液化水素サプライ
チェーンの商用化に向けて

─2030年代の社会実装を見据えた一気通貫の実証計画

水素の社会実装のために

水素の本格的な社会実装には、国内需要地に安定的かつ大量に供給できる広域のサプライチェーンが必要となります。水素キャリアの中でも液化水素は、常温の水素ガスに比べて体積を大幅に縮小できるため、長距離・大容量の輸送に適しています。

商用化実証の目的

液化水素の国際サプライチェーン構築に向け、国立研究開発法人NEDOが推進するグリーンイノベーション基金事業(GI事業)として「液化水素サプライチェーンの商用化実証」のプロジェクトが今まさに進められています。こちらのプロジェクトは、液化水素の製造・液化・海上輸送・受入・貯蔵・利用までを一気通貫で実証し、2030年代の社会実装に向けた技術的・経済的な成立性を確認するものです。単なる設備の試運転に留まらず、需要家への供給までを射程に入れ、商用化につながる条件を丁寧に検証していきます。

商用化実証の目的の画像

併せて、本プロジェクトは標準化の推進を重視しています。液化水素に関する安全・設計・運用のルールや規格は、国際的な調達や保険、認証の円滑化に直結します。すでに、ローディングアームシステムのISO承認や、液化水素運搬船向けのIMO要件の採択など、標準化に向けた具体的な前進が示されています。国内では、タンク設計指針、離隔距離、防液堤などの合理化に関する提案を進め、JH2Aなどの産業横断的な場を通じて規制課題の抽出と政策提言を行います。技術と標準化を両輪とすることで、商用化段階での障壁を事前に取り除いていきます。

液化水素サプライチェーンの商用化に向けての写真
(画像提供:日本水素エネルギー㈱)

事業の全体像

本プロジェクトは、日本水素エネルギー株式会社(JSE)が幹事会社となり、上流から下流までの全ユニットを段階的に検証します。まずは個別機器の性能を確認し、次にユニットとしての整合、最終的にはシステム全体としての総合試運転により、連続運転と安全・品質の両立を確かめます。需要家に対する供給試験も視野に入れ、商用稼働へ移行する際の実務課題を明らかにします。
事業体制は、上流(製造・液化)と下流(受入・貯蔵)それぞれにSPC(特別目的会社)が、海上輸送についてはJSE Oceanが担う構えとなります。この体制により、サプライチェーンの各要素を責任分担の明確な形で構築し、工程ごとの最適化と全体最適の両立を図ります。

実証スケジュール

調査、基本設計を経て、2029年度中に、詳細設計、機器調達、建設・据付、各種試験の準備を進めます。2029年度~2030年度は単体試験から総合試運転を行い、システム全体の整合性と連続運用の成立性を確認します。2031年度以降は商用運用へ移行し、需要家への安定供給を実現していきます。

商用化実証の完遂に向けて

水素の需要家にとっての重要な論点は、水素の安定供給の実現性、安全・品質に関する標準化の整備状況、商用に資する供給コスト達成可能性です。本プロジェクトでは、液化水素という技術的にも挑戦的な分野において、世界に先行する商用スケールのサプライチェーン構築を目指し、社会実装に向けて着実な一歩を積み重ねることを目標とし、商用化に必要な技術・標準・体制を総合的に整えていきます。

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