Interview

ブリヂストンの海外展開を支える
川重冷熱のきめ細かなサポート

タイヤ市場シェア世界トップ、海外売上高比率は81%と、
名実ともにグローバルカンパニーとして存在感を発揮している株式会社ブリヂストン。
成長戦略の鍵になっているのが、海外での生産拠点の拡充だ。
その同社の海外新設工場で川重冷熱工業のボイラが採用され続けているという。
決め手は迅速かつ丁寧なサポートだ。

佐藤 高広
宮澤 輝夫
奈良 誠

「タイヤの国産化」に挑みグローバルカンパニーへ成長

 ブリヂストンは1931(昭和6)年、石橋正二郎氏が福岡県久留米市に「ブリッヂストンタイヤ株式会社」を設立し誕生した。「タイヤの国産化」という前人未踏の夢を実現しただけでなく、会社設立5年後の1936年ごろには海外販売体制を強化し、欧州、アフリカ、中南米などにタイヤを直接販売する体制を整えている。

 同社材料・加工生産設備エンジニアリング部の佐藤高広氏は「さらに、グローバル化を加速する転機になったのが1988年にファイアストン社を買収したことです」と紹介する。

 当時米国2位のタイヤメーカーだったファイアストン社を傘下に収めることにより、ブリヂストングループは、ミシュラン、グッドイヤーとのタイヤ世界3強の一角に躍り出た。2017年にはタイヤ市場シェア(売上高ベース)でブリヂストンは世界トップである。

 タイヤ以外にも、自動車関連部品、ウレタンフォーム、工業資材・建築資材などの化工品、スポーツ用品、自転車など事業も多角化している。

 生産拠点は世界26カ国163カ所(2018年7月1日現在)に広がり、海外売上高比率は81%に達している。名実ともに日本を代表するグローバルカンパニーだ。

環境への配慮から貫流ボイラへ「比例制御」が川重冷熱採用のポイント

 タイヤ製造においてボイラは欠かせない存在だ。タイヤ試作部 設備・安全推進課 設備係の宮澤輝夫氏は次のように話す。
「加硫と呼ばれる工程では、ボイラで作った蒸気で熱と圧力を加えることにより、配合剤の中の硫黄とゴムを化学結合させ、各部材を接着させます。これで、柔らかかったゴムが固まりタイヤが完成します」

 宮澤氏が所属するタイヤ試作部は、東京・小平市にある同社の技術センター/東京ACタイヤ製造所の中にある。ここにはもともと、50年以上にわたり乗用車用・小型トラック用・航空機用ラジアルタイヤを生産してきた東京工場があったが、2015年に乗用車用および小型トラック用ラジアルタイヤの生産を他の国内工場へ移管・集約し、国内生産の競争力強化を図っている。同社は2021年に向けて、工場跡地を活用し新たな研究開発施設を拡充していく。航空機用ラジアルタイヤの生産は同地で継続されている。

 宮澤氏は「私たちのボイラ室から事業所内の各施設が配管でつながり、蒸気を一括して供給しています」と紹介する。ボイラ室の中に設置されているのは川重冷熱の大型貫流ボイラ6台だ。 「2012年に川重冷熱のガスだきの大型貫流ボイラを導入しました。それまでは50年以上、重油を燃料とする水管ボイラを使ってきたのですが、設備が古いことに加え、空気と重油を混合させてバーナーに火を付けるといった職人的な技も要求されました。また環境面での配慮も時代の要請になっていました」(宮澤氏)。

 長年使ってきたボイラの切り替えにあたって、川重冷熱の大型貫流ボイラが採用された理由を、佐藤氏は次のように答える。「当時の担当者に話を聞くと、2000年ぐらいから切り替えの検討を始めていたようです。替えるなら貫流ボイラがいいと考えたのですが、当時は燃焼制御がON-OFFのものが主流で、それでは蒸気圧力が不安定で使えない。なんとかできないかと悩んでいたところ、川重冷熱の比例制御ができる大型貫流ボイラの存在を知り、本事業所内の研究施設に導入し、実証運転を行いました。」

 比例制御は蒸気負荷に応じて細かく燃焼を制御できる仕組みだ。小型の貫流ボイラでは多位置燃焼制御やON-OFF制御が多く採用されているが、川重冷熱では早くから比例制御ができる大型貫流ボイラの開発に力を入れてきた。 「実証運転により十分な成果が得られることを確認できたためタイヤ製造拠点への導入を決め、2005年に彦根工場に川重冷熱の大型貫流ボイラを採用しました。その後2007年には彦根工場の増産プラント用と、2008年には北九州工場に大型貫流ボイラを採用しています。その実績を受けて、本事業所でも川重冷熱の大型貫流ボイラを選びました」(佐藤氏)。

 彦根工場では14台もの川重冷熱の大型貫流ボイラが稼働しているというからその信頼の高さがうかがえる。

きめ細かなサポートに安心海外拠点でのサービス拡充に期待

 設備・安全推進課 設備係の奈良誠氏は、「川重冷熱の大型貫流ボイラは、シンプルな操作性で据え付けも比較的し易いと思います。また、連休明けの立ちあげなどでも、圧力の変動にも迅速に対応できます。さらに私が頼もしく感じているのはサービスエンジニアの方などによるサポートです。若い人であっても、豊富な知識があって責任をもって作業を行ってくれます。また、私たちが相談すると何でも気軽に応えてくれます。私は夜勤のシフトに入ることも多いのですが、小さな警告表示が出たときなどでも夜間や休日を問わずに対応してくれるのはありがたいですね」

 川重冷熱のコールセンターは24時間365日対応で安心だ。さらに、保守・点検、オーバーホール、水質管理、遠隔監視などまでトータルに質の高いサービスを提供している。

 佐藤氏は「海外の生産拠点では、従業員のほとんどが現地採用というところが少なくありません。ボイラのオペレータについても、スキルや経験が不足しがちです。そのため、機器の品質はもとより、サポートが重要になります。その点で、川重冷熱は安心できました。タイ、ベトナムの新工場で川重冷熱の大型貫流ボイラを選んだのも、同地でのサポート体制が決め手でした」と話す。

 川重冷熱では、日系企業などのニーズに合わせ、アジアでのサポートネットワークを強化している。ボイラの故障などの際には、迅速に駆けつけたり、部品を供給したりしている。アジア地区で対応できない場合には、日本からスタッフを派遣することもあるというから心強い。

 佐藤氏は「ロシア、トルコ、インドなどの生産拠点では現在、海外メーカーのボイラを使っていますが、安心対応を期待できる川重冷熱のサポートネットワークを広げてもらえれば、川重冷熱のボイラを自信を持って使うことができると思います」と話す。

 ボイラ・圧力容器の規格は各国で異なるため、一朝一夕には対応できないが、川重冷熱では徐々に対応の幅を広げていく計画だ。ブリヂストンの海外展開を支えるという点でも川重冷熱のサポートへの期待が高まっている。