石炭火力発電所における省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムのパイロットスケール実証試験を開始

2020年09月24日

川崎重工業株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長執行役員:橋本康彦 以下「川崎重工」)、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(本部:京都府木津川市、理事長:茅 陽一 以下「RITE」)は、関西電力株式会社(本店:大阪市、代表執行役社長:森本 孝 以下「関西電力」)と、省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムのパイロットスケール試験設備(40トン-CO2/日 規模)を関西電力の舞鶴発電所内に建設し、2022年度から石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス中のCO2分離・回収試験を開始することに合意しました。本件は、川崎重工とRITEが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「先進的二酸化炭素固体吸収材の石炭燃焼排ガス適用性研究」の採択をうけて、関西電力の協力を得ながら実施するもので、2024年度にかけて試験を行う予定です。

工場などから排出されるCO2は地球温暖化の要因と言われており、その一つの解決策として二酸化炭素回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage1、以下、CCUS)が挙げられます。CCUSの導入を促進し、低炭素社会を実現するためには、排ガス中のCO2をより省エネルギーで分離・回収する技術の確立・適用が求められています。なかでも固体吸収法は従来の技術と比べて、CO2分離に要するエネルギーを大幅に低減できる可能性がある2ため、次世代の分離・回収技術として期待されています。

川崎重工およびRITEは、2015年度から経済産業省の委託事業「二酸化炭素回収技術実用化研究事業」(2018年度よりNEDOに移管)において、固体吸収材と、KCCKawasaki CO2 Capture)移動層システム3の開発・改良により省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの性能向上と大型化の目途をつけました。パイロットスケール試験設備は、川崎重工が設計・建設を行い、RITEが開発した固体吸収材を用いて連続運転試験を実施する予定です。さらに、将来の社会実装を見据えて、石炭火力発電所に設置した場合の信頼性/運用性評価や経済性評価を関西電力協力のもと実施していく計画です。

川崎重工およびRITEは、省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの石炭火力発電所における実証試験を重要なステップとしながら、低炭素社会の実現に貢献していきます。

※1 統合イノベーション戦略推進会議で決定された「革新的環境イノベーション戦略」に打ち出されている施策
出典:「革新的環境イノベーション戦略」(経済産業省)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/kankyousenryaku2020.pdf
※2 定量的には、それぞれのCO分離回収エネルギーは、①吸収液方式・・・2.54.0GJ/t-CO2)、②個体吸収方式・・・1.5GJ/t-CO2)となり、40%以上の削減となる。
※3 固体吸収材を適切に移動させることで、連続的に、かつ効率よくCO2を分離・回収できる大型化に適したシステム

[事業の概要]

事業名称 先進的二酸化炭素固体吸収材の石炭燃焼排ガス適用性研究
事業期間 2020年度から2024年度
実施者 川崎重工(パイロットスケール試験設備の設計・建設、CO2分離回収試験)
RITE(固体吸収材の性能向上、製造技術およびシミュレーション技術等の基盤技術開発)
協力者 関西電力(パイロットスケール試験設備の建設工事に関するマネジメント業務)
実施場所 関西電力株式会社 舞鶴発電所(住所:京都府舞鶴市字千歳560番地5

<実証試験のフロー>

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<舞鶴発電所内 パイロットスケール試験設備の設置イメージ>

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