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欧州合同原子核研究機構(CERN)よりCMS Crystal Award 2001を受賞

2001年03月07日

川崎重工は、スイス・ジュネーブ市に本拠を置く欧州合同原子核研究機構(以下CERN)より、米国ウィスコンシン大学より受注した特殊磁場素粒子検出器(以下CMS)の特殊磁場シールド(以下エンドキャップヨーク)に対して、Crystal Award 2001を受賞しました。この賞はCERNが、CMSの製作において特に優れた技術力、プロジェクト管理を発揮した業者に対して贈るものです。

CERNは7兆電子ボルト、1周27km(JR山手線1周の約80%当)にも及ぶ大型陽子・陽子衝突型加速器(以下LHC、Large Hadron Collider)を、スイスとフランスの国境に2005年運転開始の予定で建設中です。本施設は物理学の基礎研究施設で、陽子同士を高エネルギー状態で衝突させることにより、宇宙の起源とされるビッグバンを再現し、かつ物質に質量を与えるといわれる未知の素粒子であるヒッグス粒子の発見を目指すことを目的としています。

当社は米国ウィスコンシン大学より、CERNが建設するLHCのリング上にあるCMSにおいて、CMSに取り付けられる「エンドキャップヨーク(特殊磁場シールド)」を1998年12月に受注しました。

CMSエンドキャップヨークは、板厚60センチで直径14メートル、20分割のディスク4枚と、板厚20センチのディスク2枚で構成される構造体で、総重量は約4,000トンになります。同構造体は、それぞれの鋼板内に設置されるミューオン検出器を支持し、さらに強い磁場の中で使用されながら、磁場の流れを乱さないことなどの役割を担っており、これに対応するため材料には成分調整された特殊炭素鋼が使用されました。受注したCMSエンドキャップヨークは、2001年10月に施主であり本製品の利用者であるCERNに納入します。本件については、当社の保有技術、実績を評価する事前資格審査で絞られた国際競争入札を経て受注したものです。

今回の受賞は、CMSエンドキャップヨークの製作途上での研究ニーズに基づく設計変更の要請にも細かく応対し、厳しい要求精度を満たす製品を完成させたことが評価されたもので、当社播磨工場におけるエンドキャップヨークの製作に対して授与されたものです。なおCrystal Award以外にも、本案件のプロジェクトチーム全体に対してGold Awardが授与されました。

また当社は、LHCのリング上にあるATLAS(トロイド型先端素粒子検出器)に取り付けられる「バレルクライオスタット(アルミ製高精密真空低温容器)」についても1998年9月に米国ブルックヘブン研究所より受注しています。

ATLASバレルクライオスタットは、ブルックヘブン研究所が設計・調達・建設を担当している低温容器で、重量約35トン、長さ約7m、直径約5.5mのアルミニウム合金製シリンダーです。耐放射線性に優れており、電子やガンマ線のエネルギーと位置測定などを行うカロリーメーターを内部に保持するための構造物で、本年6月にCERNに納入します。

当社は加速器分野として、国内ではKEK(文部省(現文部科学省)高エネルギー加速器研究機構)トリスタン検出器用機器をはじめ、放射光用としては世界最大の電子蓄積リングSPring-8用機器の納入実績があるとともに、海外では、SLAC(スタンフォード線形加速器センター)向けに素粒子検出用防磁構造体をはじめ各種検出器用機器の納入実績があります。

また加速器システム全体としても、自由電子レーザ装置の開発を1990年より行なっており、1992年には世界で初めて可視光域自由電子レーザの発振に成功、1998年には世界最短波長の自由電子レーザを発振、2000年には光利用を目的とした赤外自由電子レーザの発振にも世界で初めて成功しています。

今後も当社は物理学、化学をはじめ医療、機械、材料などさまざまな分野に活用できる加速器技術での社会的貢献を行なうともに、加速器分野でのこれまでの数多くの納入実績、経験を活かして、国内、海外を問わず積極的な営業活動を展開します。

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川崎重工技報
川崎重工グループの多彩な製品と、それらを支える様々な先進技術をご紹介する技術情報誌です。

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