182,000m型LNG運搬船を初受注

2013年06月04日

C3130604-1.jpg (イメージ図)

川崎重工は、川崎汽船株式会社と182,000m型LNG運搬船1隻の造船契約を締結しました。
本船は、当社坂出工場で建造し、竣工は2016年10月を予定しています。なお本船は、国際石油開発帝石株式会社が主体となってオーストラリアで開発を進めるイクシスLNGプロジェクトよりLNGの購入を決めている台湾の台湾中油股份有限公司(CPC Corporation, Taiwan)向けLNG輸送に投入される予定です。

今回受注したLNG運搬船は、当社が新たに開発した182,000mのカーゴタンク容量を持つ世界最大のモス型LNG運搬船です。本船は、これまでの当社におけるモス型LNG運搬船の最大船型である177,000m型LNG運搬船をベースに開発し、177,000m型のパシフィックマックスと呼ばれる船型の特長を最大限に活用するとともにカーゴタンクとしてモス型ストレッチ球形タンクを2基、モス型球形タンクを2基搭載することで、カーゴタンク容積を約5,000m増加させました。ストレッチ球形タンクとは、従来の球形タンクの赤道部に約1.6mの円筒部を追加することによりカーゴタンク容積を増やしたタンクです。

また、本船には、モス型LNG運搬船としては初めてDFD電気推進システムを採用し、低速域から高速域の幅広い船速域で優れた燃費性能を発揮します。

一般にLNG運搬船は、輸送中に自然に蒸発する天然ガス(ボイルオフガス)を燃料として利用していますが、近年の技術進歩による燃料消費量の削減の結果、燃料として消費しきれない余剰ボイルオフガスの処理が新たな課題となっています。当社の建造するLNG運搬船には、30年以上にわたりLNG運搬船での優秀な実績を有する自社開発の防熱システム「カワサキパネルシステム」を採用しています。本船では「カワサキパネルシステム」をさらに改良することで、世界最少の0.08%/日のボイルオフレートを達成しました。これにより、ボイルオフガスを無駄なく活用でき、環境性能および経済性に優れた船としています。

本船の主要目は以下の通りです。

<主要目>

   全長 : 約300m
型幅 : 52.0m
タンク容積 : 182,000m
速力 : 19.5knot
ボイルオフレート : 0.08%/日

当社は、今後とも、クリーンエネルギーとして需要増加が予想されるLNGをはじめとする各種ガスの運搬船の建造に積極的に取り組んでいきます。

DFD電気推進システム

DFDとはDual Fuel Diesel(2元燃料ディーゼル)の略で、通常の発電機エンジンは燃料として油しか焚けませんが、このエンジンは油とガスの両方を焚くことができます。推進システムは、数台の発電機エンジンと可変速の推進モータ等で構成されています。ガスあるいは油を燃料としてエンジンに供給し、発生した電力で推進モータを回しこの動力をプロペラへ伝えます。