気候変動に係るリスクと機会

当社は2019年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同の署名をおこなっており、TCFDは気候変動に係る内容として、下図のような情報の開示を求めています。

2019年CDP気候変動質問書※の開示内容をもとに、当社が考える気候変動に係るリスクと機会について説明します。

気候関連リスクとは?

気候関連リスクについては、①低炭素経済への「移行」に関するリスク、②気候変動による「物理的」変化に関するリスク、の2つに大別されます。

気候変動リスク(移行リスク)

リスクの種類 リスク リスクの説明 財務的影響 リスク管理手法
政策 カーボンプライシング カーボンプライシングや排出量取引などの規制を想定しています。(特に、当社製品販売後の使用時の影響を考慮) ほとんど全ての製品に関わるため、当社売上高に大きな影響を及ぼします。 カーボンプライシングや排出量取引などの規制を想定し、水素エネルギーを中心として再生可能エネルギーも含めたエネルギー転換に注力しています。
法規制 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法) 日本国内の地球温暖化対策推進法、海外での欧州排ガス規制(EURO 4)、船舶排ガス規制(エネルギー効率設計指標(EEDI))などの規制強化による対策コストの発生を想定しています。 輸送機器や大型エンジンなど、CO2排出量の大きい製品を製造する当社にとって、現行の規制強化は、ほとんど全ての製品に関わるため、当社売上高に大きな影響を及ぼします。 法令や規制の強化を先取りして、CO2排出量削減のための製品開発、技術開発を実施しています。
技術 水素エネルギーへのエネルギー転換 水素社会の実現は、国家戦略に掲げられた取り組みですが、実現までの過程において、技術開発コスト負担は事業に影響を与えます。 もし、水素エネルギーの実用化が難しくなると、これまでの研究開発費が無駄になるリスクがあります。当社の研究開発費は年間約500億円ですが、水素エネルギーに関わる費用は非開示です。 国のエネルギー基本計画に盛り込まれている「水素を本格的に利活用する社会」の実現を見据え、日本・豪州政府機関や関係各社とも連携して、水素サプライチェーンの早期構築に注力しています。
市場 再生可能エネルギーへの転換圧力 CO2排出量の規制強化による電力コストの上昇や再生可能エネルギーへの政府水素戦略構想による転換圧力を想定しています。 現状では、購入電力の割合が高く、調達費用は年間約100億円です。
再生可能エネルギーを26%(政府目標)ミックスした場合の割増コストを15%とすると、3~5億円のコストインパクトを見込みます。
当社は、当社内のエネルギー調達に関する調整機能を本社に有しており、本社主導により情報収集、方針、対策の企画立案を行っています。
評判 当社の環境に対する取り組み実態と世間の評判のギャップ 当社は環境負荷低減に貢献するモノづくりやサービスの提供を通じて、市場へ貢献していますが、情報開示が不足すると、事業活動実態と対外評価(CDPの評価等)においてギャップが生じるリスクがあります。 気候変動への取り組みが評価されず、評判が低下すると、投資家の資金引き上げ、関連する株価インデックスから削除の可能性があります。 CDPや各種気候変動に関わるアンケート調査に誠実に答え、適切な情報開示を行うことにより、当社の取り組みと世間の評判のギャップをなくすようにしています。

気候変動リスク(物理リスク)

リスクの種類 リスク リスクの説明 財務的影響 リスク管理手法
急性物理的障害 スーパーハリケーンや高潮の発生による設備損害等を原因とした電源喪失 当社の造船や大型構造物の製造所は沿岸部に事業所を構えるため、スーパーハリケーンや高潮の発生による設備損害等を原因とした電源喪失のリスクがあります。 スーパーハリケーンや高潮の発生による設備損害等を原因とした電源喪失が起こると、当社の操業停止やサプライチェーンの停止が生じ、売上に大きな影響を及ぼします。 当社は、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。
慢性物理的障害 超高温日や超低温日の長期化 当社の造船や大型構造物の製造所は、屋外作業があり、夏季高温下の作業や、冬季低温下の作業に十分な配慮が必要です。これらの長期化は、作業員の生命の安全を確保するための追加的措置や労働生産性の低下などにつながるリスクがあります。 超高温日や超低温日が長期化すると、作業員の生命の安全を確保するための追加的措置や労働生産性の低下が生じ、当社の操業が停止し、売上に大きな影響を及ぼします。 事業所に定める安全管理規則及び安全管理体制により、「熱中症の予防対策」の周知徹底、熱中症レベル予報の掲示・配信、水分塩分補給促進、スポットクーラーの使用など各種の対策を講じています。

気候変動における機会

機会の種類 機会 機会の説明 財務的影響 機会を実現するための戦略
機会1 自社製品活用による水素等のクリーンエネルギー創出 自社製品活用により水素等のクリーンエネルギーの創出を目指します。現在の化石燃料が水素にとって代わるため、エネルギーやインフラなどのあらゆる場面での機会を想定しています。 当社の水素事業戦略において、新規事業化により2030年目標売上3兆円に対し、水素事業を5%(1,500億円)に拡大させる計画です。 国のエネルギー基本計画に盛り込まれている「水素を本格的に利活用する社会」の実現を見据え、日本・豪州政府機関や関係各社とも連携して、水素サプライチェーンの早期構築に注力しています。
機会2 BCPを想定した発電、分散電源の需要増 気候変動が起因となるスーパーハリケーンなどの自然災害による電源喪失、サプライチェーンの停止に備えて、分散電源の需要が増大することを機会と想定しています。 当社の事業戦略において、2030年目標売上3兆円に対し、エネルギー・環境事業を20%(6,000億円)に拡大させる計画です。 エネルギー・環境事業において、ガスタービン、コンバインド発電、ガスエンジンといった発電機器のさらなる高効率化・低環境負荷化を進めています。