Oct. 2018

Epoch Maker 07

LPG運搬船 造船技術力の高さを示す革新の歴史

Scroll

油田などから副産物として出るプロパンやブタンを
主成分とする石油ガスを液化して輸送する液化石油ガス運搬船(LPG船)。
その変遷を振り返れば、常に川崎重工は革新をリードしてきた。

1st Generation

1969年~1983年Bridgestone Maru No.5

ブリヂストン液化ガス(当時)と共同開発した「セミメンブレン方式」を採用した第1番船が「第5ブリヂストン丸」だった。貨物タンクは空載時はタンク自身の強度で自己支持し、満載時では液圧でタンクが膨張し荷重は船体に支持されるというユニークな発想で、世界を代表するタンク方式の一つとなった。建造実績は8隻。

2nd Generation

1990年~2003年PACIFIC HARMONY

貨物タンク用部材の進化と応力解析の精度向上を背景に新たに開発したのが「独立タンク方式」で、貨物液荷重をタンク自身が支える。また新方式の採用には造船期間の短縮の狙いもあり、その狙い通り、第1番船となった「パシフィック・ハーモニー」は起工から1年7ヵ月という短期間で竣工した。さらに8万4000㎥という貨物の大容量化も実現し、10数年で23隻を建造した。

3rd Generation

2003年~CRYSTAL MARINE

独立タンク方式を引き継ぎながら新世代を開いたのは、船首形状の革新だった。中速船用に独自開発した新船首「SEA-ARROW」で、船が航行する際にできる船首波による抵抗を半減させ、同じ船速では主機馬力を6~10%減少させた。従来の船首バルブの突出をなくした特徴的な形状で、LPG船の推進性能に革新がもたらされた。現在24隻の建造実績があり、今後も継続して建造される。

New Generation

2019年~LPG燃料推進LPG運搬船

各種の環境規制に対応しつつ既存船が使用するLPG基地に入港できる大容量運搬船で、かつ積載しているLPGを燃料として利用する新世代のLPG船。川崎重工はすでに仕様を整え、基本設計が完了している。川崎重工の造船技術を集結したもので、現在、受注活動を展開している。

液化石油ガス(LPG)にしろ液化天然ガス(LNG)にしろ、液化ガスを運搬する船の建造には、低温タンクの材料選択や構造上の配慮、防熱、蒸発ガスの処理など低温に対する特別な対応が求められ、それは造船の技術力を示す一つの尺度であるとさえ言われる。
LPG船の建造で川崎重工は、1969年の第1号船「第5ブリヂストン丸」から画期的なタンク構造である「セミメンブレン方式」を実現。薄さ8~10㎜の低温用鋼板で立方体のタンクは、内部には補強材がなく、防熱が施された二重殻の船体の内側に収納される。その独創性から、ものづくりの最高峰の表彰である大河内記念賞を授賞。国際的に代表するタンク方式の一つに分類された。

90年代に入ると新たな革新がもたらされる。タンク部材の応力の解析精度が向上する一方、建造期間を短くするために「独立タンク方式」への転換が図られたのだ。この方式では、独立の貨物タンクが船艙内に設けられ、貨物の液荷重は貨物タンク自身で支えられている。
2003年には新しい船首「SEA-ARROW」を適用したLPG船で第3世代へと進化を遂げる。航行する際の船首波による抵抗を半減させて推進性能を大幅に向上させた。

そして今、川崎重工は次世代船のLPG燃料推進LPG運搬船の開発を終え、受注活動を展開している。海上輸送における窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)の削減と、より安全になるよう改正された国際輸送規則に則った設計、さらには大容量タンクを備えながらも既存船が使用するLPG基地に入港できる顧客のニーズに応えるものだ。他社に先んじて新たな革新を打ち出す。そこに川崎重工の造船の底力がある。

Kawasaki NewsKawasaki Heavy Industries Quarterly Newsletter
川崎重工グループの和文PR誌として、多彩な製品群が陸・海・空に亘る各分野で活躍する姿と、新製品・新技術の一端をご紹介しています。

Kawasaki Group Channel