低炭素社会の実現

低炭素社会の実現に向けて

地球温暖化の抑制に向けては、気候変動枠組条約のパリ協定が発効するなど世界的な取り組みが動き始めています。川崎重工は、エネルギーを無駄なく利用する製品とものづくりで、グローバルに地球温暖化防止に貢献することを進めています。
日本国内の工場ではものづくりの効率化を実現するためにエネルギー見える化設備を導入し、ムダの早期発見に努めていることに加えて、再生可能エネルギーの利用を進めています。また、エネルギー利用効率の高い製品を世界的に提供することで、製品の使用時におけるCO₂排出量の削減に貢献しています。


省エネ促進活動

当社は、事業部門ごとに省エネ推進体制を構築し、ポンプやファンのインバータ化や、照明・空調・生産設備などの高効率化、生産プロセスの改善など、多種・多様な省エネ改善を行い、CO₂排出量削減に取り組んでいます。その一例として「ギヤポンプ内部の固着樹脂を、修理前に除去する工程を改善した事例」(精密機械ビジネスセンター 西神戸工場)があります。改善前は、加熱炉において高温で長時間かけて樹脂を焼却し、灰状にしてから電動工具類等で磨いていました。改善後は、固着している樹脂ごとに除去に有効な溶剤を利用し、浸漬・洗浄により除去する方法を確立しました。これにより加熱や電動工具に使っていたエネルギーを削減し、CO₂排出量を減らせるようになりました。
また省エネ活動の一環として、省エネの全員参加を目的に、2017年度から【省エネ表彰制度】を始めました。当社の省エネ表彰制度の特徴は、全社の事業部門ごとに表彰する『部門内表彰』と、各部門から1件ずつ推薦された改善を、全社で投票により決定する『全社表彰』の、2段階の表彰を行うことです。これにより個人で行う小さな改善から、チームや工場で行う大きな改善まで、いろいろな省エネへの取り組みを表彰しています。
2017年度の全社表彰の大賞は、改善効果・投資対効果、横展開性、創意工夫性に優れた、『「全員参加」で「電力ピーク削減対策」を実施し、「契約電力超過を阻止」した改善』(航空宇宙システムカンパニー 岐阜工場・名古屋工場)が受賞しました。
この改善は夏場の電力逼迫時に約4,000kWの電力を抑制するために、次の4段階を実施して工場をあげて電力超過を阻止した改善です。

  1. 1.地大電力を消費する設備の運転スケジュールを事前に分散する。
  2. 2.当日、運転が重複しそうなときは、電話連絡により運転の時間をずらす。
  3. 3.それでも電力需要が逼迫した時は、コジェネレーション発電設備の出力を増加したり、いくつかの空調機をローテーションで停止する。
  4. 4.さらに逼迫した時は、2段階で緊急節電放送を工場内に発令することにより、全員参加での節電を行う。

改善前:樹脂を加熱焼却
改善前:樹脂を加熱焼却
改善後:溶剤により樹脂を除去
改善後:溶剤により樹脂を除去

生産活動におけるCO2排出量の削減

当社は、生産活動で発生するCO₂排出量を、原単位で前年度比3%削減する目標を設定して、エネルギー使用量の削減活動を実施しています。
2017年度は、生産現場における改善活動を行いましたが、新規設備の立ち上げ等によるエネルギー使用量の増加によりCO₂排出量は0.7万t増加しました。
その結果、CO2排出量は昨年より2.0%増となる32.8万tでした。一方、CO₂排出係数を2013年度で固定した売上高を分母とした原単位は、昨年から3%減の27.7(トン/億円)となり、目標の3%削減を達成しました。

生産活動におけるCO2排出量

生産活動におけるCO2排出量
  1. ※1CO2排出係数は、環境省が公表する電気事業者別、年度別の値を使用しています。
  2. ※2海外の電力使用によるCO2排出係数はGHGプロトコルの公開値を採用しています。

サプライチェーンにおけるCO2排出量の試算

当社に求められるCO2排出量の把握範囲は、従来の「自社の排出」から「サプライチェーンにおける排出」へと拡大する流れが加速しています。サプライチェーン排出量の算定基準には、国際的に認められた温室効果ガス(GHG)算定と報告のガイドラインであるGHGプロトコルが策定する「Scope 3基準」等があります。日本では、環境省・経済産業省共同の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等に関する調査・研究会」の分科会「排出量算定分科会」で、Scope 3基準の"日本版"とも言える「基本ガイドライン」を作成しています。当社では、この「基本ガイドライン」に沿って、サプライチェーンにおけるCO2排出量を算出し、結果を以下の表にしました。それによると、サプライチェーン全体では、当社が販売した製品の使用に伴うGHGの影響が非常に大きいことがわかりました。現在も「製品貢献によるCO₂排出量の削減」を推進していますが、今後、さらに積極的に展開していきます。

2017年度 川崎重工グループ全体のScope 1、2算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 1
直接排出 自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出 17.6
Scope 2
エネルギー起源の間接排出 自社が購入した電気・熱の使用に伴う間接排 32.6

