自社開発の純国産20MW級高効率ガスタービン「L20A」を搭載したコンバインドサイクル発電設備を初受注

2004年04月27日

川崎重工は、住友商事株式会社が千葉食品コンビナートで実施するオンサイト熱電併給事業(千葉美浜発電プロジェクト)向けに、総出力50MWのガスタービンコンバインドサイクル発電設備をフルターンキーで受注しました。本発電設備には、当社が自社開発した純国産の20MW級高効率ガスタービン「L20A」が採用され、これは「L20A」の初受注となります。

千葉美浜発電プロジェクトは、サミット美浜パワー株式会社(住友商事株式会社の100%子会社)が、千葉食品コンビナートを構成する複数の工場に電気と蒸気を供給するとともに、発電電力の一部を電力小売事業者であるサミットエナジー株式会社に売電を行う熱電併給事業です。
本プロジェクトの大きな特長は、従来の熱電併給事業では1社1工場での自家消費が一般的であったのに対し、工業団地を構成する複数の工場への電気・蒸気の供給事業と電力小売事業とを結び付けていることにあり、50MW規模の発電所としては他に例を見ない全く新しい事業形態です。1工場単独での導入では分散型発電のメリットが十分に生かしきれなくても、このような事業形態をとることにより、発電設備の能力を最大限に発揮することができることから、今後分散型発電分野におけるこのような事業形態は広く採用されていくものと期待されます。

本プロジェクト向け発電設備は、高効率ガスタービン「L20A」2基、排熱ボイラ2基、蒸気タービン1基および複数の貫流ボイラで構成されています。排熱ボイラは高効率複圧ボイラで、蒸気タービンは抽混気式を採用しており、「L20A」にこれらの機器を最適に組み合わせることにより、食品コンビナート各社およびサミットエナジーの熱電需要の変動に柔軟に対応することが可能となり、総合エネルギー効率を大幅に改善すると同時に、CO2削減等環境対策の面においても大きな効果が発揮されます。
蒸気供給においては、食品工場で必要とされる蒸気の直接・間接利用に対応するため、ボイラからの直接送気方式に加えてコンバータによる熱交換方式も採用しており、構成会社の個別要求に対応できる設備となっています。

本発電所の建設にあたっては、当社は計画段階から参画し、設計、土木建設工事、機器製作・据付、メンテナンスはもとより、発電設備を常に最適の状態で運用できるよう「運用支援システム」の供給やオペレーション指導まで広範囲にわたって担当しています。なお、本発電設備の操業開始は2004年7月の予定です。

本発電設備の心臓部となるガスタービン「L20A」は、10MW以上の発電市場への参入を目指し、当社が培ってきた30年を越える産業ガスタービンの技術と経験をベースに最新の流体解析技術や材料技術等を駆使し、1998年から自社技術にて開発を進めてきた最新鋭の純国産高効率ガスタービンです。2000年9月に初号機が完成、2001年11月より当社明石工場に「L20A」を用いたコジェネレーション設備を設置し、工場内に電気と蒸気を供給しています。明石工場では極めて良好に稼動しており、信頼性の確認ができたことから、この実績を基に現在国内外で積極的に営業活動を展開しています。

現在、当社は出力150kWから18,000kWまで広範囲の純国産ガスタービンを品揃えし、これまで非常用発電設備やコージェネレーションシステム向けに7,000台以上の発電設備を納入しています。当社製ガスタービンは卓越した技術と信頼性により高い評価を得ており、国内の中小型産業用ガスタービン市場においては、常に60%を越えるシェアを確保し、トップメーカ-の地位を堅持しています。
今後も環境適合性に優れ、総合熱効率の高いガスタービンは、温暖化防止や環境負荷低減といった地球環境保全に最適な原動機として、需要拡大が期待されます。当社は今回の「L20A」初受注を弾みとして、国内外で同ガスタービンをはじめとする純国産ガスタービンを用いた発電設備事業を一層積極的に展開していきます。

今回受注したガスタービンコンバインドサイク発電設備の概要は、以下のとおりです。

□設備概要