防爆塗装ロボット「KFシリーズ」のラインナップを強化

2003年02月12日


 

KF192

KF263

 川崎重工は、防爆塗装ロボット「KFシリーズ」に5機種を追加・新発売し、シリーズの充実を図ります。「KFシリーズ」は、2000年4月に当社が神戸製鋼所の塗装ロボット事業を継承して以来、両社が持つ知見とノウハウを結集して新たに開発した防爆塗装ロボットです。
 このシリーズは、一般産業分野におけるあらゆる塗装工程で幅広く適用できるロボットで、第1弾として昨年7月に販売を開始した小型の「KF121」に加え、中型の「KF192」「KF193」、リーチの長い「KF262」「KF263」「KF264」の5機種をラインナップすることで、ユーザの自動化要求にキメ細かく対応します。
 特に3つの回転軸で構成された「3R手首」を標準仕様とする「KF193」「KF263」「KF264」は、塗装用の塗料やエアのホース類を、アームから手首先端まで内蔵することができます。
 また、塗装ロボットにサーボ制御のワーク搬送・回転装置や塗装機制御盤をシステムアップしたパッケージセル、ロボット走行装置、ライン管理盤など周辺装置のラインナップも充実を図りました。


■主な特長■

1.マニピュレータ部

1)マニピュレータの最大リーチは、1240mm(KF121)から2668mm(KF264)までをカバー。さらに、一昨年に発売開始したKE610(最大リーチ 3014mm)と合わせ、業界トップクラスの動作範囲を実現しました。
小さなボタンから大きな建設機械まで、対象ワークの大きさや、設置スペースなど、さまざまな条件に合わせて、あらゆる塗装工程にジャストフィットする最適なロボットを選択できます。
2)塗料やエアのホースを、アームから手首先端まで内蔵できます(KF193/263/264)。アーム内径は40mmと70mmの2つのタイプがあります。これにより、面倒なホース類の処理が不要となるだけでなく、塗装機器まわりのホースに付着した塗装ミストが対象ワークに付着するのを防ぐことができるため、複雑な形状のワークに対して、「ゴミ不良」を出さない塗装工程の自動化を実現できます。

2.コントローラ部(塗装専用 Cコントローラ)

1)操作性を向上させるための、塗装用途に特化した機能をふんだんに盛り込んでいます。 また、カワサキ・プログレッシヴ・モーション・コントロールにより、高速・高精度の軌跡制御を実現しました。
2)防爆仕様のティーチペンダントのほかに、大型TFTカラー液晶を採用した多機能パネルを表示装置として標準装備しており、教示作業や日常運転作業を容易にしました。
3)コントローラが塗装機器およびその他周辺機器を一括制御します。(オプション)
そのため、省スペース化、メンテナンス性の向上だけでなく、きめ細かい塗装機器制御が実現でき、立上げ期間も大幅に短縮できます。

3.パッケージセル、周辺機器、カスタマーサービス

1)ロボットによる塗装工程の自動化を「簡単導入」するために、ロボット、ワーク搬送・回転装置、塗装機制御盤などを組合せてシステムアップした「パッケージセル」を提案しています。
ワーク搬送・回転装置はサーボモータ駆動で、ロボットコントローラが制御するため、細かな動作指令をプログラミングすることができます。
2)サーボ方式により連続回転塗装を可能とした「パッケージセル」により、塗装品質と生産性が格段に向上するほか、塗料の消費量を削減することができます。
3)新発売するマニピュレータと組合せることで、幅広いバリエーションの中から、ユーザの作業工程、現場レイアウト、対象ワークの大きさや生産能力に合わせた、最適な塗装システムをご提案します。
4)今回のマニピュレータのラインナップ完成と「パッケージセル」の強化に合わせ、従来の明石工場に加えて、関東地区(群馬県高崎市)に塗装ブースを備えた「適用テストセンター」を増設しました。
これにより、ユーザにより近い場所で、ロボット導入のテストを実施できることとなりました。
5)カワサキロボット「24時間ヘルプデスク」は塗装ロボットシステムにも対応します。
ヘルプデスクでは、サービスマンがユーザからの問い合わせを直接受け、豊富な経験や技術資料による的確な情報提供および技術指導を電話で行い、不具合の復旧を支援します。

■主要諸元■

1)マニピュレータ部

※ 最大リーチ:RBR手首においては、JT1中心からJT5中心までの距離です。
BBR手首においては、JT1中心からJT4中心までの距離です。
3R手首においては、JT1中心からJT4とJT5との回転軸交点までの距離です。
※ 手首構造:Rは回転軸、Bは曲げ軸であることを示します。
※ 位置繰り返し精度:手首フランジ部における精度です。

2)コントローラ部