国内最大のバイオマス(黒液)発電用ボイラ設備を受注

2003年04月02日

川崎重工は、北越製紙株式会社(本社:東京都中央区、社長:新井 陽)新潟工場(新潟市)向けの国内最大のバイオマス(黒液)発電用ソーダ回収ボイラ設備を、丸紅株式会社より受注しました。本設備は本年3月まで約2年間、ソーダ回収ボイラ設備としては国内初の「環境影響評価」を実施し、4月に工事を着工し、2004年10月完成の予定です。

今回受注したソーダ回収ボイラ設備は、パルプ製造工程から発生する黒液専焼のバイオマス発電用ボイラ設備です。バイオマス資源を最大限活用した、高効率で大型化による省エネ対応のコージェネレーションシステム(バイオマス依存率:100%、発電出力:85,000KW)に使用され、環境問題の解決にも大きく貢献します。

本ボイラ設備は、黒液固形分処理量では国内最大となる2,900t/日です。また付属設備として、新技術を採用した脱塩素・脱カリ装置を併設します。この付属設備は、炉内ダスト付着の防止、高温高圧部金属腐食対策として、本ボイラ設備の高効率安定運転にとって必要不可欠な設備です。

北越製紙が、新潟工場にバイオマス発電設備を導入する目的は以下のとおりです。

老朽化した既設のソーダ回収ボイラ設備を休止・集約化して、環境保全の確保を図る
黒液の最大限の有効活用
高温高圧仕様による発電効率の高効率化
省エネルギー機器の採用による最高レベルの省エネ化



本バイオマス発電設備が稼動すると、新潟工場の発電用重油量を35%削減(原油換算で年間30,100KL削減)が可能となり、大幅なCO2排出量の削減(年間72,000t-CO2)を達成する事になります。なお発生した蒸気、電力とも全量工場内で使用します。

当社は、ソーダ回収ボイラ設備においてこれまでに70缶以上の納入実績を国内外に有しており、特に1997年には日本製紙株式会社岩国工場向けに、国内最大容量のソーダ回収ボイラ設備の納入実績(電力70MW、黒液2,700t/日、蒸発量425t/h)を有しています。今回の受注は、こうした当社の納入・運転実績が高く評価されたものです。

今後とも当社はボイラ設備の分野において、資源の有効利用と環境負荷の低減を両立する高効率ボイラ発電設備の開発・販売に注力し、循環型社会の実現に向けた積極的な事業展開を図っていきます。

■ソーダ回収ボイラ設備の概要

(1)ボイラ形式 :単胴自立自然循環式
(2)燃焼方式 :平衡通風方式(黒液専焼)
(3)最大連続蒸発量 :475t/h
(4)黒液固形分処理量 :2,900t/d
(5)温度 :505℃
(6)圧力 :10.3MPa