自然共生社会の実現

 現代社会は、大気・水・土壌環境における物質循環や再生産など、自然からさまざまな生態系サービスを受けることで維持されています。
 川崎重工は、地球環境に調和した製品とものづくりで、環境負荷を下げ、生態系の保全に貢献します。
 自然環境に与えるリスクを低減するため、生産活動で使用する有害化学物質削減を進めています。
 また、身近な地域の環境保全活動に直接協力することで、環境改善や生態系保全に努めています。


化学物質の削減

 製品を製造する過程等で利用する化学物質は、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす場合もあるため、適切な管理を行い、使用量の削減を目指しています。当社は、主要VOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン)とジクロロメタン、および有害重金属(鉛化合物、六価クロム化合物)について、事業部門ごとの目標を設定し使用量・排出量の削減を実施しています。
 目標達成に向けた活動では、塗装工程から排出される主要VOCは、塗装効率の改善・代替塗料の採用が進み、2018年度は主要VOCは削減目標を達成。ジクロロメタン、有害重金属は削減し、目標を達成しました。
 今後も適正な化学物質管理を行うとともに使用量・排出量の削減を目指します。
 また、PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)に基づき、事業所ごとに化学物質を適切に把握し、国へ届け出ています。

管理対象化学物質の排出量・取扱量

管理対象化学物質の排出量・取扱量
  1. ※1主要VOC原単位は、排出量を売上高で除した値です。
  2. ※2有害重金属は、鉛化合物と六価クロム化合物の取扱量を合計した数値を示しています。削減活動は、それぞれの物質ごとに取り組んでいます。

PRTR法対象物質の排出量・取扱量

排出量・取扱量
  • PRTR法: 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

ELV指令※1、RoHS指令※2、REACH規則※3などの海外の法規制への対応

 2000年以降、EUにおいては、ELV指令、RoHS指令、REACH規則などにより化学物質に対する法規制が強化されてきました。ELV指令については対象外の二輪車において、モーターサイクル&エンジンカンパニーは当指令と同等レベルの規制内容である(一社)日本自動車工業会の自主取り組みとして対応中であり、精密機械・ロボットカンパニーも一部の製品について対応しています。RoHS指令の対象は電気・電子機器類で、当社では、ロボットビジネスセンターを含む精密機械・ロボットカンパニーが一部の製品について対応しています。また、モーターサイクル&エンジンカンパニーの汎用エンジン部門においては、2019年7月から適用される改正RoHS指令(RoHS2)に備え、2018年度中に体制整備を終えました。REACH規則は、2007年6月から実施され、EUにおいて製造・輸入されるすべての化学物質に適用されます。年間1t以上の化学物質を製造・輸入する事業者は化学物質の登録が必要になります。
 当社の製品は主に成形品であり、各法規制に対し登録の必要なものは限られますが、意図的に放出される物質および発ガン性を有するなどの高懸念物質についてはすべて登録や届出の必要があります。登録・届出以外にも、評価・認可・制限・情報伝達についての規制があり、サプライチェーン全体で自社の製品に含まれる化学物質の情報を把握するシステムが必要になります。
 また、EUに限らず世界各国において化学物質の規制強化の動きが広がっています。国ごとに要求事項(対象物質、対象製品など)が異なるため、法令を良く理解した上で対応を進めていくことが必要と考えています。
 当社では、「CSR調達ガイドライン」(PDF:433KB)を策定し、化学物資の情報把握に関するお客様からの要請に対応しています。また、モーターサイクル&エンジンカンパニーでは、「カワサキ材料データ管理システム(KMDSⅡ)」※4 を構築し、REACH規則はもちろん、必要なその他の物質規制への対応体制を整備しています。

