ブラジル・ツバロン製鉄所向け転炉ガス回収システム建設を受注

2003年01月15日


 

 川崎重工は、丸紅の協力を得てブラジル連邦共和国・エスピリトサントス州の民間製鉄所であるツバロン製鉄所より、転炉ガス回収システム(転炉工場内集塵器改造・ガスホルダー新設)建設をフルターンキー契約で受注しました。受注金額は、約30億円です。

 今回受注した設備は、既存の転炉工場内集塵器を改造し、製鉄所内の製鋼工場で排出される転炉ガスを回収、ガスホルダーにて貯蔵するものです。回収・貯蔵されたガスは、新規に建設される自家発電設備の燃料として利用されます。

 ツバロン製鉄所は、新設の熱間圧延機稼動にともない電力需要が増加するため、これに対応する新しい発電設備が必要になっていました。ブラジルの主要製鉄所の中で、自家発電で全ての必要電力を確保しているのはツバロン製鉄所のみであり、電力供給が不安定な同国において、競争上のアドバンテージとなります。また、転炉工場内集塵器の改造により、同工場の煤塵は激減することになり、環境の改善に寄与します。

 本件は、業界最大手のSMSなど欧州勢との激しい競争になりましたが、当社の製鋼分野における高い技術力とCSN社、ウジミナス社、コジッパ社に同様の設備を納めてきたブラジル市場での実績および世界市場における実績と、丸紅のアレンジによる国際協力銀行(JBIC)のバイヤーズクレジットが付与されたことが、高く評価されました。

 JBICによるバイヤーズクレジットは、第三者保証なしで供与されるもので、ブラジル民間製鉄所向けでは初めてであり、また、ブラジル政権交代後初めてのものとなります。これは、ブラジルでも5指に入る外貨獲得企業であるツバロン製鉄所の信用力が高く評価されたものです。

 今後、ツバロン製鉄所では、大規模な生産設備拡張計画を検討中であり、当社は今回の受注を機に受注拡大を図る方針です。

(※)ツバロン製鉄所は、アルセロール(仏)、リオドセ(伯)、川崎製鉄等が出資する粗鋼生産500万トン/年の粗鋼生産量を持つブラジルにおける最大規模の製鉄所です。