Oct. 2017

Techno Box 04

新時代のエネルギー供給を支える

水素液化システム

Scroll

水素の大量輸送を支える重要インフラ

使用時に水しか出さない「究極のクリーンエネルギー」である水素。水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」の4つのステージで、川崎重工はそれぞれ独自の技術開発を進め、水素エネルギーのサプライチェーン構築をめざしている。

「水素液化システム」は、水素ガスをマイナス253℃に冷やして液化する装置だ。水素ガスは、重量は軽いものの非常にかさばり(体積が大きく)、そのままでは極めて運びにくい。しかし液化すると体積を800分の1にでき大量のガスも効率的に運べる。つまり液化システムは、水素を大量輸送するための重要なインフラといえる。

播磨工場内に設置された水素液化プラントの実証設備は、産

業規模では初となる純国産の水素液化システムで、1日5tの液化水素を生産。実証試験の開始から3年を経て多くの知見をもたらしている。

その特徴は、①プロセス設計や運転制御を含む設計技術、②優れた断熱性能と気密性能を備えるコールドボックスの製作技術、③高効率・高純度・メンテナンスフリーの膨張タービンを支える高速回転技術、④液化ガスの高純度を維持するための純度管理システムや施工、保全管理技術、などにある。

自ら設計・開発・製作し、3年間の実証実験では無事故・無災害を維持する。「総合芸術」と評される開発・運用のノウハウは、来たるべき水素社会の礎になるものだ。

産業規模で初となる純国産水素液化システム

2014年11月から実証試験を開始した播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)内の実証設備。水素液化機のコールドボックスは、写真奥側に据えられている(青い円筒部分)。左手にあるのが液化水素を貯めるタンク。これまで無事故・無災害で実証試験を続け、安全のためのノウハウも着実に蓄積してきている。

液化の原理は「水素が水素を冷やして液化する」。

水素ガスは、熱交換器で熱を奪われてマイナス253℃になると液化する。実証設備は、液化される原料の水素ガスとは別に、冷却用の窒素ガスと水素ガスが複数の熱交換器の間を循環して原料の水素ガスを冷やす「クロードサイクル」を採用。いわば「水素によって水素が冷やされる」。この原理そのものは新しいものではないが、実証設備は、産業規模の装置で設計から製作まで純国産で開発された初めてのものだ。

ここがKAWASAKI

液化プロセス

液化の原理は「水素が水素を冷やして液化する」。

水素ガスは、熱交換器で熱を奪われてマイナス253℃になると液化する。実証設備は、液化される原料の水素ガスとは別に、冷却用の窒素ガスと水素ガスが複数の熱交換器の間を循環して原料の水素ガスを冷やす「クロードサイクル」を採用。いわば「水素によって水素が冷やされる」。この原理そのものは新しいものではないが、実証設備は、産業規模の装置で設計から製作まで純国産で開発された初めてのものだ。

ここがKAWASAKI

膨張タービン

川崎重工の回転機械技術が凝縮された膨張タービン

液化のための最終段階で活躍するのが「膨張タービン」だ。熱交換器を経てマイナス196℃に冷やされた原料ガスは、膨張タービンが回る配管を通過すると圧力が下がり、同時にマイナス253℃まで冷えて液化する。

 この膨張タービンの回転部は、直径数cm、長さ十数cm程度の、自動車エンジンのターボチャージャーぐらいの小さな部品だが、配管の中で液化されようとする水素ガスの力で浮き、毎分、10数万回という超高速回転を続ける。川崎重工のガスタービンなどの高速回転機械の技術が結集された部品だ。

 通常の油軸受けではなく、水素ガス自体を軸の浮上に用いる気体軸受を採用しているので、油などの不純物の混入がなく、高純度の液化ガスを製造できる。また非接触なのでメンテンスフリーともなる。

川崎重工の回転機械技術が凝縮された膨張タービン

液化のための最終段階で活躍するのが「膨張タービン」だ。熱交換器を経てマイナス196℃に冷やされた原料ガスは、膨張タービンが回る配管を通過すると圧力が下がり、同時にマイナス253℃まで冷えて液化する。

 この膨張タービンの回転部は、直径数cm、長さ十数cm程度の、自動車エンジンのターボチャージャーぐらいの小さな部品だが、配管の中で液化されようとする水素ガスの力で浮き、毎分、10数万回という超高速回転を続ける。川崎重工のガスタービンなどの高速回転機械の技術が結集された部品だ。

 通常の油軸受けではなく、水素ガス自体を軸の浮上に用いる気体軸受を採用しているので、油などの不純物の混入がなく、高純度の液化ガスを製造できる。また非接触なのでメンテンスフリーともなる。

ここがKAWASAKI

コールドボックス

宇宙衛星の“マント”に包まれる部品

液化のための熱交換器や配管は、「コールドボックス」と呼ばれる鉄製の円筒の中にある。コールドボックスの大きさは直径4m、高さ12m。極低温となる内部は外気から断熱するために真空になっており、それを維持するシール部や、溶接部からの漏れを防ぐための精細かつ高品質な機械加工技術が駆使されている。

 また、熱交換器や配管への輻射熱を抑えて断熱性能を高めるために、各部品は、宇宙衛星や宇宙服でも使われている金属箔のシート(スーパーインシュレーション)で包まれている。また製作の際に内部にわずかな汚れも残さない清浄度管理も重要になる。

宇宙衛星の“マント”に包まれる部品

液化のための熱交換器や配管は、「コールドボックス」と呼ばれる鉄製の円筒の中にある。コールドボックスの大きさは直径4m、高さ12m。極低温となる内部は外気から断熱するために真空になっており、それを維持するシール部や、溶接部からの漏れを防ぐための精細かつ高品質な機械加工技術が駆使されている。
 また、熱交換器や配管への輻射熱を抑えて断熱性能を高めるために、各部品は、宇宙衛星や宇宙服でも使われている金属箔のシート(スーパーインシュレーション)で包まれている。また製作の際に内部にわずかな汚れも残さない清浄度管理も重要になる。

解説

  • 川崎重工業株式会社
    プラント・環境カンパニー
    低温プラント総括部
    水素プロジェクト部

    水素技術課 課長
    小宮俊博(左)
  • 川崎重工業株式会社
    技術開発本部
    水素チェーン開発センター

    技術開発部 副部長
    仮屋大祐(右)
Kawasaki NewsKawasaki Heavy Industries Quarterly Newsletter
川崎重工グループの和文PR誌として、多彩な製品群が陸・海・空に亘る各分野で活躍する姿と、新製品・新技術の一端をご紹介しています。

Kawasaki Group Channel