共鳴構造と吸音構造を一体化した遮音壁用ハイブリッド型防音装置を開発

2003年07月16日

 

川崎重工は、道路や鉄道などで発生する騒音を低減・吸収する遮音壁用のハイブリッド型防音装置を新開発しました。

本装置は、共鳴構造と吸音構造をコンパクトにまとめたハイブリッド型を採用し、広い周波数帯の騒音を効果的に低減することができます。共鳴構造は、空洞部と開口部の寸法を変え最適な共鳴周波数にチューニングされた3つの共鳴器で構成されており、共鳴現象による音の干渉効果を利用することで、主として低・中周波数帯域の騒音を低減します。また、共鳴構造の開口部周囲には吸音性に優れたグラスウールを充填した吸音構造を採用し、高周波数帯域の騒音を低減します。

例えば本装置を高さ3mの遮音壁の上部に設置した場合、遮音壁だけの場合に比べ、遮音壁の背後5~10mの範囲において、騒音値が平均4.5デシベル低減します。これは、壁の高さを2.5m嵩上げした場合と同等の騒音低減効果に相当します。

本装置の特長は、幅500mm程度の小型・軽量構造で、既設の遮音壁へも補強工事などを行わずに容易に取付が可能なため、嵩上げによる遮音性能の向上対策に比べ、補強工事費が不要になるとともに、日照の阻害や電波障害などの外部への影響も回避できます。また、本装置は、特定の周波数の騒音を効果的に低減できるため、道路・鉄道用の遮音壁に加え、ごみ焼却設備や各種プラント、ガスタービン発電設備などの煙突上部や工場敷地に設置する遮音壁への適用も可能です。

当社は、本装置の他、鉄道車両や航空機分野での騒音防止技術の開発に取り組んでおり、これまでに鉄道橋における騒音対策工事の実施や、航空機整備用の消音設備として防衛庁向けに「T-4中等練習機用消音装置」や「早期空中警戒機(AWACS)用消音施設」などを納入し、最近では新東京国際空港内の「大型航空機用消音施設」を施工した実績を持ちます。

当社は今後も、騒音防止に関する各種技術開発を進め、より快適な生活環境の整備に貢献していきます。