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Jul. 2017

Vitality of
Lime Green

〜世界に広がる走りの夢〜

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ロンボク島のランドマークとして地元住民に愛されているPT.DUTA INTIKAの店舗

Kawasakiモーターサイクルの象徴であるライムグリーン。
登場から半世紀を経て今、ビジュアル・アイデンティティの世界統一を
推進することで新たなバイタリティを発揮しようとしている。
否、ライムグリーンは、新たな革新を私たちに促しているのだ。

  • 嶋田 雄介主事
    モーターサイクル&エンジンカンパニー
    管理本部 営業統括室
    第一営業部 営業一課
  • 後藤 啓介課長
    モーターサイクル&エンジンカンパニー
    管理本部 営業統括室
    第一営業部 営業一課

世界統一のVI導入で
ライムグリーンに新たな力を

インドネシア・バリ島に隣接するロンボク島。約300万人が暮らすが、「今、島で一番クールな建物」と評判なのが、州都マタラムにあるKawasakiのモーターサイクル専売店DUTAINTIKA社の店舗だ。
建物正面の上半分は黒一色で、下側に3本のライムグリーンの線が走り、右上には白抜きで「Kawasaki」のロゴ、そして左下には「PT・DUTA INTIKA」の社名が配されている。陽が落ち、辺りが薄暗くなると、線やロゴが浮かび上がり、正面入口からはぬくもりのある照明が漏れてくる。
この店舗も、Kawasakiモーターサイクル事業が推進する世界統一のビジュアル・アイデンティティ(以下、VI)に基づいてつくられた。

オーナーは、「デザインが評判で島の人たちがわざわざ見に来る。販売店でKawasakiブランドのNinja250などに触れ、誰もが『こんなバイクに乗りたい』と思う。島民の所得はまだまだ少なく、ライムグリーンのバイクにまたがる姿を夢見るだけかもしれないが、それが明日からのエネルギーにもなる」と語る。
インドネシアでは過去10年で、1人当たり名目GDPが約3倍になった。しかし平均月給は日本円でまだ3万円程度。販売価格が約50万円のNinja250は〝高嶺の花〟だ。それでも年間3万台の販売実績があり、地元ではニュースにもなった。

1968年に初めてライムグリーンの色を採用したレース仕様の「A1R」(上)。以来、量販車でも採用されるようになった。左は、Ninjaシリーズの最高峰モデルである「Ninja H2R」。

インドネシアで2010年から5年間、販売店支援やVI浸透を担ってきたモーターサイクル&エンジンカンパニーの嶋田雄介主事は、「現地では若者向けのトレンディドラマのキーになっているのがNinja250で、流行に敏感なトレンドリーダー層の開拓に成功しています」と言う。
インドネシアは、インド、中国に次ぐ〝モーターサイクル王国〟だが、価格が安い小型市場が中心のなかで、Kawasakiモーターサイクルは、市場シェアを伸ばすのではなく、他社とは違う独自の価値の提供を目指している。

嶋田主事は「実際、『ライムグリーンのKawasaki』と言えば高品質・高性能のスポーツモデルであると認知され、資産としての満足度も高い。ライムグリーンに対する信頼が、新興国でも着実に醸成されてきているのを実感しています」とも語る。
市場の成熟化やリーマンショック後の苦境を跳ね返し、モーターサイクルのKawasakiブランドへの信頼をさらに高めていくVIの世界統一への挑戦が進んでいる。ライムグリーンは今、新たなバイタリティを発揮しようとしているのである。

絶対的な魅力がもたらす
自己革新

ロンボク島から遠く離れた欧州では、一足早く世界統一のVI導入や新たな販売促進に向けた取り組みが始まっていた。ちなみに黒字に3本のライムグリーンの線とKawasakiのロゴの組み合わせは、Kawasakiファクトリーレーシングチームのグラフィックデザインをベースに、欧州統合販社のマーケティング部門が考えたものだった。
「日本メーカーのモーターサイクルのなかで、一番スポーティーで最も優れた性能なのはKawasakiだ」と評価する販売店は多いが、リーマンショックを乗り越えるには、新たなライムグリーンの魅力を訴求する必要性が共有されていた。

