Oct. 2018

Techno Box 09

神戸新交通六甲ライナー
「3000形」

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「六甲ライナーのある暮らし」を
より感じてもらいたい

神戸市街地と六甲アイランド(住吉~マリンパーク間)を結ぶ神戸新交通の六甲ライナーは、2018年8月31日から新型車両「3000形」の営業運転を開始した。1990年に開業して以来の車両リニューアルで、今後、23年度末までに六甲ライナーの11編成、全44両を新型車両に更新していく。
現行の「1000形」に引き続き新型車両の開発を託されたのが川崎重工だ。開発チームは、「六甲アイランドと六甲ライナーの魅力とは何か」の原点に戻り、121人の利用者にWebアンケートを行い、各年齢層の利用者4名を交えて「共創会議」を実施しコンセプトを詰めていった。

その結果が、海の手六甲アイランドならではの朝焼けや夕焼けの美しさ、橋を渡って島に帰るときの安堵感など「六甲ライナーのある暮らし」を実感できる車両にすることだった。
まず、車両の外観は、海を渡り六甲アイランドへつながることからシャープな船舶のシルエットをモチーフとし、カラーリングは神戸にある最古のガス燈にちなみ、緑青を基調とした落ち着いた色彩とした。また、車幅(通路幅)を14センチ広げて室内空間を拡張したり、座席の背もたれに開口を設けることで外光を車内に取り入れやすくするなどきめの細やかな工夫が随所に盛り込まれている。

安全と快適の新次元へ

沿線の美しい景観や外光を車内に取り込む大きな窓には、瞬間曇りガラス(住宅地に隣接する側の窓)を用いて沿線のプライバシーに配慮。また、各車両の両端には防犯カメラ、そして鉄道車両用プラズマクラスターイオン発生機を設置して衛生的な車内環境を創造するなど、安全と快適さの両立をめざした車両となっている。

曇りガラスON(左)/OFF(右)

01夜の神戸の街を
優しく照らすトーチ

「家族の待つ六甲アイランドに帰る」。そんな安堵感を表現するために先頭上部にはトーチをイメージした照明を取り付けた。離れた場所からの視認性と夜間走行時に昼間とは異なる表情を持たせて沿線を演出する。

旅行や仕事帰りに思わずホッとする、とっておきの仕掛けをご用意しました!

02個別タイプの座席は
車内の採光にも配慮

座席は一人のスペースが分かる個別タイプ。背もたれ背面は、外光を取り入れて車内を明るくするために開口を設けている。

03すべての車両に車いす用スペースを確保

車いすやベビーカー用のスペースの床は、床の色で簡単に識別できる。車両の床面高さを下げてホームとの段差も解消しており、高いバリアフリー化を実現した。

体の大きな方でもゆったり座れます!
04荷物棚の秘密?

天板のある荷物棚には、手すりも付けられている。実は、この四角いスペースの中には各種の制御機器が納められている。機器類をコンパクトに納め、快適性も高める一つの知恵だ。

05アルミニウム合金を採用した構体

周囲に溶け込むデザインとするため外面を塗装することから、車両の骨格となる構体材料には、ステンレスよりも塗装性の良いアルミニウム合金を採用。また、ゴムタイヤ台車で走行することや、小さな車体に多くの機器が搭載されることから重量の制約が大きいが、アルミニウム合金は加工性がよく、肉抜き加工が容易であるため、軽量化にも寄与している。

061000形より騒音が低減されたモータ

台車部分のタイヤには乗り心地の向上と騒音の低減を図るために中子式チューブレス窒素ガス入りゴムタイヤを採用。モータには低騒音型のモータを採用。冷却ファンの形状を見直すことで空力音も低減され、従来の1000形と比較してモータの騒音は約7dB低減されている。

乗る方も住んでいる方もより快適に過ごせるよう、消音にはこだわっています!
Kawasakiの技!

最新の技術をコンパクトに搭載

3000形では天井を高く、車幅を広く、床面を下げて室内空間を拡げたが、その分、各種の機器類のスペースは大幅に縮小。本来長さが18~20メートルの車両に搭載する各種の機器を、ギュッと8メールの車両に押し込まなければならなかった。機器類の形や配置をゼロベースから見直し、小型でも従来機と同じ性能を発揮させるなどコンパクト化と高機能化を実現している。

Kawasakiの技!

主制御装置「CI(コンバータ・インバータ)装置」

電圧と周波数を変えて加減速を制御する主制御装置。3000形では主制御装置の部品に、最新の新幹線と同じ最先端のSiC(シリコンカーバイド)を採用。従来のSi(シリコン)部品に比べ、絶縁破壊電界強度が10倍になると同時に、冷却ファンがいらないので消費電力を減らせたり、低騒音化、小型・軽量化、メンテナンスの簡易化など多様なメリットを生み出した。主制御装置のSiC化は都市型新交通では日本初の採用だ。

解説

川崎重工業株式会社
車両カンパニー 国内プロジェクト本部
国内設計部 国内台車設計課
担当課長
橘 勝(右)
国内設計部 国内台車設計課
担当係長
釜谷 淳二(中)
技術企画部 デザイン課
担当係長
小菅 大地(左)
Kawasaki NewsKawasaki Heavy Industries Quarterly Newsletter
川崎重工グループの和文PR誌として、多彩な製品群が陸・海・空に亘る各分野で活躍する姿と、新製品・新技術の一端をご紹介しています。

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