遠距離海洋レーダ開発用の洋上観測プラットフォームを完成

2001年02月15日

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川崎重工は、総務省通信総合研究所から受注した沖縄電波観測所向けの遠距離海洋レーダ開発用の洋上観測プラットフォームを当社神戸工場で完成しました。この洋上観測プラットフォームは、まもなく西表島北西40kmの海域に係留される予定です。

今回当社が完成した洋上観測プラットフォームは、遠距離海洋レーダの開発の段階において、観測データの信頼性を検証するために観測海域における実際の流れや風、波の状態を把握する目的で遠距離海洋レーダの観測海域内に設置するものです。洋上プラットフォームで得た観測データは、衛星通信で沖縄本島にある沖縄電波観測所に集約された後にインターネットを通して公開される ほか、今後は人工衛星によるリモートセンシングを目的とした海上における現場観測データ(シートゥルースデータ)を取得する装置の搭載も計画されています。

現在開発が進められる遠距離海洋レーダとは、陸上から遠距離の海域に向かって短波帯の電波を発射し海面で反射されて返って来た電波を受信して、海流の向きや速さ、海上風の方向、波の高さなど各種海洋観測データを取得する装置で、陸上から約200km沖合いまでの海流の観測を行なうことができるものです。この遠距離海洋レーダは石垣島と与那国島の2ヶ所に設置され、東シナ海における黒潮の長期連続観測が行われる予定です。

この洋上観測プラットフォームでは、搭載装置の監視や制御にデータ通信(オーブコム)による双方向通信を行なうほか、膨大な観測データの伝送は船舶電話(N-Star)を利用することによってデータ伝送を行ないます。また波浪によるプラットフォームの動揺を計測して波浪データに換算する波浪動揺システムを搭載することにより波浪観測の精度向上を図っています。

洋上観測プラットフォームの装備
(1) 流向流速水温計、風向風速計、そしてプラットフォームの動揺から波を測る装置
(2)観測データを陸上にてリアルタイムでモニターするための制御通信装置
(3)電力を供給する太陽電池パネルと蓄電池からなる電源装置
(4) 付近を航行する船舶の安全のための航路標識灯およびその状態を常時監視する装置