欧州の販売現地法人のフランス支店にいた後藤啓介課長は、「店内の展示法やカタログの刷新など、さまざまなテーマに取り組みましたが、正直に言えばあまり苦労はありませんでした。なぜならVIのデザインが格好良く、かつライムグリーンへの圧倒的な信頼感があったからです」と語る。
外装デザインや個別看板の差し替えには販売店に費用負担が生じる。しかし、どの販売店も改善に前のめりだったという。結果的にフランス国内では、2年間で180店の外装更新や看板の付け替えが完了した。
後藤課長は、「一連の取り組みで感動したことがある」と打ち明ける。改装でお店の品質を上げようとすると、ハード面だけでなくソフト面でも課題が分かってきて、「それも変えよう」と、よい意味での欲が出てきたのだ。

世界統一のVIでデザインされた販売店(タイ)。Kawasakiの専売店はトレンドリーダーとしての夢の発信地でもある。

「私たちも、当初は改装を勧めるだけのアプローチだったのですが、マネジメントトレーニングやレイアウトコンサルティングなどにより、店舗経営や接客スキルの向上をサポートするようになりました。為替の動向などに負けずに売りたい、と人を動かす製品。それがライムグリーンの絶対的な魅力なのだと改めて気づかされました」。
世界統一のVI導入を推進する桐野英子マーケティング部副部長は、「私たちは単に製品を売っているのではありません。優れた製品を楽しみ、そこで新たな人生の夢を描ける。先進国でも新興国でも、お届けしたいのは、Fun to Rideがもたらす幸福感そのものであり、ライムグリーンを喜びの色と実感できる人を増やしたいのです」と語る。

いっさいの妥協を排した
開発姿勢がモンスターを生んだ

ライムグリーンの誕生は1968年にまで遡る。アメリカの販売現地法人が、製品の知名度を上げるために、契約していたカラーリストにイメージカラーの提案を依頼した。
同年、フロリダ州デイトナで開かれたレース。そこに現れた1台のモーターサイクルにレース関係者や観衆は度肝を抜かれる。出場した「A1R」の車体色はライムグリーンだったのだ。欧米ではライムグリーンは「気味の悪い不運な色」と言われ、迷信やジンクスを重んじるレース業界では決して使われることのない色だったのだ。だからこそチームはこの色に、「挑戦」の思いを重ねていた。 その後、ライムグリーンのマシーンは、各地のレースで勝利を重ね、いつしか「グリーンモンスター」と呼ばれるまでになる。

「とにかく楽しい」。ツーリングは人とモーターサイクルの共同劇場だ。
フランス・リール近郊にあるKawasakiの専売店。ここでも3本のライムグリーンが映える。
Kawasakiの公式ファンクラブ「KAZE」は活発な活動を続けている。
「究極の走り」を追究するレースから、明日の技術革新がもたらされる。

ライムグリーンには、Kawasakiのものづくりへの挑戦心と厳格さが象徴されていた。Kawasakiモーターサイクル事業では、総合重工メーカーとしての総合力の投入を絶対的な命題としてきた。それは、製品開発で「妥協」を排除する姿勢を育てることになった。

例えばNinjaシリーズには、頂点に立つH2/H2RやZX-10R/RRから末弟の300/250までファミリーブランドとして15タイプあるが、タイプを問わずまったく同じ試験を課している。モーターサイクルとして「強さと優しさ」はあるか、「操ることへの喜び」が見出されるのか、そして川崎重工の航空機事業などの最先端技術が惜しげもなく投じられ、「可能性に挑戦するもの」になっているか等々。同じ検証項目で同じ結果が出るまで徹底した改良が繰り返されている。

つまり、「スペックは違うが、スピリットは同じ」。それがライムグリーンのものづくりの思想だ。だからこそ上級者が普及型のNinja250に乗っても「楽しい。NinjaのFun to Rideがある」と言われ、「Kawasakiブランドは、お客さまの評価の高さはもちろんですが、販売店の評価の高さが他メーカーに比べて図抜けて高いことにも繋がっている」(後藤課長)。

