Apr. 2019

Epoch Maker 07

電動油圧舵取機 知られざる世界トップシェアの最先端製品

Scroll

船の針路を変える舵を動かす電動油圧舵取機。この分野で累計搭載隻数2万隻、
世界トップシェアという驚異的な信頼を勝ち得ているのが川崎重工だ。
その背景には、それぞれの時代において最大級の大型船への搭載を果たして
最先端の課題に挑み続けて来た歴史がある。

1925

ヘルショウ式

技術導入した初の国産電動油圧舵取機は貨物船「ふろりだ丸」に搭載された後、26年には巡洋艦「衣笠」に、さらに42年には空母「飛鷹」に搭載されている。川崎重工は戦後、漁船向けの小型ヘルショウ式舵取機を開発して漁業の近代化にも貢献してきた。

1964

BV式

64年には、独ブルーニングハウス社のアキシャルピストンポンプ(BV)を採用した舵取機「FD-85P」がタンカー「天龍川丸」に搭載され、大型舵取機のヘルショウ式時代に別れを告げた。ヘルショウポンプでは不可能だった油圧の高圧化、回転数の高速化で着実に成果を重ね、大幅なコストダウンを実現。世界最大を更新するタンカーに相次いで採用されて技術基盤を強固にしていく。

1987

LV式

川崎重工が独自に開発した斜軸型アキシャルピストンポンプ(Lシリーズ)を採用した、すべてが独自開発の大型電動油圧舵取機がLV式だ。高圧、長寿命のLシリーズの採用により舵取機の高圧化や耐久性は飛躍的に高まった他、連続制御方式の開発により優れた即答性と高い舵角精度を実現。これにより省エネ型のオートパイロットの性能を十分に引き出せるようになった。

2016

LV式20シリーズ

LV式の信頼性はそのままに、さらなる競争力強化を図るために舵取機のアクチュエーターの設計を見直し、さらに高圧化、軽量・コンパクト化した新型舵取機が「LV式20シリーズ」だ。ヘルショウ式の1号機から約100年で、単位重量当たりの出力密度は6倍にまでなっている。

かつては蒸気圧を用いた汽動式が主流であった舵取機に技術革新をもたらしたのが電動油圧舵取機だった。川崎重工は1916年(大正5年)に英ジョン・ヘスティ社およびヘル・ショウ社と提携して「ヘルショウ式電動油圧舵取機」を導入。その1号機を商船「ふろりだ丸」に、さらに26年には巡洋艦「衣笠」に搭載した。24年には、ヘルショウポンプの製造を始めてもいる。電動機で駆動するポンプは、油の吐出量と流れの方向を任意に変えることができる当時の代表的な油圧ポンプで、長く舵取機の油圧源として使われる。

64年には独ブルーニングハウス社と技術提携したアキシャルピストンポンプ「Bシリーズ」を組み込んだ大型電動油圧舵取機「BV式」の製造を開始。この舵取機は、世界最大を更新するマンモスタンカーに相次いで採用され、舵取機に要求される「高信頼性」「高耐久性」「高精度」「舵板特性に合ったトルク特性」のすべてで磨きをかけていく。

電動油圧舵取機の肝はポンプであり、87年には川崎重工が自社開発した斜軸型アキシャルピストンポンプ「Lシリーズ」を採用した「LV式」の開発にこぎ着け、舶用機械分野にまた一つ技術革新をもたらした。その意気込みは衰えることはなく、2016年にはLVシリーズの信頼性はそのままに高圧化や軽量化を図った「LV式20シリーズ」を開発。さらに18年には商船三井と共に舵取機のセンシングとビッグデータ解析による省エネ運航、故障予知技術の共同開発にも着手した。舵取機がインテリジェンス機能を持つ時代もまた、川崎重工がリードする。

Kawasaki NewsKawasaki Heavy Industries Quarterly Newsletter
川崎重工グループの和文PR誌として、多彩な製品群が陸・海・空に亘る各分野で活躍する姿と、新製品・新技術の一端をご紹介しています。

Kawasaki Group Channel