低炭素社会の実現

低炭素社会の実現に向けて

 地球温暖化の抑制に向けては、気候変動枠組条約のパリ協定が発効するなど世界的な取り組みが動き始めています。
 川崎重工は、エネルギーを無駄なく利用する製品とものづくりで、グローバルに地球温暖化防止に貢献します。
 第9次環境経営活動基本計画では、日本国内の工場にエネルギー見える化システムを導入し、ムダの早期発見によるエネルギー利用の効率化対策を講じました。さらに、再生可能エネルギーの利用を進めることで、事業活動によるCO2排出量の削減に着実に効果が表れています。
 また、製品貢献によるCO2削減効果について、国のガイドラインを参考に新たな算定ルールを定めました。これにより対象製品、算定期間の集計精度が上がり、世界の市場における当社の製品貢献度がより正確にアピールできるようになりました。


省エネ推進活動

 当社は事業部門ごとに省エネ推進体制を構築し、全社を挙げてさまざまな省エネ活動に取り組んでいます。

●省エネ改善大賞

 2017年から実施している全社省エネ表彰制度において、2018年度の省エネ改善大賞は、船舶海洋カンパニー坂出造船工場が実施した「使用する電気機器・就業状況の見える化による、電源管理の仕組みづくり」が受賞しました。これは、多数の電気機器(仮設照明、溶接機、ファン等)を使用する艤装船(船内に機器を取り付ける作業中の船)において、必要な時に必要な電気機器にだけ電気を供給する仕組みをつくった改善です。
 従来は不要な時に電源を切りたくても、24時間使用する電気機器があったり、どこでだれが何を使用しているかわからないため切ることができませんでした。そこで24時間電源を切れない電気機器を、その他の電気機器と電源を分離したり、どこで誰が何を使用するか申請するようにして、電力供給が不要な電気機器を把握しました。そして不要な電気機器を自動で停止する省エネ制御盤(タイマー)を自作して、大幅に消費電力を削減しました。

艤装船と船内の様子
艤装船と船内の様子
電源管理の前と後の電力使用量(エネルギー見える化システム〔K-SMILE〕による分析)
電源管理の前と後の電力使用量(エネルギー見える化システム〔K-SMILE〕による分析)

●省エネ内部監査

 当社は工場ごとに省エネ法に基づく「設備管理台帳」や「管理標準」などを整備して、エネルギー使用の合理化に努めています。明石工場の省エネ推進委員会(西神工場、加古川工場を管轄に含む)は、当社で初となる「省エネ内部監査」の仕組みを構築し、実施しました。
 この監査において、明石・西神・加古川工場のエネルギー管理者と委員会事務局のメンバーからなる監査チームが、9つの生産現場を監査し、管理が適切に実施されていることを確認しました。これからも毎年内部監査を行い、さらなるエネルギー使用の合理化を推進します。

省エネ内部監査の様子
省エネ内部監査の様子

●生産におけるさらなる省エネに向けて

 当社のエネルギー見える化システム(K-SMILE)に生産設備の稼働データを取り込み、設備の稼働状態とエネルギーの使用状況を同時に、そして定量的に分析できるように改良しました。これにより設備の稼働率を把握したり、待機中にエネルギー使用の多い機器を発見して改善できる仕組みができました。今後、生産設備のエネルギー使用のさらなる効率化に励みます。

エネルギー見える化システム(K-SMILE)による稼働状態とエネルギーの使用状況の同時分析
エネルギー見える化システム(K-SMILE)による稼働状態とエネルギーの使用状況の同時分析

生産活動におけるCO2排出量の削減

 当社は生産活動で発生するCO2排出量を削減するために、全社的な省エネ活動を推進し、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。
 2018年度は省エネ活動の推進により、エネルギー使用量を年間約36万GJ、CO2排出量を年間約1.6万t削減する改善を実施しました。
 その結果、操業の増加や新工場の稼働によるエネルギー使用量の増加と、これに伴うCO2排出量の増加があったものの、当社単体の2018年度のエネルギー使用量は、前年度に比べ減少して629万GJになりました。
 また、CO2排出量は電気事業者別CO2排出係数が前年度より下がったことも加わり、前年度に比べ減少して30.1万tになりました。