モーターサイクル&エンジンカンパニーにおける物質規制対応

モーターサイクル&エンジンカンパニーにおける物質規制対応
  1. ※1ELV指令:廃自動車に関するEU指令(リサイクル/重金属使用制限等)
  2. ※2RoHS指令:電気・電子機器に対する有害物質使用制限に関するEU指令
  3. ※3REACH規則:化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU規則
  4. ※4 KMDSⅡ:Kawasaki Material Data System Ⅱ
  5. ※5 IMDS:International Material Data System 世界の完成車メーカーが利用している自動車業界標準材料データ収集システム

モーターサイクル&エンジンカンパニーにおける取り組み

排出ガスのクリーン化

 2018年度に当社が全世界向けに発売した大型アドベンチャーモデル「Versys 1000 SE」は、優れた低排ガスレベルを達成しています。2019年モデルでありながら、COやNOxなどの排出ガスエミッションレベルは2020年施行予定のEuro 5」相当を達成しています。さらに騒音規制では「R41-04」へ対応することにより、欧州や日本など、世界各国へ販売が行われています。

VERSYS 1000 SE
VERSYS 1000 SE

3Rの推進

 二輪車国内メーカーと輸入事業者が2004年から共同で運用している自主取り組みの「二輪車リサイクルシステム」において、2018年度の再資源化率の実績は、目標率を上回る97.5%でした。なお、2011年10月から、廃棄時のリサイクル費用のお客様負担を無料化(運搬費用を除く)しています。
 また、新型二輪車では開発段階からリデュース・リサイクルなどの環境配慮設計に取り組み、設計・試作・量産の各段階の前で3Rへの取り組みの事前評価を行っています。特に、リサイクルしやすい材料の採用などによりリサイクル性の向上に努め、(一社)日本自動車工業会が公表している「新型車のリサイクル可能率の定義と算出方法のガイドライン(1998年自工会)」に基づき算出したリサイクル可能率は、全機種90%以上を達成し、大半の機種は95%以上を達成しています。

環境負荷物質の廃止・削減

 国内販売の新型二輪車は、既に(一社)日本自動車工業会が定めた自主削減目標を達成して販売しており、その他の継続販売している二輪車でも自主削減の目標を達成しています。なお、国内販売の新型二輪車の環境負荷物質(鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)の廃止・削減状況は、当社Webサイトの「車種別環境情報」で公表しています。
 汎用エンジン・ジェットスキーなどには(一社)日本自動車工業会の自主削減目標のような重金属の国内規制はありませんが、二輪車に準じて廃止・削減に取り組み、鉛、水銀、カドミウムの目標は2007年度までに達成しました。さらに、ごく一部の部品で残っていた六価クロムについても、2008年度に廃止を完了しました。


水の省資源化

 当社は、水資源を有効に利用するため、原単位による削減目標を設定しています。2018年度の水原単位は前年度比0.2%増となりました。

水の使用量と原単位

水使用量と原単位
  • 水原単位は、水使用量を売上高で除した値です。

森林保全活動

 兵庫県と高知県の2か所で森林保全活動に取り組んでいます。
 兵庫県では2008年12月から県の「企業の森づくり事業」に参加。多可町の「川崎重工 西谷なごみの森」と名付けた里山林で森林保全活動を開始しました。2014年からは同じ多可町内で活動地を変更し、「川崎重工 余暇村公園なごみの森」に名前を変え、取り組みを継続しています。
 2008年から開始したこの森林保全活動に参加した従業員やその家族は延べ2,220名にのぼり、アカマツやコナラ、ヤマザクラなど累計47種、約2,840本の木を植樹しています。2018年度は植樹した木々の整備作業を中心に下刈りや除伐、間伐作業などを行いました。
 また高知県では、森林の再生に取り組む高知県「協働の森づくり事業」に参画、2007年から仁淀川町で活動しています。毎年、新入社員が間伐などの森林保全活動を行うとともに地域の方々との交流を深めています。

