ドリルシップ、シャトルタンカー用に「レックスペラ」を連続受注

2010年11月29日

川崎重工は、ブラジル国営石油会社・ペトロブラス社(PETROLEO BRASILEIRO S.A.)が行う油田開発で使用されるドリルシップ2隻分およびシャトルタンカー2隻分となる旋回式スラスタ「レックスペラ」を、韓国の三星重工より受注しました。

「レックスペラ」は、水平方向360度の任意の方向に推進力を得られる全旋回式推進機で、推進機・舵・サイドスラスタの機能を備えており、その優れた操船性から主にタグボートやサプライボートに採用されています。今回当社が受注した「レックスペラ」の概要は以下のとおりです。

 

(1) ドリルシップ用「レックスペラ」

石油関連ビジネスの上流である海底油田掘削に用いられるドリルシップの主推進機として、2隻分となる「レックスペラ」12基を追加受注しました。既に三星重工から受注しているドリルシップ3隻分の「レックスペラ」と合わせて5隻分の受注となり、いずれもこれまでの製作実績としては当社最大となるKST-320LF/AU型(駆動動力:4,500kW)です。掘削時に船体を定位置に保持する必要があるドリルシップに対して、1隻当たり6基の「レックスペラ」が常時連動して使用されることにより、高い定点保持能力を提供することができます。

また、この「レックスペラ」は洋上で推進機の交換が可能な「水中交換式」であることから、整備作業のためにドック入りする必要がなく、非稼動期間の短縮に寄与します。三星重工へは2012年に納入する予定です。

 

(2) シャトルタンカー用「レックスペラ」

石油関連ビジネスの中流である資源輸送に用いられるシャトルタンカーは、洋上に設置された石油生産・貯蔵・積み出し施設から石油を積み込み、石油精製基地までピストン輸送(シャトルサービス)を行います。このシャトルタンカー2隻分として「レックスペラ」4基を、サイドスラスタ6基と  併せて受注しました。1隻当たり2基の「レックスペラ」ならびにサイドスラスタ3基は、主推進機と連動して使用されることにより、強風や潮の流れなどの厳しい海象条件においても荷役のため船体を定位置に保持する必要があるシャトルタンカーに対して、高い定点保持能力を提供することができます。

また、この「レックスペラ」は、ピストン輸送時の抵抗とならないよう、船体内に格納できる「昇降式」となっています。「レックスペラ」、サイドスラスタとも、三星重工へは2011年に納入する予定です。

当社は1983年の初号機納入以来、500基を超える「レックスペラ」を納入しており、またサイドスラスタは1967年以来、3,000基以上もの納入実績を有しています。今回の受注は高い技術力に裏づけされた豊富な納入実績ならびに確立されたアフターサービス体制が評価されたものです。

当社は今後とも、世界的なエネルギー需要の増大に伴って海洋資源開発が活発化する中、シャトルタンカーやドリルシップなど石油・天然ガス分野で用いられる大型船向け推進機の拡販に注力し、舶用推進機ビジネスの拡充を図っていきます。

 

※「レックスペラ」:川崎重工の登録商標です。