KMM新車両工場 構体製作から車両完成までの一貫製造開始

2002年04月19日

川崎重工は、昨年2月より米国現地法人Kawasaki Motors Manufacturing Corp. U.S.A.(以下、KMM)のリンカーン工場内に建設を進めていた最新鋭の鉄道車両専用工場を昨年11月に完成させ、ニューヨーク市交通 局向け地下鉄電車の艤装工程の稼動を開始致しました。この工場は、鉄道車両の一貫製造を行う北米で唯一の工場として、2002年4月19日にオープニングセレモニーが行われ、構体製作から車両完成までの一貫製造が開始されます。

米国では大規模な新線敷設プロジェクトに加え、既存車両の代替や輸送力増強に関するプロジェクトが大幅に増加することが予想されています。新工場は、これらのプロジェクトを始めとする米国向けの需要に対しての新たな拠点として大きな役割を果 たす工場となります。

新工場は、KMMリンカーン工場の136万平方メートルの広大な敷地を活かし、約4万平方メートルの建屋内に約480メートルの直線の構体ライン、艤装ラインを持ち、工場入口から出口にかけて構体(ボディ)製作、試験、塗装そして内装・配管・配線といった艤装作業が一連の流れとして完了するレイアウトとなっています。また、工場内の製造車両の移動手段としてゴム台車や空気浮上台車を採用することにより、床面 にレールのない全面平滑な構造になっています。これらの特長により、新工場は製造車両や部品などの物流を整流化するとともに、製造する車両に合わせて工場レイアウトを簡単に変更できる高効率かつ、フレキシブルな工場です。

また、KMMリンカーン工場は1974年に日本の二輪車・四輪車メーカーとして初めて二輪車の米国生産を開始した工場です。長年の量 産品事業で培った生産システム(Kawasaki Rail Car, Inc.(ニューヨーク州)と、新工場の3工場間で密接な連携をとり、鉄道車両事業を推進していきます。これにより当社は、生産性の向上、海上輸送費の削減、為替リスクの低減、生産のフレキシビリティの向上といった面 で、大きなメリットを見込んでいます。

昨今、鉄道車両は環境負荷の少ない交通手段として、米国をはじめ世界各国でその有用性が見直されています。当社は、今回の新工場完成を機に鉄道車両事業の一層の発展に注力していきます。

鉄道車両新工場の概要

・所 在 地: 米国ネブラスカ州リンカーン市
・生産品目: 米国向け各種鉄道車両
・生産能力: 年産約200両(1日1両)
・建屋面積: 約4万平方メートル
・従業員数: 約180名
・建 設 費: 約50億円
・主要設備: 各種組立治具、スポット溶接装置、艤装組立ライン、各種検査装置

KPS(カワサキ・プロダクション・システム)
Just In Timeシステムをベースに当社の各生産ラインにおける適用を通 じて開発・実証された当社独自の合理的な生産管理技法で、量産・個別生産を問わずあらゆる生産ラインに展開が可能なシステムです。