国内初の全鋼製電車「阪急電鉄600系車両」保存車両を阪急電鉄株式会社へ譲渡

2010年12月27日

国内初の全鋼製電車「阪急電鉄600系車両」

撮影:篠原丞 様

川崎重工は、当社兵庫工場で保存していました国内初の全鋼製電車である阪急電鉄600系車両(602号車)を本日、同社へ譲渡しました。

この車両は、1926年に川崎造船所兵庫工場(現在の川崎重工兵庫工場)で製造され、阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)に納入されて以来、1975年の引退までの約半世紀にわたって、阪急電鉄神戸線や宝塚線で活躍していました。営業運転から引退後は、納入当時の姿に復元して、1975年10月から当社兵庫工場で保存していました。
車体が国内初の全鋼製であるだけでなく、内装も鋼板に木目印刷仕上げを施したり、鋼製の下降式一段落とし窓や意匠性の高い室内灯を採用するなど、当時としては画期的な電車として注目を浴び、その流麗な姿は今も阪急電鉄の車両デザインに引き継がれています。

この車両は、当時の当社技術者がアメリカでオールスチール・カーに乗った際に、車内に『この車はオールスチール・カーで、以前にハドソン河へ転落したとき、一人も死者が出なかったのは、そのためである。』と書いてあるのを目にして、阪神急行電鉄にオールスチール・カーの製作を進言したことがきっかけで実現した車両です。

阪急電鉄は、今年3月に開業100周年を迎えたことの記念事業の一環として、技術的に価値の高い阪急電鉄600系車両を往時の姿に整備したうえで、一般展示することを企画しており、当社は 阪急電鉄の企画に賛同し、このたび譲渡することになりました。
一般公開後は、多くの方々にご覧いただき、鉄道に携わった当時の経営者・技術者が持っていた  先見性や国際的な視点が、現在まで受け継がれていることを、この車両を通して感じていただくことを期待しています。

当社は、1906年の車両工場開設から100年余り、国内外に累計約90,000両の車両を納めてきました。今後とも当社は、高い技術力と信頼性をもとに、鉄道車両事業を積極的に展開していきます。