生産活動におけるエネルギー使用量

生産活動におけるエネルギー使用量

生産活動におけるCO2排出量

生産活動におけるCO<sub>2</sub>排出量
  1. ※1CO2排出係数は、環境省が公表する電気事業者別、年度別の値を使用しています。
  2. ※2海外の電力使用によるCO2排出係数はGHGプロトコルの公開値を採用しています。

サプライチェーンにおけるCO2排出量の算出

 当社に求められるCO2排出量の把握範囲は、従来の「自社の排出」から「サプライチェーンにおける排出」へと拡大する流れが加速しています。サプライチェーン排出量の算定基準には、国際的に認められた温室効果ガス(GHG)算定と報告のガイドラインであるGHGプロトコルが策定する「Scope3基準」等があります。日本では、環境省・経済産業省共同の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等に関する調査・研究会」の「排出量算定分科会」で、Scope3基準の"日本版"ともいえる「基本ガイドライン」を作成しています。当社では、この「基本ガイドライン」に沿って、サプライチェーンにおけるCO2排出量を算出し、結果は、第三者による検証を受けています。それによると、サプライチェーン全体では、当社が販売した製品の使用に伴うGHGの影響が非常に大きいことが分かりました。現在も「製品貢献によるCO2排出量の削減」を推進していますが、今、さらに積極的に展開していきます。

2018年度 川崎重工グループ全体のScope1、2算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 1
直接排出 自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出 16.2
Scope 2
エネルギー起源の間接排出 自社が購入した電気・熱の使用に伴う間接排 31.1

2018年度 川崎重工のScope3算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 3(その他の間接排出)上流
①購入した製品・サービス 原材料・部品、仕入商品・販売に係る資材等が製造されるまでの活動に伴う排出 604.9
(4.5%)
②資本財 自社の資本財の建設・製造から発生する排出 29.3
(0.2%)
③Scope 1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 他者から調達している燃料の調達、電気や熱等の発電等に必要な燃料の調達に伴う排出 3.7
(0.0%)
④輸送、配送(上流) 原材料・部品、仕入商品・販売に係る資材等が自社に届くまでの物流に伴う排出 0.8
(0.0%)
⑤事業から出る廃棄物 自社で発生した廃棄物の輸送、処理に伴う排出 1.2
(0.0%)
⑥出張 従業員の出張に伴う排出 1.5
(0.0%)
⑦雇用者の通勤 従業員が事務所に通勤する際の移動に伴う排出 0.7
(0.0%)
⑧リース資産(上流) 自社が賃貸しているリース資産の操業に伴う排出(Scope 1、2で算定する場合を除く) Scope 1、2に含めて算定
Scope 3(その他の間接排出)下流
⑨輸送、配送(下流) 製品の輸送、保管、荷役、小売に伴う排出 0.0(0.0%)
⑩販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工に伴う排出 対象外※1
⑪販売した製品の使用 使用者(消費者・事業者)による製品の使用に伴う排出 12,682.3
(95.1%)
⑫販売した製品の廃棄 使用者(消費者・事業者)による製品の廃棄時の輸送、処理に伴う排出 対象外※1
⑬リース資産(下流) 賃貸しているリース資産の運用に伴う排出 対象外※2
⑭フランチャイズ フランチャイズ加盟者における排出 対象外※2
⑮投資 投資の運用に関連する排出 17.3
(0.1%)
  1. ※1現時点では参考となるデータが確認できていないため、算定対象から除外する。
  2. ※2当社事業の範囲外のため、算定対象から除外する。

物流過程におけるCO2排出量の削減

 当社は、サプライチェーンの一部を占める物流(Scope3カテゴリー4「輸送、配送(上流)」)におけるCO2排出量の把握および省エネ活動の推進を実施し、継続的なCO2排出量の削減を目指しています。
 2018年度は、量産製品の販売数増加に伴いトラックによる貨物輸送量が増加したことで、CO2排出量は2017年度比5%増加し約4,200t(エネルギー使用量は約6万GJ)でした。