2017年度 川崎重工のScope 3算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 3(その他の間接排出)上流
①購入した製品・サービス 原材料・部品、仕入商品・販売に係る資材等が製造されるまでの活動に伴う排出 603.3
(6.5%)
②資本財 自社の資本財の建設・製造から発生する排出 27.6
(0.3%)
③Scope 1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 他者から調達している燃料の調達、電気や熱等の発電等に必要な燃料の調達に伴う排出 3.9
(0.0%)
④輸送、配送(上流) 原材料・部品、仕入商品・販売に係る資材等が自社に届くまでの物流に伴う排出 0.8
(0.0%)
⑤事業から出る廃棄物 自社で発生した廃棄物の輸送、処理に伴う排出 1.9
(0.0%)
⑥出張 従業員の出張に伴う排出 1.4
(0.0%)
⑦雇用者の通勤 従業員が事務所に通勤する際の移動に伴う排出 0.6
(0.0%)
⑧リース資産(上流) 自社が賃貸しているリース資産の操業に伴う排出(Scope 1、2で算定する場合を除く) Scope 1、2に含めて算定
Scope 3(その他の間接排出)下流
⑨輸送、配送(下流) 製品の輸送、保管、荷役、小売に伴う排出 0.0(0.0%)
⑩販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工に伴う排出 対象外※1
⑪販売した製品の使用 使用者(消費者・事業者)による製品の使用に伴う排出 8,679.6
(93.0%)
⑫販売した製品の廃棄 使用者(消費者・事業者)による製品の廃棄時の輸送、処理に伴う排出 対象外※1
⑬リース資産(下流) 賃貸しているリース資産の運用に伴う排出 対象外※2
⑭フランチャイズ フランチャイズ加盟者における排出 対象外※2
⑮投資 投資の運用に関連する排出 17.4
(0.2%)
  1. ※1現時点では参考となるデータが確認できていないため、算定対象から除外する。
  2. ※2当社事業の範囲外のため、算定対象から除外する。

物流過程におけるCO2排出量の削減

当社は、サプライチェーンの一部を占める物流(Scope3カテゴリー4「輸送、配送(上流)」)におけるCO2排出量の把握および省エネ活動の推進を実施し、継続的なCO2排出量の削減を目指しています。
2017年度は、遠方への貨物輸送量が減少したことでCO2排出量は2016年度比5%減少し、約0.4万t(エネルギー使用量は約6万GJ)でした。

物流過程におけるCO2の排出量と原単位

物流過程におけるCO2の排出量と原単位
  1. ※1CO2原単位は、CO2排出量を売上高で除した値です。
  2. ※2CO2排出係数は、資源エネルギー庁が公表する値を使用しています。

再生可能エネルギーの利用

川崎重工グループでは、工場からのCO2排出量を削減する取り組みとして、生産設備等の省エネ化に加えて再生可能エネルギーの利用を進めています。これまで各工場への太陽光発電設備の設置を進め、関連企業を含めて4,171kWの発電容量を保有しています(一部設備の導入に際しては一般社団法人新エネルギー導入促進協議会からの補助金を受けています)。
2017年度は約1.6GWhの再生可能エネルギーを自社で利用し約0.1万tのCO2排出量を削減しました。

川崎重工グループの太陽光発電設備

名称 電力利用の形態 発電容量 kW
岩岡発電事業所※1 FIT※2による販売 1,505
名古屋第一工場 自家消費 750
西神発電事業所※1 FITによる販売 701
西神戸工場 自家消費 505
西神戸発電事業所※1 FITによる販売 422
明石工場 自家消費 140
坂出工場 自家消費 50
加古川発電事業所※1 FITによる販売 48
兵庫工場 自家消費 25
神戸工場 自家消費 20
播磨工場 自家消費 5
合計 4,171
  1. ※1川重商事株式会社運営の発電設備
  2. ※2FIT:再生可能エネルギーの固定価格買取制度
名古屋第一工場 750kW発電設
名古屋第一工場 750kW発電設
西神戸工場 927kW発電設備(内422kWはFITによる販売)
西神戸工場 927kW発電設備
(内422kWはFITによる販売)

太陽光発電量(自家消費分)

太陽光発電量(自家消費分)

製品貢献によるCO2排出量の削減

当社製品のライフサイクルで排出されるCO2の約90%は販売後の使用時に発生していることから、当社では使用時のCO2排出量が少ない製品を提供することにより低炭素社会の実現を目指しています。エネルギー利用効率の高い製品による地球温暖化緩和への貢献を定量化するため、製品貢献によるCO2排出量の削減効果の算定ルールを新たに定めました。
このルールに基づいた算定の結果、当社が2017年度に販売した製品によるCO2排出量の削減効果は約2,290万トンでした。これにはクラス世界最高水準の発電効率を達成した「グリーンガスエンジン」や、セメント製造とごみ処理の一体化によりセメント焼成燃料を削減した「CKKシステム」などが大きく貢献しています。
なお、製品貢献によるCO2排出量削減の算定対象製品には、エネルギー利用 効率の高い製品による地球温暖化緩和への貢献を定量化する目的で排熱・廃棄物・再生可能エネルギー利用による発電等を含めています。そのため、エネルギー起源CO2排出量のみを対象にしたScope3カテゴリー11の算定対象製品とは一部異なります。

製品貢献によるCO2削減量

CO2削減量
  1. ※1CO2排出係数は、環境省が公表する算定方法・排出係数一覧を利用しました。
  2. ※2製品のエネルギー利用効率向上を理由とする製品貢献によるCO2排出量の削減効果は、業界標準クラス製品との比較により算定しました。
  3. ※3排熱、廃棄物、再生可能エネルギーの利用は、回収した全エネルギーを製品貢献によるCO2排出量の削減効果としました。