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川崎重工が液化水素サプライチェーン構築を
目指したワケ
種子島から始まった液化水素技術の歩み
1970年代後半、日本の宇宙開発を支えるため、ロケット燃料として使用される液化水素の貯蔵・供給設備の開発が始まりました。当社の水素技術の原点は、この宇宙開発にあります。
1987年、当社はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の種子島宇宙センターに、容量540㎥の液化水素貯蔵タンクを納入しました。ロケット打ち上げ時に使用される液化水素を安全かつ安定的に供給するための設備の製造について、当社の技術力が宇宙開発の現場で活かされました。
この時期に培われた液化水素の貯蔵・取り扱い技術は、後のエネルギー分野への応用に向けた重要な基盤となりました。
LNG技術から水素技術へ
2000年代に入り、地球環境問題への関心が高まる中、当社は水素をエネルギーとして活用する可能性に着目します。2010年には「事業ビジョン2020」を策定し、水素技術の開発を本格化させる方針を打ち出しました。
これまでに液化天然ガス(LNG)船を45隻以上を納品した実績を持つ当社の造船技術を応用することで、水素を液化して大量に輸送するという新たな挑戦が始まりました。
水素は常温では気体、冷やせば液体になるという特徴がLNGと似ていますが、液化温度はー253℃と極低温であるため、取扱いにはLNGよりもさらに高度な技術が求められました。
パイロット実証の開始
当社がこれまでに培った各分野の技術を生かし、水素エネルギーによってこれからの脱炭素社会に貢献するため、液化水素サプライチェーン構築に動き出しました。
この第一歩目がパイロット実証です。これはパイロット実証では海外から日本への海上輸送を前提とした液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を建造し、輸送した液化水素を荷役基地「Hy touch 神戸」で受け入れ、貯蔵するという実証事業です。すいそ ふろんてぃあは2021年に、Hytouch神戸も2020年に完成し、実証がスタートしました。
川崎重工が描く水素社会の未来
当社の水素技術の歩みは、宇宙開発から始まり、エネルギー分野へと広がり、ついには国際的なサプライチェーン構築へと発展しました。液化水素という極めて扱いの難しい物質を、安全かつ効率的に運ぶ技術を確立したことは、世界の水素社会実現に向けた大きな貢献と言えます。
今始まった商用化実証を完遂させ、2030年代以降の商用化へ。より多くの国や地域で水素がエネルギーとして活用される未来を描き、現実のものとするべく、当社は技術革新と国際連携を通じて、持続可能な社会の実現に向けて歩み続けています。