物流過程におけるCO2の排出量と原単位

物流過程におけるCO2の排出量と原単位
  1. ※1CO2原単位は、CO2排出量を売上高で除した値です。
  2. ※2CO2排出係数は、資源エネルギー庁が公表する値を使用しています。

物流過程におけるエネルギー使用量

物流過程におけるエネルギー使用量

再生可能エネルギーの利用

 川崎重工グループでは、工場からのCO2排出量を削減する取り組みとして、生産設備等の省エネ化に加えて再生可能エネルギーの利用を進めています。これまで各工場への太陽光発電設備の設置を進め、関連企業を含めて4,171kWの発電容量を保有しています(一部設備の導入に際しては一般社団法人新エネルギー導入促進協議会からの補助金を受けています)。
 2018年度は約4.7GWhを発電し、このうち1.6GWhの再生可能エネルギーを自社で利用し、約700tのCO2排出量を削減しました。

太陽光発電量(自家消費分)

太陽光発電量(自家消費分)

川崎重工グループの太陽光発電設備

名称 電力利用の形態 発電容量(kW)
岩岡発電事業所※1 FIT※2による販売 1,505
名古屋第一工場 自家消費 750
西神発電事業所※1 FITによる販売 701
西神戸工場 自家消費 505
西神戸発電事業所※1 FITによる販売 422
明石工場 自家消費 140
坂出工場 自家消費 50
加古川発電事業所※1 FITによる販売 48
兵庫工場 自家消費 25
神戸工場 自家消費 20
播磨工場 自家消費 5
合計 4,171
  1. ※1川重商事株式会社運営の発電設備
  2. ※2FIT:再生可能エネルギーの固定価格買取制度
名古屋第一工場 750kW発電設
名古屋第一工場 750kW発電設
西神戸工場 927kW発電設備(内422kWはFITによる販売)
西神戸工場 927kW発電設備
(うち422kWはFITによる販売)

製品貢献によるCO2排出量の削減

 当社製品のライフサイクルで排出されるCO2の約90%は販売後の使用時に発生していることから、当社では使用時のCO2排出量が少ない製品を提供することにより低炭素社会の実現を目指しています。エネルギー利用効率の高い製品による地球温暖化緩和への貢献を定量化するため、製品貢献によるCO2排出量の削減効果の算定ルールを017年度に新たに定めました。
 このルールに基づいた算定の結果、当社が2018年度に販売した製品によるCO2排出量の削減効果は約2,910万tでした。これにはKawasakiグリーン製品である世界最高クラスの発電効率を達成した「グリーンガスエンジン」や、世界最高クラスの出力密度を達成した「HST用モータ M7Vシリーズ」などが大きく貢献しています。
 なお、製品貢献によるCO2排出量削減の算定対象製品には、エネルギー利用効率の高い製品による地球温暖化緩和への貢献を定量化する目的で排熱・廃棄物・再生可能エネルギー利用による発電等を含めています。そのため、エネルギー起源CO2排出量のみを対象にしたScope3カテゴリー11の算定対象製品とは一部異なります。

  1. HST:油圧ポンプと油圧モータによる無段変速機。

製品貢献によるCO2排出量の削減効果

製品貢献によるCO<sub>2</sub>排出量の削減効果
  1. 注1)CO2排出係数は、環境省が公表する算定方法・排出係数一覧の値を使用しています。
  2. 注2)製品のエネルギー利用効率向上を理由とする製品貢献によるCO2排出量の削減効果は、業界標準クラス製品との比較により算定しています。
  3. 注3)排熱・廃棄物・再生可能エネルギーの利用は、回収した全エネルギーを製品貢献による2排出量の削減効果としています。

算定ルール

  • 評価対象製品: Kawasakiグリーン製品を始め、排熱・廃棄物・再生可能エネルギーを利用した製品や、コージェネレーションシステム、モーダルシフトに関する鉄道車両等を評価対象に選定しました。
  • 評価対象期間: 従来は1年間としていましたが、当年度に販売した製品の想定使用年数を評価対象期間とするフローベース法を採用しました。当社製品は想定使用期間が長いため、使用期間にわたる当社製品と業界標準クラス製品とのCO2排出量の差を算定します。
  1. 温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン(経済産業省、2018年3月)を参照。