ブラジルの独立系発電事業者向けに出力310MW級複合火力発電所を納入

2004年02月17日

川崎重工は、ブラジルの独立系発電事業者(IPP)CGT Fortaleza S.A.(フォレタレザ社)向けに、出力310MW級複合火力発電所(CCPP:Combined Cycle Power Plant)を納入しました。本発電所は、2002年1月に当社が三井物産と共同でフルターンキー契約(土木・据付け工事込み)で受注したものです。

今回納入したCCPPは、天然ガスを燃料とする100MW級ガスタービン(アルストムGT11N2)2基、排熱回収ボイラ2基および110MW級の蒸気タービン1基により構成される出力310MW級の発電所で、ブラジル北東部のセアラー州フォレタレザ市近郊に建設されました。本件で使用されるアルストムGT11N2型ガスタービンは、アルストム社との製造協定に基づき、当社神戸工場でパッケージングし供給したものです。

ブラジルでは、経済成長に伴う電力需要の伸びと水不足による水力発電の不振で、慢性的な電力不足が社会問題になっています。そのためブラジル国内では、IPP事業者による大規模な発電所や地域・企業による自家発電設備など、今後も継続的な需要が見込まれています。今回スペイン大手電力会社ENDESA(エンデサ社)グループのフォレタレザ社に納入したCCPPで発電される電力は、売電先である配電業者COELCE(コエルセ社)を通じて、セアラー州内の工場および一般家庭などに広く供給されます。

CCPPは、ガスタービン発電を行うとともに、発生した高温高圧の排出ガスのエネルギー(排熱)を排熱回収ボイラにより蒸気として回収し、蒸気タービンによる発電を合わせて行う、エネルギーロスの少ない発電システムです。現在、火力発電の分野においては、環境負荷が少なくエネルギー効率の高い発電が可能な天然ガスを用いたCCPPが主流となっており、電力不足が懸念されている米州や東南アジアを中心に多数の発電所が建設されています。

当社は、1993年のインド電力庁向け649MW級CCPPをはじめ、フィリピンや中国などアジア地域を中心とした豊富なCCPPの納入実績を持ちます。当社は、CCPPのキーハードである排熱回収ボイラに強みを持ち、技術提携先であるアルストム社製ガスタービンをはじめ、他メーカー製のガスタービンにも幅広く対応した事業展開を行っており、新規CCPPの全体建設に加え、ガスタービン発電所のCCPPへの改造工事(ボトミング工事)や排熱回収ボイラの単体供給にも豊富な実績を有しています。また、最近では2003年12月にフィリピンのIPP向けに210MW級の石炭火力発電所を受注しています。

当社は、今後ともCCPP建設をはじめ、排熱回収ボイラなどのCCPP構成機器や産業用ボイラ、さらには石炭火力発電所などを中心とするパワープラント事業を強力に推進していきます。