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高性能液体水素コンテナを開発し、日本で初めて水素ステーションへの輸送供給に成功

2005年01月26日

 

川崎重工は、高性能液体水素コンテナを開発し、このコンテナを用いて、液化基地(兵庫県尼崎市)から燃料電池自動車水素ステーション(東京都江東区)までの輸送供給の公道試験に成功しました。コンテナによるステーションへの液体水素の輸送供給は日本初の成果であり、今後燃料電池を用いた自動車や発電設備の普及により「水素社会」の到来が予測されるなか、水素エネルギーの広範な利用に道を拓くものです。

燃料電池自動車の開発進展と実用化に伴い、水素供給インフラの整備促進が重要な課題になるとともに、地球環境問題から、化石燃料に代わるクリーンな再生可能エネルギーとして水素エネルギーが期待されています。そのなかで、液体水素は、容積が常温常圧の水素ガスの約1/800であり、圧縮ガスや吸蔵合金など他の貯蔵・輸送形態と比べ一度に大量の水素を輸送することが可能なことから、比較的大規模な水素輸送貯蔵に有利とされています。

当社は、高性能液体水素コンテナを、経済産業省および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて開発しました。このコンテナは、20フィートコンテナ(6m×2.5m)に容積約14.65m3の貯蔵タンクを内蔵しており、車とタンクが一体となったローリと異なりステーションの定置式貯蔵タンクとして使用できるほか、将来陸上・海上の一貫輸送および大量輸送への適用を可能にしています。
また、液体水素は、低沸点(温度-253℃)、低潜熱の特性をもち外部入熱により蒸発しやすく、また、輸送中の液体水素の揺動(スロッシング)により、波がタンク内壁と衝突し両者の熱交換によっても蒸発が促されることから、次の対策を施すことにより、蒸発損失を従来のローリより半減するなど高性能化を図っています。

(1) 液体水素蒸発量の低減
  断熱材に積層真空断熱材、内槽支持構造にテンションロッド方式を適用し、外部からの入熱量を極力低減し、液体水素蒸発量を小さくしています。蒸発量は0.7%/日以下であり、従来の同貯蔵量クラスのローリタイプと比較して、約50%低減しています。

(2) 液体水素の揺動防止
  タンク内部に、輸送中および地震などによる停止時の液体水素の揺動を抑制するために、防波板を配置しています。今回の液体水素輸送量は、タンク容積の35%に相当する小量輸送(約5.5m3 )であり、定格輸送量時(13m3 )より激しい揺動状態にもかかわらず、最適な防波板配置により液体水素の蒸発を抑え、タンク内圧力の上昇を防止しています。

今回の液体水素コンテナによる水素輸送供給の公道試験は、経済産業省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト」(JHFC)のうちエンジニアリング振興協会が進める「燃料電池自動車用水素供給設備実証研究」に参画している新日本製鐵(株)、昭和シェル石油(株)、岩谷産業(株)および東京都環境局による「水素供給ステーションパイロット事業」の協力を得て実施されました。この試験において、液化基地での充填からステーションへの払出までのインターフェースや、輸送中の圧力上昇防止などコンテナの性能を確認し実用化のめどをつけることができました。高性能液体水素コンテナの採用により、液体水素の輸送効率が向上し、輸送費が低減できることから、水素供給インフラの整備促進に大きく貢献するものと期待されます。

当社は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島ロケット射点設備向けに大型液体水素貯蔵タンクシステム(貯蔵量540m3×3基等)を開発・建設した実績を有しており、今回の液体水素コンテナの開発にあたっては、液体水素貯蔵タンクシステム開発で蓄積された極低温技術が活かされています。
今後、当社はISO規格に従った20フィート、40フィートコンテナをベースに、約15~40m3の液体水素コンテナをシリーズ化していく計画です。また、高断熱化技術、タンク重量の軽量化技術、揺動防止技術の開発を推進してさらなる高性能化を目指すとともに、将来の大量輸送を視野に入れ、より環境負荷が小さい輸送媒体である鉄道や船舶用コンテナも開発していきます。

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川崎重工技報
川崎重工グループの多彩な製品と、それらを支える様々な先進技術をご紹介する技術情報誌です。

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