ボイラの代替として、天然ガスを利用した熱電併給プラントを導入することにより、SO2、NOX、CO2等の排出量削減を図ることを目的としており、環境保全・省エネルギーの観点から北京市の同種計画の普及に向けたモデル事業として位置付けられるとともに、世界銀行のクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクト活動評価報告においても最高得点を獲得しています。

本プラントは、約120MWの熱電併給プラントで、ガスタービン2基、排熱回収ボイラ2基および蒸気タービン1基から構成されます。熱利用が多くなる冬期には十分な蒸気供給量を確保する一方、夏期には余剰蒸気を電力として利用するなど、フレキシブルに対応できる熱電比可変型のシステムです。

当社は、中国では、1996年に宝山鋼鉄集団公司向けに150MWの高炉ガス専焼コンバインドサイクル発電設備を納入しています。また、一昨年、ブラジルの独立系発電事業者(IPP)フォレタレザ社向けに、出力310MW級複合火力発電所を納入するなど多くの実績を有しており、今回の受注では、当社のエンジニアリング力およびタービン、ボイラメーカーとしての豊富な経験と技術力が高く評価されました。

当社は、本プラントの受注を機に、今後本格的な拡大が期待される中国市場において熱電併給設備をはじめとするエネルギー関連設備の拡販を図っていきます。

※クリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクト:
京都議定書では先進国の温室効果ガス排出量の削減が規定されるとともに、全地球規模で削減を効率的に促進するという考えに基づいて、先進国で削減しきれなかった排出量を途上国での排出量を削減することで相殺する、CDMや国際排出権取引等が緩和措置として認められています。CDMは、先進国の資金・技術支援により途上国において温室効果ガスの排出削減事業を実施し、そこから生じる削減量を先進国の削減目標の達成に利用できる制度です。世界銀行ではCDMの実施に備えて、中国において独自にCDMケーススタディを実施しプロジェクトの評価を行っており、その中で本プロジェクトが温室効果ガス排出量の削減に最も寄与するものとして評価されています。