Apr. 2019

Techno Box 12

芝刈機用汎用エンジンFX850V-EFI

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芝刈りのプロたちからの絶大な信頼

FX850V-EFIは、米国を主要市場とする大型の乗用芝刈機に搭載される汎用エンジンだ。川崎重工が日本国内で汎用エンジンの製造と販売を始めたのは1957年のことだが、農業用、産業用、レジャー用、芝刈機用と発展を遂げ、現在の礎を築いてきた。60年を経た今、製造は米国及び中国の海外工場*1が担い、その約9割が米国販売会社*2を通じて米国の芝刈機メーカーに出荷されている。
米国の乗用芝刈機市場は、年間200万台とスケールが大きい。その中で「Kawasaki」の汎用エンジンは、プロ(芝刈りをメインビジネスにする造園業者)向けセグメントで約6割のシェアを誇り、一般ユーザー向けでもトップブランドの地位を獲得している。それは高品質・高性能で「とにかく壊れないエンジン」という信頼を勝ち得ているからだ。

プロのユーザーからは特に、故障が少ないこと、芝の状況にとらわれずにエンジンと刈刃の回転が安定していることが求められる。まず、作業機の不調や故障は実働時間の低下、即ち収入減に直結する。また、伸び過ぎた芝や斜面での刈り込みでエンジンに高い負荷がかかった時、刈刃の回転数が落ち込むと切れ味が悪くなる。スパッと切れていない芝は先枯れの進行が早く、美観を維持するために次回の作業を早めなくてはならない。 負荷が変化しても芝刈機の速度や刈刃の回転数が変わらなければ、つまりエンジンの回転数が安定的に維持できれば、常にきれいな切断面を維持できるわけだ。
川崎重工は汎用エンジンのブランドコンセプトで「Trust(信頼)」を掲げる。それはユーザーの思いそのものであるのだ。

*1:米国はKMM(Kawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.)、中国はCK&K(常州川崎光陽発動機有限公司)で製造
*2:KMC=Kawasaki Motors Corp., U.S.A.

01抜群の力を出すV型2気筒エンジン

エンジンは出力軸が縦にレイアウトされたV型2気筒エンジンで、その容量は852CC。全長516mm、全幅503mm、全高620mmの小型サイズながら、最大29.5馬力(3600回転)の出力がある。3600回転で29.5馬力という実力は「異例」とも言える高いパフォーマンスで、かつe-Govやインジェクションなどの技術が重なり従来機に比べて10%の燃費低減を実現している。また負荷変動に対して、エンジン回転数が不変であるため、実作業機のパワーフィーリングも向上させている。

02過酷なエンジン駆動を支える
筒型の空気フィルター

エンジンを安定駆動させるためには、きれいな空気が不可欠。そのために設けられているのが筒型のフィルター装置で、装置内には2つのフィルターが重なって配置されている。上が傘のように見えるのは、雨がフィルター装置内に入らないようにするためだ。

03イグニッションを外部に出して
エンジン冷却の効率を上げる

イグニッションは、シリンダー内での燃焼のための点火用火花をつくる電気供給装置だが、FX850V-EFIではエンジンカバーの外に取り付けた。エンジン本体の冷却効率を上げるために障害物をなるべく排し、空気の流れを良くするためだ。刈り芝(サッチ)の詰まりを防ぐ効果も出た。

ユーザーの使いやすさを追求した最新の技術と、とことん使っても壊れにくいタフさが融合!

04詰まった刈り芝排出と
ブランド力をアピール

カバー内に侵入した刈り芝(サッチ)はエンジン本体とカバーの隙間を通り、下部から排出される。またカバーの左右には三角形の「Kawasaki」のロゴが入ったプレートがあり、これを外してブロワーで風を送ると、エンジン本体周りに詰まったサッチを排出し、メンテナンスを容易にすることができる。芝刈機メーカーは「Kawasaki」のロゴプレートを付けることで、自社製品の優位性をアピールしている。

Kawasakiの技!

ロータリー・チョッパー・スクリーンで“大敵”を排除する

汎用エンジンの“大敵”は、刈られた芝(サッチ)だ。サッチは舞い上がってエンジン本体とカバーの間に入り込み溜まっていく。空冷エンジンでは隙間にサッチが詰まるとエンジンがヒートアップし、故障の原因となってしまう。
FXシリーズでは、エンジン本体上部のカバー内側で、「ロータリー・チョッパー・スクリーン」と呼ばれる細かな穴が開いた円盤が回転している。これによりエンジン内に入り込もうとするサッチを弾き飛ばしてくれるのだ。

Kawasakiの技!

美しい芝刈りを実現するe-Gov(eガバナー)とEFI

ECU一体型の電子ガバナ制御装置(e-Gov)と、電子制御燃料噴射装置(EFI)。この2つの装置が美しい芝刈りの肝となる。e-Govは、温度・吸気圧・スロットル角度など、各センサーの情報をECUが集め、エンジンの回転数や負荷などに応じてスロットルの開き方を自動的に制御。一方、EFIはe-Govの制御と連動し、高精度な燃料供給により出力の最大化と燃費の最適化を実現している。この結果、負荷に変動があってもエンジンの回転数は変化せず、作業効率が維持される。ECU一体型e-Gov機構は川崎重工の独自設計で他社にはないユニークなデザイン。これにより故障に強く、他社に対して圧倒的に有利な速い応答速度と抜群の信頼性を誇っている。

システム“メイド・イン・アメリカ”の製品として

汎用エンジンの開発と製造は、芝刈機の最大市場であるアメリカをメインとして行われている。いわば「地産地消」でお客様の声を製品に反映させている。写真は、製造を担うKMMメアリービル工場。芝生のある家を持つのは、アメリカンドリームの一つで、「Kawasaki」は夢の象徴でもあるのだ。

これからもユーザーの方々のアメリカンドリームを支えていきます!

解説

川崎重工業株式会社
モーターサイクル&エンジンカンパニー
汎用エンジン総括部
営業業務課 課長
今井 雄一郎(左)
開発部 第一課 主事
野中 雅浩(右)
Kawasaki NewsKawasaki Heavy Industries Quarterly Newsletter
川崎重工グループの和文PR誌として、多彩な製品群が陸・海・空に亘る各分野で活躍する姿と、新製品・新技術の一端をご紹介しています。

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