植樹本数

植樹本数

2018年度活動実績

活動地 兵庫県多可町 高知県仁淀川町
活動内容 除伐・間伐・植樹・下刈り・
自然観察会・紙漉き体験
間伐・環境学習
参加者 従業員と家族ほか協力者
(237名)
従業員ほか協力者
(66名)
活動実績 面積:0.7ha
CO2吸収量:1.26t-CO2
植樹:71本
面積:0.3ha
CO2吸収量:13.8t-CO2
活動回数 3回 1回

森林保全活動を通じた環境教育の実施

 森林保全活動では、森林整備のほか環境を考える機会として体験学習を毎年実施しています。

2018年度活動実績

活動内容 目的 開催時期
自然観察会 自然とのふれあいや森の大切さを学ぶ(松枯れが深刻な山で行う自然観察を通じて、倒木や土砂の流出など現状を直接見て、森の手入れの必要性を実感し、その中でもたくましく生きる野草や野鳥の姿から自然の営みを体感する) 2018年4月
牛乳パックを使用したハガキづくり 紙のリサイクルを学ぶ(ごみとして廃棄するタマネギやブドウの皮を利用して、着色にも挑戦する) 2018年11月

自然観察会の様子(協力:NPO法人ひょうご森の倶楽部)

松枯れ病で枯れた松がたくさんあるハイキングコースで自然観察会を行いました。 松枯れ病で枯れた松がたくさんあるハイキングコースで自然観察会を行いました。
松枯れ病で枯れた松がたくさんあるハイキングコースで自然観察会を行いました。
観察会の途中でみつけたスミレの一種。
観察会の途中でみつけたスミレの一種。
最後に参加者でやまびこ体験をしました。
最後に参加者でやまびこ体験をしました。

紙漉き教室の様子(協力:(株)川重ハートフルサービス

牛乳パックを使用して紙漉き・ハガキづくり体験をしました。  牛乳パックを使用して紙漉き・ハガキづくり体験をしました。

牛乳パックを使用して紙漉き・ハガキづくり体験をしました。  牛乳パックを使用して紙漉き・ハガキづくり体験をしました。
牛乳パックを使用して紙漉き・ハガキづくり体験をしました。
  • 障がい者の職場定着支援のため設立した川崎重工業(株)の特例子会社です。一般事務請負や清掃業務を主な事業とし、牛乳パックを利用した再生紙事業も手掛けています。

工場排水を利用したビオトープへの取り組み

 明石工場では当社グループとして初めて明石市や市民団体「エコウイングあかし」の協力のもと、工場排水を利用したビオトープを製作しました。このビオトープは「地産物使用による里山の実現」、「生物多様性の実現」、「工場排水の再利用」という3つのコンセプトを掲げています。


①地産物使用による里山の実現

 明石市や東播磨地域の植物を優先的に植え、エリア内にある池には明石市内にある金ケ崎公園の水生植物や土を採用することで本来この地域に自生している植物を保護し、地域との調和を図りました。

2019年2月完成当初のビオトープの様子
2019年2月完成当初のビオトープの様子

②生物多様性の実現

 工場内に流れる用水路に紛れ込んだ希少生物のミナミメダカやミナミヌマエビを保護し、放流しました。池周辺エリアには水生生物や虫などが棲み着きやすいよう丸太を重ねるなどの工夫をしました。

ミナミメダカ
ミナミメダカ
ミナミヌマエビ
ミナミヌマエビ

③工場排水の再利用

 ビオトープ内を流れる水は工場内で処理した排水を利用しています。この水は、有害物質を含んでいる排水を生物が生息できる水質まで浄化処理したものです。

排水処理設備
排水処理設備

2019年4月現在のビオトープの様子

2019年4月現在のビオトープの様子。季節によってさまざまな花が咲きます。
2019年4月現在のビオトープの様子。季節によってさまざまな花が咲きます。

ビオトープでみられる植生

シバザクラ
シバザクラ
ツツジ
ツツジ
モンシロチョウ
モンシロチョウ
セグロセキレイ
セグロセキレイ