そして成熟市場となっている日本での挑戦も始まっている。2016年12月には、大阪市鶴見区にある直営の専売店「プラザ大阪」がリニューアルオープン。新店舗では、製品だけでなく高級感のある内装やアパレルなどライフスタイルの提案を軸にした展示がなされている。同時にKawasakiの専売店を現状の6店舗から120店舗程度にまで拡大をしていく予定だ。
ライムグリーンが登場して半世紀。その挑戦のバイタリティは衰えず、ライダーにも開発者にも常に新たな気概を求め続けている。

「大きくなったら乗ってみたいね」。カワサキワールド(神戸市)でもモーターサイクルの人気は高い。

For the Tomorrow

「至高への自負」を
世界と未来へ繋ぐ

モーターサイクルは、エリアや国によって楽しみ方が異なる。例えばアメリカでは砂漠や野山を駆け巡るオフロードライディングが盛んで、ワイルドな環境でマシンを操ることを楽しむ人が多い。一方、欧州では2人乗りで国境をまたぐようなロングツーリングも盛んなため、それだけパートナーの意見もモーターサイクル選びの重要な要素になる。ファッション性にこだわるのも欧州ならではの思想である。また、アジアの新興市場では富裕層の増加により大型車の人気が上昇しており、大型車を所有することは成功者の証ともなっている。

いずれにしても、共通するのはやはり「圧倒的な“Fun to Ride”を感じられる、究極のモーターサイクルに乗りたい」という願いである。Kawasakiが比類ないブランドと評価されるのは、その願いへの回答を一途に追究しているからに他ならない。

その自負と熱意を伝えるのが、「RIDEOLOGY」の思想とモーターサイクルの先頭部に配された「川(リバーマーク)」のエンブレムだ。川崎重工創立当時のロゴマークをフラッグシップモデル「Ninja H2/H2R」に冠することで、川崎重工の歴史と伝統、多様な事業から成り立つ総合技術力を表している。

その走りの思想を示す『RIDEOLOGY』のロゴと『リバーマーク』のエンブレム。

Leader’s Voice

By 桐野 英子 Eiko Kirino

川崎重工業株式会社 モーターサイクル&エンジンカンパニー
企画本部 事業企画統括室 マーケティング部副部長

世界統一のVIで、RIDEOLOGYを世界の人々にお届けします

Kawasakiのモーターサイクル事業のミッションは、「Kawaskiのモーターサイクルで走るのが、なによりも楽しい」と実感していただくことです。
ハイパフォーマンスのモーターサイクルに特化し、独創的でユーザーを魅了してやまない、そして唯一無二的な存在として語り継がれるような商品を創造するのです。こうした開発思想を私たちは、「RIDEOLOGY(ライデオロジー)」という言葉に託しています。「走り=RIDE」への「こだわり=IDEOLOGY」を追究し続け、そのために川崎重工の総合力を惜しみなく投じています。半世紀以上も前から受け継がれる開発思想は、今なお新たな挑戦を生み出しています。
開発陣の情熱と造り込まれた技術、そしてRIDEOLOGYの思想を、言葉や形として世間に発信するのが私たちマーケティング担当者の任務です。モーターサイクル市場が成熟化してきた先進国においても、また富裕層が拡大している新興国においても、私たちがお届けしたいのはRIDEOLOGYが凝縮された製品がもたらす喜びです。乗ることの楽しさをまだ知らない人にさえ、「これは楽しいのではないか」と確信していただけるような喜びをお届けしたいと願っています。

現在取り組んでいるVIの世界統一推進は、店舗改革が中心ですが、そこにとどまらず世界の各エリアや国の事業に対応したライムグリーンのバイタリティの発揮の仕方を探る試みでもあります。また、ファミリーブランド戦略ではネーミングやイメージを統一することで一貫した価値をお届けしています。Ninja 250でモーターサイクルの楽しさを知った人が、ひとつ上のクラスにステップアップしたくなった時に、「400ccに乗りたい」ではなく、「Ninja 400に乗りたい」と思っていただきたいのです。
開発陣からお店のスタッフまで、Kawasakiのモーターサイクルに関わるすべての者が、RIDEOLOGYの探求者であり続けたいと決意しています。

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