30MW級の発電用新型ガスタービンを開発 ダイセル化学工業株式会社と2012年度からの実証運転について基本合意

2010年05月24日

 

 

川崎重工は、30MW級の発電用新型ガスタービンL30Aを開発し、2010年7月から試運転を開始します。L30Aは、同出力クラス世界最高の発電効率と環境性能を誇る、当社製ガスタービンの最大出力機種です。
また、このたびダイセル化学工業株式会社との間で同社姫路製造所網干工場に商用1号機となるL30Aを原動機としたコージェネレーションシステムを設置し、2012年度から実証運転を開始することに合意しました。この実証運転により、同社の網干工場に電力と熱(蒸気)を供給し、CO2削減に貢献するとともに、L30Aの耐久性と信頼性を確認します。

L30Aは、当社従来機種である1~2MW級のM1A、6~8MW級のM7A、それに18MW級のL20Aに続く製品として、分散型発電/コージェネレーションの大型機種分野に投入します。これにより、自社開発のコージェネレーション用ガスタービンの製品ラインナップは500kW~30MW級に拡大し、幅広い顧客ニーズに対応する体制が整います。

L30Aは、当社が長年培ってきた産業用中小型ガスタービンの開発技術と航空用ジェットエンジンの高度な要素技術を結集して開発したもので、以下の特長を有します。

(1) 圧縮機の高圧力比化、新開発の耐熱材料の適用、タービン冷却技術の改良などにより、同出力クラス世界最高である発電効率40%以上を達成します。さらにコージェネレーションシステムでの総合熱効率は80%以上、またコンバインドサイクル発電プラントでの発電効率は50%以上を実現します。
(2) 独自開発のドライ低エミッション(DLE)燃焼器により、窒素酸化物(NOx)の排出量を世界最高レベルの15ppm(O2=15%)以下に抑えます。
(3) 徹底した機器費用の低減、従来機種で培った保守メンテナンスが容易な形式の採用等により、ライフサイクルコストの大幅な削減を可能とします。

当社は、純国産・自社技術にて産業用ガスタービンを開発し、1976年に非常用ガスタービン発電設備の初号機を納入したのを皮切りに、約35年間で常用および非常用合わせて7,500台を超える納入実績があります。この内、常用発電設備は1984年に初号機を納入以来、約25年間で600台を超える納入実績があります。

当社は、近年、地球温暖化対策、地球環境保全やエネルギーの有効利用の観点からエネルギーの分散配置が進む中で、ガスタービン発電装置と排熱回収ボイラを組合せたコージェネレーションシステムや蒸気タービンと組合せたコンバインドサイクル発電プラントの開発に力を注いでいます。今後も、国内はもとより電力需要の増加、環境規制強化および各種エネルギーネットワークなどの新たな需要が見込まれる海外市場に対して、欧州、米州、アジア、中東の各現地販売拠点を活用して、事業を積極的に展開していきます。